12問によるグリット(GRIT)の診断とグリットと成果の相関
2016年にベストセラーになったアンジェラ・ダックワースの『GRIT(グリット) やり抜く力』。2025年現在も、人材育成・教育・採用の現場で参照され続けている成果を分ける非認知能力の代表です。
本記事では、自分のグリットを測るための12問のグリット尺度と、グリットが実際の成果(教員採用試験の合否)と相関することを示した日本の論文研究を紹介します。
グリット(GRIT)とは|情熱×粘り強さ
“GRIT”は心理学者アンジェラ・ダックワース博士らが2007年に提唱した概念で、長期目標に対する情熱と粘り強さを表します。
実はその源流は古く、1926年に心理学者コックスが行った研究まで遡ります。コックスは301人の”天才”と呼ばれた偉人の育成歴を分析し、卓越した業績を上げた人は、高い知能だけでなく動機付けと粘り強さがきわめて高いことを見出しました。
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 興味の一貫性 | 同じテーマに長期間興味を持ち続けられるか |
| 努力の粘り強さ | 困難があっても継続して取り組めるか |
グリットは幸福な人生を送るうえで重要な要因であると同時に、グリットの低さは退学や退職を予測できるという研究もあります。個人のキャリア・組織の定着の両面で気になる概念です。
12問によるグリット診断
自分のグリットを測れる代表的な尺度が、12問のグリット尺度(Short Grit Scale / 日本語版)です。
次の12問に、「非常に当てはまる/かなり当てはまる/少し当てはまる/あまり当てはまらない/全く当てはまらない」の5段階で答えます。
| 因子 | 設問 |
|---|---|
| 興味の一貫性(1-6) (当てはまる=逆採点) |
①新しいアイデアや計画によって、それまで取り組んでいたことから注意がそれることがある |
| ②あるアイデアや計画に一時的に夢中になっても、あとで興味を失うことがある | |
| ③数ヶ月以上かかるような計画に集中して取り組み続けることは難しい | |
| ④私の興味は年々変わる | |
| ⑤目標を決めても、後から変えてしまうことがよくある | |
| ⑥数ヶ月ごとに新しい活動への興味が湧いてくる | |
| 努力の粘り強さ(7-12) (当てはまる=順採点) |
⑦私は精魂傾けてものごとに取り組む |
| ⑧重要な試練に打ち勝つため、困難を乗り越えてきた | |
| ⑨数年に渡る努力を要する目標を達成したことがある | |
| ⑩私は頑張り屋だ | |
| ⑪始めたことは、どんなことでも最後までやりとげる | |
| ⑫困難があっても、私はやる気を失わない |
採点方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1-6(興味の一貫性) | “非常に当てはまる”=1点 〜 “全く当てはまらない”=5点(逆採点) |
| 7-12(努力の粘り強さ) | “非常に当てはまる”=5点 〜 “全く当てはまらない”=1点 |
| 最終スコア | 12問の合計(最大60点)÷12=あなたのグリット(1〜5) |
| 日本語版論文の参考平均値 | 平均 3.09点 |
興味深いことに、調査結果では年代が上がるほどグリットの点数も高い傾向が見られました。若い時期は興味の移り変わりが大きく、それが年齢とともに落ち着いてくる、というのは感覚にも合う結果です。
グリットと成果の相関|教員採用試験での研究結果
同じ論文では、国立教員養成大学の学生を対象に、グリット尺度と教員採用試験(一次・二次)の結果との相関を分析しています。比較対象としてセンター試験の点数や累積GPA(単位の成績)との関係も調べています。
| 関連 | 分かったこと |
|---|---|
| グリット高い学生 ↔ 累積GPA | 正の相関(学業の成績が良い) |
| グリット高い学生 ↔ 二次試験合格 | 正の相関(面接含む総合判断を通過) |
| グリット ↔ 教員としての採用 | 相関あり(実際に採用されやすい) |
二次試験合格との関連は、長期的な努力による学力、意志の強さ、面接での印象など複数の要因が絡んでいると論文では考察されています。いずれにせよ、グリットは現実の成果に結びついているという結論です。
ビジネス・人材育成でグリットをどう扱うか
グリットは非認知能力の1つとされ、生まれつきの固定値ではなく環境と行動で伸ばせることも研究で示唆されています。ビジネス現場での応用場面を整理します。
| 場面 | グリット視点の活用 |
|---|---|
| 採用選考 | 学歴だけでなく”長期にやり抜いた経験”を問う |
| 目標設定・OKR | 短期ゴール連続で達成感を重ねる設計 |
| 人材育成 | “やり抜く体験”を段階的に任せていく |
| 離職対策 | 興味の一貫性が揺らぐ時期の対話設計 |
| 自己成長 | 興味の一貫性と粘り強さの両方を意識的に鍛える |
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まとめ
12問のグリット尺度は、興味の一貫性と努力の粘り強さの2因子から、やり抜く力を測るシンプルなツールです。
日本語版の論文では平均3.09点が参考値として得られており、グリットは教員採用試験の合否などの実際の成果とも相関することが示されています。自己理解のほか、人材育成・採用・目標設計の場面で活用してみてください。
関連書籍
本テーマをさらに深掘りしたい方におすすめの1冊です。
キャロル・S・ドゥエック/草思社/2016年
GRITとセットで語られるもう1つの非認知能力「Growth Mindset」。やり抜く力が生まれる土壌を解説した一冊です。
