今回は新人・新入社員がなぜ早期離職・退職するのかという理由について調査した論文を参考に、対策として考えられる2つの取り組みについて紹介したいと思います。

まず、今回参考にする論文ですが、下記となります。

新人看護職員の早期離職理由
―心理的プロセスの検討―

柏田 三千代 日本国際情報学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gscs/15/1/15_46/_pdf/-char/ja

タイトルから分かる通り、新人看護職員の早期離職理由を調査した論文となりますが、論文を読み進めていくと、早期離職理由は看護職員だけでなく、他の職種の若年者にも当てはまることが述べられています。

新人の早期離職への心理プロセス

論文によると早期退職した新人看護師は以下のような共通の心理プロセスを経ていることがわかっています。

職場の理想と現実との乖離、多くの技術を早期に習得しなければならない

②自身の技術の未熟や技術の習得困難感

③(②からの)自信喪失先輩看護師との関係性の悪化

④(③からのストレスによる)心身のバランス崩壊自分の限界を感じた

早期離職

①の職場の理想と現実との乖離についてはリアリティショックと呼ばれます。

リアリティショック
新たに職についた労働者などにおける期待と現実との間に生まれるギャップにより衝撃を受けること
https://ja.wikipedia.org/wiki/リアリティショック

新人看護職員の場合、「思っていた以上に仕事が多くて終わらない」や、「テレビで見ていた世界とは違い、イメージよりも肉体労働」といった理想と現実とのギャップを感じることが多いようです。

また、これらの心理プロセスは看護職員だけでなく、他の職種の若年者の離職理由を分析することで職種によらず共通することが論文で述べられています。


「初めての正社員勤務先」を離職した理由(MA,性別,新卒3年以内離職者)

参考:若年者の離職状況と離職後のキャリア形成(若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2017/164.html

早期離職した新人とそうでない新人の違いと共通点

論文ではさらに、早期離職した新人とそうでない新人に違いがあるのか、また共通点はどうか、をリサーチしています。

共通点として技術の未熟や技術の習得困難感などはありますが、大きな違いとしては先輩看護師との関係性の悪化と心身バランス崩壊であることがわかりました。

つまり、先輩看護師との関係性の悪化からの心身バランス崩壊という仮説が立ちます。

また、先輩看護師との関係性の悪化するのは、熟達者が学習者のレベルに合った課題を与え、助言を与えながら模範の通りにできるように指導する、いわゆるコーチングの段階であるとしています。

これは、認知的徒弟制の4段階の2段階目にあたります。

認知的徒弟制の学習過程

モデリング(modeling)
熟達者が学習者に模範を示し、学習者はそれを観察して視覚的に把握する。

コーチング(coaching)
熟達者が学習者のレベルに合った課題を与え、助言を与えながら模範の通りにできるように指導する。

スキャフォールディング(scaffolding)
学習者が自分自身でさらに上達できるための支援を行う。

フェーディング(fading)
熟達者は学習者が独 り立ちできるように少しずつ関わりを減らし、退いていく。

早期離職対策の2つの取り組み

ここまでご覧頂いて新人の早期離職対策としてどのような施策を取るのが良いと思うでしょうか?

もちろんいろいろな施策があると思いますが、現状では以下の2つの取り組みが効果的なのではないか?と考えています。

1.リアリティショックを緩和するための内定者集合研修
2.先輩社員のためのOJTリーダー研修

まず1つ目は新人側のための取り組み施策として、入社後のリアリティショックを緩和するために内定者フォローとしての集合研修の実施です。

アクティブトランジションという書籍に記載されている保田江美 氏による「内定者フォロー施策は入社後の組織適応を促すのか」という論文では、内定者フォローとしての集合研修がリアリティショックを緩和することを示しています。

内定者研修 リアリティショック
参考:アクティブトランジション P170

こちらの論文の内容は書籍「アクティブトランジション」をご覧ください。

なお、弊社では内定者研修で使えるビジネスゲームを提供しております。

内定者懇親会で使えるゲーム8選+α

2つめは、先輩社員側のための取り組み施策としてOJTリーダー研修です。

OJTリーダー研修の内容としてはOJTリーダーとしての心構えや、OJTリーダー自身のアンガーマネジメント

基礎的なコーチングスキルを伝えるのも効果的だと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は新人の早期退職理由とその対策としての2つの取り組みについてご紹介しました。
参考になれば幸いです。

参考論文

新人看護職員の早期離職理由
―心理的プロセスの検討―

柏田 三千代 日本国際情報学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gscs/15/1/15_46/_pdf/-char/ja


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