先日、とある大企業の労働組合様でチームビルディング研修としてビジネスゲームを実施しました。


画像はイメージです。

3時間半という研修時間の中でゲームを2回繰返し、1回目のゲームの実施後、振り返りとミニ講義を行ってから、2回戦に挑み、PDCAサイクルを回します。

1回目のゲームが終了し、振り返りの際に「あなたたちのチームはなぜこの順位だったと思いますか?」という問いを立てて、チーム内で振り返りを行って頂きました。

すると、複数のチームからこんな発表がありました。
スピード感が無かった、判断が遅かった

この言葉がどうも引っかかって、実施後の帰宅道で色々と考えました。
大企業になるとスピード感が遅くなる」と言われるが具体的にはどういうことなのだろうか?

まだ考え途中ではありますが、対象で分けて考えてみると大きく4つの対象が考えられます。

A.個人の問題
B.グループの問題
C.グループ間の問題
D.階層の問題

A.個人の問題

組織の最小単位である個人の問題としては「情報不足」「定量分析力の有無」「機会損失コストの視点の有無」など複数の要素が挙げられます。

情報が不足していれば判断ができないでしょうし、情報が揃っていても定量的な分析ができる力が無ければ、スピード感はあっても正しい判断ができないということになりますし、何もしないことで失っているものがある、という機会損失の視点がなければ必然的にスピード感は失われます。

特に重要なのは、意思決定を行う参考になる「情報」が揃っているかということになると思います。

B.グループの問題

複数人が集まったグループの問題としては誰が最終的な意思決定を行うのか、という意思決定者という役割が欠如しているとスピード感は遅くなります。

また、複数人での意思決定には、目的や、意思決定を行う判断軸から議論する必要があり、各個人は様々な価値観を持っているため、そこにはコンフリクトが発生します。

例えば、砂漠に3つしかモノを持っていけないとしたら何を持っていくかというディスカッションでさえ、「楽しみに行くのか?」「暮らすために行くのか?」といった目的から話し合わないといけません。

C.グループ間の問題

グループとグループにまたがる問題を解決しようとするときにスピード感が遅くなってしまう理由の1つに「大事にしているモノ・価値観が違う」ということが挙げられると思います。

具体的には、経理部と、営業部のグループ間で考えれば月次の決算数値を早く報告したいため、出張経費の申請を早く出して欲しい経理部と、ノルマとなっている売上数値を達成するため、経費の申請は後回しになる営業部では大事にしているモノ・価値観が違うので、組織全体としてのスピード感が落ちてしまうということがあります。

D.階層の問題

最後は階層の問題です。大企業になればなるほど、縦の階層が増え、決裁を取るのに複数人の承認を得る必要があります。

これは1人1人の決裁権限が少ないということと言えるでしょう。
具体的には金額にしていくらまでの決済金額を持っているかということが挙げられます。
あなたの会社では100万円の決裁金額で、何人の承認を得る必要があるでしょうか

スピード感を上げるには「情報」と「ビジョン」と「権限委譲」が必要

以上の簡易的な分析からスピード感のある組織を作るには大きく3つの要素が必要なのではないか?と現時点では考えています。

1つ目は「情報」です。意思決定を行うのに必要最低限の情報が揃っていて、それが「公開されている」ことが重要だと思います。

あるところには揃っていても公開されていない情報は無いに等しいと思います。
具体的には月次の売上、利益といったPL情報が社員に共有されているかどうかで、なぜ自分たちの給与が上がらないのかという不満は少しは消えるのではないか?と思います。

2つめは「ビジョン」です。ビジョンというと少し伝えたいニュアンスが違うのですが、「組織として大事にしているモノ」というイメージです。

特に、グループ内や、グループ間でのスピード感を上げたければ、「組織として何を重視するのか?」が明確であれば、ビジョンは意思決定の軸となり、スピード感が上がると共に、ビジョンの達成も早まるでしょう。

得てしてビジョンというのは抽象度が高く、普段の仕事とは関連性が薄いものになりがちですが、もう少し抽象度を落とした仕事の判断軸になりえるビジョンを掲げることが必要なのではないかと思っています。

最後は「権限委譲」です。1人1人が判断できる権限範囲を広げることでスピード感を上げることができます。

そうは言ってもこれが出来ない理由は「失敗に対する許容度」が低いからだと言えます。

大企業になればなるほど、社会に与えるインパクトは良い意味でも悪い意味でも大きくなります。一言で言えば「失敗しづらくなる」のです。

評価制度などとも絡むことだと思いますが、トップの意思で失敗を許容する文化に基づく権限委譲が必要だと思います。

まとめ

スピード感のある組織を作るためには「情報開示」と「仕事の判断軸になりえるビジョン」と「失敗を許容する権限委譲」が必要

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