レジリエンスを築く10の方法
ストレス社会・変化の速いビジネス環境において、個人・組織ともに重要性が高まっている能力がレジリエンス(resilience)です。日本語では復元力・しなやかな強さと訳され、ストレスフルな出来事を受け止めながらも回復していく力を指します。
本記事では、アメリカ心理学会(APA)が提唱するレジリエンスを築く10の方法を整理し、マインド系・行動型の分類、組織・職場で実践するためのポイント、そしてご自身のレジリエンスを可視化するセルフ診断までをまとめます。
レジリエンスとは「しなやかな強さ」
レジリエンスのイメージとしてよく使われるのが竹です。強い風に吹かれた時、竹は折れ曲がるように「しなる」ものの、一見屈強そうな木とは違いポキッと折れることはありません。この「しなる」部分がストレスに対してストレスをうまく受け流すことと結びつけて語られてきました。
レジリエンスの発想は「ストレスをまったく受けない状態を目指す」のではなく、ストレスは前提として存在するが、それを受け流し回復する能力を身につけるというものです。この考え方は、個人のメンタルヘルスだけでなく、組織のBCP(事業継続)やチームの変化対応力にも拡張されています。
アメリカ心理学会(APA)が提唱する「レジリエンスを築く10の方法」
アメリカ心理学会(APA)は、一般向けにレジリエンスを築く10の方法を公開しています。日本の研修担当者でも参考にしやすい内容で、多くの企業のレジリエンス研修にも引用されています。

10個の方法は、大きく「マインド系」と「行動型」の2群に分類できます。
| 分類 | 方法 |
|---|---|
| マインド系 | 2. 危機を乗り越えられない問題と見るのはやめよう 3. 変化は生きることの一部であることを受け入れる 6. 自己発見の機会を探す 7. 自分を肯定的に見る力を養う 9. 希望に満ちた展望を持ち続ける |
| 行動型 | 1. コネクション・人とのつながりを作る 4. 目標に向かって行動する 5. 不利な状況でも、決断して行動する 8. 物事の見通しを立てておく 10. 体・体調に気をつける |
さらにざっくり要約するとこうなります。
★ 行動型 → 人とのつながりを作り、長期目標に向けて日々行動し、体調を整えよう
当たり前のように見える項目ばかりですが、実際に日々の仕事・生活の中で継続しようとすると難易度が高いのがレジリエンス強化の奥深さです。
組織・職場でレジリエンスを育むポイント
レジリエンスは個人の資質だけでなく、職場環境や人間関係にも強く依存します。組織としてレジリエンスを育むには、次のようなアプローチが有効です。
・心理的安全性を高める:失敗や困難を正直に話せる場をつくり、ストレスを抱え込む前に相談できる風土にする
・1on1ミーティングの定期化:上司との短時間対話の中で、小さな困りごとや感情の揺らぎに早く気づく
・セルフケア研修・ラインケア研修:個人のセルフケア(自己回復)と、管理職のラインケア(部下の観察・支援)を両輪で実施する
・目標設定の見直し:パニックゾーンに陥る過大目標ではなく、ストレッチゾーンでの目標設定を習慣化する
・社内コミュニティの支援:部署を超えたつながりや同期会などを推奨し、職場以外の支援源を増やす
自分のレジリエンス力を診断する方法
「10の方法はわかったけれど、そもそも自分のレジリエンス力ってどのくらい?」という方には、二次元レジリエンス要因尺度によるセルフ診断が参考になります。

二次元レジリエンス要因尺度によるレジリエンス診断
レジリエンスを鍛える書籍
レジリエンスの体系的理解と、日常での実践方法を学ぶには、久世浩司氏の下記書籍が参考になります。
まとめ
レジリエンスは、ストレス社会を生き抜く個人と組織に不可欠な能力です。APAが提示する10の方法をマインド系・行動型の2軸で整理し、職場環境・1on1・セルフケア研修と組み合わせながら育むことが、個人と組織双方にとっての現実的なアプローチとなります。
1年の目標設定時などは、新しい取り組みに目が向きがちですが、本質的なレジリエンスを高める行動こそしっかりと目標に入れていきたいところです。
