中小企業の後継者育成研修の1歩目として実施したい「社長テスト」
中小企業の後継者不足が問題となっています。
株式会社帝国データバンクが2018年に発表した「後継者問題に関する企業の実態調査」によると国内企業の3分の2にあたる66.4%(約18万社)が後継者不在ということです。
最近では、後継者不足の中小企業をサラリーマンがM&Aしなさい、と主張する書籍も売れているようです。
なお、後継候補として全国で最も多いのは「子供」の 39.7%ながら、「非同族」も 33.0%となっており、「非同族」の割合は2017年と比較して1.5ポイント上昇した、とされています。
帝国データバンク 全国「後継者不在企業」動向調査(2018 年)
中小企業の後継者育成は最低3年以上
そこで、後継者育成が待ったなしという状況ですが、株式会社日本政策金融公庫が行った調査では、中小企業の8割以上の企業が、後継者の育成には最低でも3年以上かかると回答しており、早期からの着手が求められています。
代表者が高齢になってくると以下のようなケースで思うような後継者育成ができないということがあるようです。
後継社長への引継ぎや育成が上手くいかず、経営が立ち行かなくなったことで
事業清算を選択する企業が多い。
全国「後継者不在企業」動向調査(2018 年)
中小企業の後継者育成研修で実施したい「社長テスト」
では、どのように後継者育成を行っていくべきか?ということになりますが、これだけで本が1冊書けるぐらいのボリュームがありますので、今回は、後継者育成研修の第一歩として実施したい「社長テスト」について紹介したいと思います。
社長テストはインバスケット思考を用いた研修で有名な株式会社インバスケット研究所の鳥原隆志 氏による書籍のタイトルです。
本の概要としては、とある企業の経営者(社長)として20個の案件(問題)に対応していきます。それぞの案件(問題)には3つの選択肢があり、それぞれ選択を行っていくと最後に社長力(本書では社長スタイル)が分析できるというものです。
ここからは個人的な感想になりますが、分析結果である社長スタイルは、会社を潰す7つの要素について分類されていると思います。
7つの要素とは下記のとおりです。
2.クーデター(社長解任など)
3.売り上げ減少
4.人材不足
5.拡大しすぎ
6.管理不足(横領など)
7.信用悪化(金融機関による資金引き揚げなど)
社長テスト P.208 より
社長テストによっては上記の7つの要素のうち、あなたがどの要素で会社を潰すことになるのか?をシミュレーションすることができます。もちろん、8個目のパターンとしてバランス型というものがあり、このケースの場合は倒産を免れることになります。
後継者育成にはやるべきことがたくさんあると思いますが、その第1歩として経営者意識を感じてもらうためにシミュレーションを行うというのはいかがでしょうか。
また、このようなシミュレーションは本だけでなく、ビジネスシミュレーションゲーム(通称:ビジネスゲーム)というゲーム形式で実施することも可能です。
管理職以上の方に実施して効果のあるビジネスゲームは下記を御覧ください。
ちなみに、上画像は財務の虎という財務会計研修用のビジネスゲームとなります。
管理職研修で使えるビジネスゲーム10選
まとめ
いかがでしょうか。
今回は最初に中小企業の後継者問題のデータを取り上げ、その後、後継者育成の第一歩として比較的フランクにできる社長テストをご紹介しました。
なお、後継者育成の全体像についてはこちらの資料が簡潔にまとまっていますので合わせてご覧ください。