今回は面白い論文を見つけたのでご紹介したいと思います。
それが、上司と部下の信頼関係についての研究です。

上司・部下関係における相互の被信頼を測定する尺度の作成
藤原 勇

産業・組織心理学研究
2017 年 31 巻 1 号 p. 37-54

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/31/1/31_37/_article/-char/ja/

弊社では過去にリーダーが信頼を獲得するための2つの方法というテーマでホランダーの同調性と有能性についてご紹介しました。

過去記事はこちらからご覧いただけます。

リーダーが信頼を獲得するための2つの方法

今回の論文が面白いと感じたのは、上司と部下のお互いの信頼関係について研究されている点です。

下図は上司が部下を信頼するための要素についてのデータです。

専門性、ホウレンソウ、時間や約束の厳守という要素が抽出されています。

続いて、下図は上司が部下から信頼されているな、と感じる要素についてのデータです。

ホウレンソウ、傾倒という要素が信頼されているな、と感じる一方、信頼されていないなという要素として礼儀の欠如が抽出されています。

そう考えるとホウレンソウってやっぱり大事なんですね。

最後に下図では上司から部下、部下から上司、それぞれの信頼についての共通要素と違いをまとめています。

少し分かりづらいので、論文内の文章も紹介します。

部下への信頼と上司からの被信頼で共通した要素として,上司も部下も
「こまめに報告・連絡・相談できる」
「仕事に対する積極的な態度や学習態度の評価」
「能力が高い」

がみられた。

このことから,上司から部下への下方向の信頼では,
こまめな報告・連絡・相談や高い仕事への意欲,有能さを評価することは
上司・部下間で一致しているといえる。

つまり、ビジネスパーソンとして信頼されるための重要な要素としてホウレンソウ、積極性という行動、そして、有能であることが大事なんですね。

一方,部下への信頼では「納期厳守」「傾聴」「自己管理力」がみられた。
このことから,上司は部下が話を傾聴する真摯な態度を有し,約束や納期を厳守でき,
そのための自己管理力を有すると信頼を高めるといえる。

加えて、部下の立場で信頼を得るには自己管理力と、上司の話をちゃんと聴くという要素が重要ということです。

では、上司が信頼されるにはどうでしょうか。

上司への信頼と部下からの被信頼で共通した要素として,
上司も部下も
「礼儀が欠如していない」
「仕事に対する積極的で真面目な態度」
「能力が高い」
「指示・指導・助言・注意が的確」

がみられた。

このことから,部下から上司への上方向の信頼では,礼儀正しく真面目で
仕事に意欲的で誠実な人柄,能力の高さ,指示や助言などの的確さを
評価することは上司・部下間で一致しているといえる。

能力の高さはもちろん、部下への礼儀や、積極性といった態度、そして、上司としてアドバイスが的確であることが大事なんですね。

一方,上司への信頼では
「思い遣り」「自己中心的(R)」「マナーの指導」「言動の一貫性」「正直さ」
「悪意ある言動(R)」「頼りにならない(R)」「学習意欲が高い」
がみられた。

このことから,部下は上司の言動が一貫し,その言動に嘘がなく,
配慮に満ちたものであると信頼を高めるといえる。

部下の視点では人間性のようなものが特に信頼に影響するような結果になっていますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は上司と部下の信頼関係についての研究をご紹介しました。
ぜひ論文も読んでみて下さい。

上司・部下関係における相互の被信頼を測定する尺度の作成
藤原 勇

産業・組織心理学研究
2017 年 31 巻 1 号 p. 37-54

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/31/1/31_37/_article/-char/ja/


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