OJTを放置プレイにしないために必要なこと
新入社員の教育・育成にあたって、OJTを実施している企業が多いでしょう。
OJTとはOn the Job Trainingの略で、簡単に書けば、実務を通して学ばせる育成手法と言えます。
一方、集合研修などはOff-JTと呼ばれ、多くの場合、一定のOff-JTの後、現場でのOJTという流れで実施されます。
OJTという名の放置プレイ
OJTといえば聞こえは良いですが、現実的にはOJTという名の放置プレイと問題視されることもあります。
本来、OJTとは以下のように定義されています。
参考:Wikipedia
ポイントは「意図的・計画的・継続的に指導し」という部分です。
ただ現場に預けているだけでは、「早く一人前になってほしい」ということ以外の意図や、計画性を感じません。
OJTを効果的に実施するための2つの役割
では、OJTを効果的に実施するためには何が必要なのでしょうか。
育成計画書の作成など、細かいことは置いておくとして、ここでは2つの役割について説明して行きたいと思います。
OJTにはOJTを受ける人(多くは新入社員)の他に、トレーナーとメンターという2つの役割が求められています。
トレーナーとメンターの違いについてですが、それを考えるにあたってOJTで実施する2つのことを先に挙げておきたいと思います。
ティーチングとコーチング
OJTでは、大きく分けて「ティーチング」と「コーチング」の2つのことを実施します。
ティーチングとは「教えること」です。現場での作業のやり方や、スキルを教え、新入社員が1人で作用ができるようになることが目的です。
一方、コーチングとは一言で表すのは難しいですが、強いて言えば「サポートすること」です。
正しくは以下のように定義されています。
相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促すとするコミュニケーション技法である。
参考:Wikipedia
ティーチングが具体的なやり方やを教えるのに対して、コーチングは、悩みを聞き、質問を交えながら相手に考えさせ、目標達成をサポートすることになります。
トレーナーとメンターの違い
ここで話しを戻してトレーナーとメンターの違いを書いておきましょう。
トレーナーとは、ティーチングを通して新入社員の育成を担う役割です。
一方、メンターとはコーチングを通して新入社員の育成を担う役割です。
弊社ではトレーナーとメンター(ティーチングとコーチング)は別々の人が担うのがベターと考えています。
一般的なOJTトレーナー向けの研修では、ティーチングとコーチングの両方をトレーナーに任せるための教育が実施されています。
なお、過去記事でOJTトレーナーに求められる3つのコミュニケーションスキルをご紹介しています。合わせてご覧ください。
OJTトレーナーに求められる3つのコミュニケーションスキル
なお、多くの場合、OJTトレーナーは入社2年目〜数年目の若手社員となります。
やもすると、ようやく仕事を覚え始めた社員に、心理的なサポートまでを必要とするコーチングまでを担わせるのは難易度が高いと考えます。
コーチングには傾聴力が問われ、若手社員には荷が重い場合が多いからです。
そこで、2年目の先輩〜数年目の若手にはティーチングの役割(=トレーナー)を、数年目〜上司にはコーチングの役割(=メンター)を担ってもらうのがよいでしょう。
さらに、人事担当がトレーナーや、メンターのメンターとして、育成に関しての悩みなどをサポートできるとベストです。