積極的傾聴(アクティブリスニング)は、管理職にとって欠かせないスキルの一つです。

傾聴力は経済産業省が提唱する社会人基礎力チームで働く力の1要素としても取り上げられており、特に管理職にとっては部下の業務遂行やメンタルヘルスの観点からも重要です。

社会人基礎力 傾聴

この記事では、積極的傾聴の3原則、実践テクニック、良い傾聴と悪い傾聴の会話例を紹介した上で、自分の傾聴力を測定できる無料Webテストもご案内します。

目次

1. 積極的傾聴(アクティブリスニング)とは

2. 積極的傾聴の実践テクニック

3. 良い傾聴と悪い傾聴の会話例

4. 積極的傾聴態度評価尺度(ALAS)

5. 積極的傾聴態度評価尺度短縮版のWebテスト

6. まとめ

積極的傾聴(アクティブリスニング)とは

積極的傾聴はアクティブリスニングとも呼ばれ、米国の心理学者カール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって提唱されました。

単に「聞く(hear)」のではなく、相手の言葉の背景にある感情や意図まで理解しようとする能動的な聴き方です。

ロジャーズは積極的傾聴の3原則として以下を挙げています。

原則1. 共感的理解

相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら聴くことです。

ここで重要なのは、「同意」と「共感」は異なるという点です。相手の意見に賛成する必要はありません。「あなたはそう感じているんですね」と相手の感情を受け止めることが共感的理解です。

原則2. 無条件の肯定的関心

話の内容を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか関心を持って聴くことです。

「それは違う」「でも…」と反射的に否定してしまうと、相手は本音を話せなくなります。まずは善悪や好き嫌いの評価を入れずに受け止める姿勢が求められます。

原則3. 自己一致

わからないところは聞き直して内容を確かめ、相手に対しても自分に対しても真摯な態度で聴くことです。

わかったふりをしたり、表面的にうなずいたりするのではなく、本当に理解できているかを自分自身に問いかけながら聴く態度のことです。理解できていなければ素直に確認することが信頼関係の構築につながります。

積極的傾聴の実践テクニック

ロジャーズの3原則を実践するための具体的なテクニックを、言語的(バーバル)と非言語的(ノンバーバル)に分けて紹介します。

言語的テクニック(バーバル)

テクニック 内容
あいづち 相手の話に反応を示す 「なるほど」「そうなんですね」「ええ」
オウム返し 相手の言葉をそのまま繰り返す 「納期が厳しいと感じているんですね」
パラフレーズ 相手の話を自分の言葉で言い換える 「つまり、スケジュールに余裕がないということですね」
オープンクエスチョン はい/いいえで答えられない質問をする 「どのあたりが一番大変ですか?」

非言語的テクニック(ノンバーバル)

テクニック 内容 ポイント
アイコンタクト 適度に相手の目を見る 凝視しすぎず、自然な頻度で
姿勢 体を相手に向ける 腕組みや足組みを避け、やや前傾に
声のトーン 相手のペースに合わせる 落ち着いた声で、早口にならないように
表情 話の内容に合った表情をする 深刻な話に笑顔で返さないよう注意

言語的テクニックと非言語的テクニックを組み合わせることで、「この人はちゃんと聴いてくれている」という安心感を相手に与えることができます。

良い傾聴と悪い傾聴の会話例

管理職と部下の1on1ミーティングを想定した2つの会話パターンを紹介します。

ケース1:部下が業務の悩みを相談するとき

悪い傾聴の例
部下 「最近、A案件の進め方で悩んでいて…」
上司 「A案件ね。それは○○すればいいよ。あと、B案件の件だけど…」

→ 部下の話を最後まで聞かず、すぐにアドバイスに入り、さらに別の話題に切り替えてしまっています。

良い傾聴の例
部下 「最近、A案件の進め方で悩んでいて…」
上司 「A案件の進め方で悩んでいるんですね。具体的にはどのあたりですか?」
部下 「クライアントの要望が途中で変わることが多くて、スケジュールが読めないんです」
上司 「なるほど、要望の変更が多くてスケジュール管理が難しいと。それは大変ですね」

