あなたが採用担当者だとして、情熱のある人と、無い人だとどちらを採用したいですか?一般的には情熱のある人を採用したいと思う人が多いのではないでしょうか?

さて、みなさんは情熱にも2つの分類があるのをご存知ですか?
今回はそんな情熱の二元モデルというものの紹介と、情熱がもたらす様々な効果について書いてみたいと思います。

情熱の二元モデル

情熱

まずは、情熱にも2つの種類がある、ということを紹介したいと思います。これはケベック大のVallerand教授(Robert J. Vallerand)らの研究によるもので、情熱には調和的情熱執着的情熱の2種類があるという研究です。

情熱 二元モデル

調和的情熱(Harmonious passion)はワクワクした気持ちや、いい意味で楽しい空想、とされています。

一方、強迫的情熱とも呼ばれる、執着的情熱(Obsessive passion)は自分を追い込んでその活動を強いるような思考、とされています。

様々な研究から、調和的情熱はウェルビーイング(well-being)の高さと関連していることがわかっています。

逆に、執着的情熱はウェルビーイング(well-being)の低さと関連していることも論文として発表されています。

また、このあたりの話は下記の書籍にも記述があります。

情熱を測定する尺度

ここからはそんな情熱(パッション)を測定する尺度についてご紹介したいと思います。
このPassion Scaleは2003年にVallerand教授らによって開発されました。日本語版は下記の論文で紹介されてます。

パッション尺度日本語版の作成および信頼性・妥当性の検討

久保 尊洋、沢宮 容子
心理学研究 2018 年 第 89 巻 第 5 号 pp. 490–499

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/advpub/0/advpub_89.17205/_article/-char/ja/

詳細は上記論文をご覧いただければと思いますが、調和的情熱(論文中では調和的パッション)、及び、執着的情熱(論文中では強迫的パッション)はそれぞれ、6つの質問によって測定できるとされています。(パッション尺度にはさらに5項目からなるパッション基準というものがあります)

情熱 尺度
参考:パッション尺度日本語版の作成および信頼性・妥当性の検討 Table2より

論文中の記述で面白いと思ったのが下記の一文です。

「集団スポーツ」,「芸術」,「対人関係」といった
能動的な要素が大きい活動は調和性パッションが高く
「受身的余暇」や「読書」といった
受動的な要素が大きい活動は,強迫性パッションが高かった

ということで、情熱を注ぐ対象によっても情熱の要素が異なる傾向があるようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
冒頭で情熱のある人を採用したい人が多いと思う、と書きましたが、それは調和的情熱なのか、執着的情熱なのかによって異なるかもしれませんね。

下記の参考図書や論文もご覧いただければと思います。

パッション尺度日本語版の作成および信頼性・妥当性の検討

久保 尊洋、沢宮 容子
心理学研究 2018 年 第 89 巻 第 5 号 pp. 490–499

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/advpub/0/advpub_89.17205/_article/-char/ja/


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