オウム返しで内容を確認し、オープンクエスチョンで詳細を引き出し、共感を示しています。

ケース2:部下がミスを報告するとき

悪い傾聴の例
部下 「すみません、見積書の金額を間違えてクライアントに送ってしまいました」
上司 「なんでそんなミスをしたの?ちゃんと確認した?前にも同じこと言ったよね」

→ 原因追及と過去の指摘を持ち出しており、部下は萎縮して次からミスを隠すようになる可能性があります。

良い傾聴の例
部下 「すみません、見積書の金額を間違えてクライアントに送ってしまいました」
上司 「報告ありがとう。まず状況を教えてもらえますか?いつ、どのように気づきましたか?」
部下 「今朝クライアントから問い合わせがあって気づきました。正しい金額より10万円低い金額でした」
上司 「状況はわかりました。まずはクライアントへの訂正連絡を一緒に考えましょう。その後で再発防止も話しましょう」

→ 報告したこと自体を認め、事実の確認を行い、解決策を一緒に考える姿勢を示しています。このような対応をすると、部下はミスを隠さずに報告できるようになります。

積極的傾聴態度評価尺度(ALAS)

では、自分の傾聴力は実際どの程度なのでしょうか。ここではALAS(Active Listening Attitude Scale:積極的傾聴態度評価尺度)の短縮版を参考に、積極的傾聴を構成する要素を見ていきます。

積極的傾聴態度評価尺度(短縮版)は20個の質問からなる尺度で、積極的傾聴を2つの要素に分解しています。

1.傾聴の態度
例:相手の話が終わらないうちに話し始める
例:相手と話していると,つい指示,説得調の話し方になる

2.聞き方
例:言葉には表現されていない相手の気持ちにも注意しながら聞いている
例:自分は相手の立場になって話を聞いている

引用:短時間で行う積極的傾聴研修の効果
―2時間30分で実施する管理監督者研修の検討―
巽 あさみ, 住吉 健一, 川口 仁美, 佐野 雪子

産業衛生学雑誌/52 巻 (2010) 2 号 p. 81

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/52/2/52_E9005/_article/-char/ja/

上画像の質問のうち、1.2.4.8.11.12.13.14.15.16が傾聴の態度に関する項目、3.5.6.7.9.10.17.18.19.20が聞き方に関する項目です。

下記の論文によれば、積極的傾聴法を研修として導入した結果、職業性ストレス簡易調査票12項目版における上司の支援が有意に上昇したとのことです。(分析対象の47課のうち8課で上昇)

引用
積極的傾聴法を取り入れた管理監督者研修による効果
池上 和範, 田川 宜昌, 真船 浩介, 廣 尚典, 永田 頌史

産業衛生学雑誌/50 巻 (2008) 4 号 p. 120-127

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/50/4/50_E7008/_article/-char/ja/

積極的傾聴態度評価尺度短縮版のWebテスト

積極的傾聴態度評価尺度短縮版のWebテスト(無料、個人情報の入力なし)を開発しましたので、ご自身の傾聴力を測定してみてください。

結果はこのように表示されます。

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まとめ

積極的傾聴(アクティブリスニング)は、カール・ロジャーズが提唱した「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」の3原則に基づく聴き方です。

あいづちやオウム返しといったテクニックも大切ですが、根本にあるのは「相手を理解しようとする姿勢」です。管理職として部下との信頼関係を築くために、まずは上記のWebテストで自身の傾聴力を測定し、日々の1on1ミーティングで意識してみてください。

なお弊社では傾聴力を高めるビジネスゲーム「傾聴チャレンジ」を提供しています。

詳しくはこちらをご覧ください。

傾聴研修ゲーム「傾聴チャレンジ」のやり方

参考文献

短時間で行う積極的傾聴研修の効果
―2時間30分で実施する管理監督者研修の検討―
巽 あさみ, 住吉 健一, 川口 仁美, 佐野 雪子
産業衛生学雑誌/52 巻 (2010) 2 号 p. 81
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/52/2/52_E9005/_article/-char/ja/

積極的傾聴法を取り入れた管理監督者研修による効果
池上 和範, 田川 宜昌, 真船 浩介, 廣 尚典, 永田 頌史
産業衛生学雑誌/50 巻 (2008) 4 号 p. 120-127
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/50/4/50_E7008/_article/-char/ja/


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