心理的資本の4つの要素
今回は最近注目されている心理的資本についてご紹介したいと思います。
心理的資本とは、個人のポジティブな心理状態を強化し、パフォーマンスや満足度を向上させるための概念です。
心理的資本の構成要素は以下の4つなっています。
⇒自己効力感は、自分が特定の課題や挑戦を成功裏に達成できるという信念です。
自己効力感が高い人は、困難な状況でも積極的に取り組む傾向があります。
2.希望(Hope)
⇒希望は、目標を達成するための経路を見つけ、その目標に向かって
モチベーションを維持する能力です。
希望が高い人は、目標達成のために複数の方法を考え、
障害があっても諦めずに進むことができます。
3.レジリエンス(Resilience)
⇒レジリエンスは、逆境や困難に直面しても、回復し適応する能力です。
レジリエンスが高い人は、失敗や挫折から素早く立ち直り、
学びを得て前進することができます。
4.楽観主義(Optimism)
⇒楽観主義は、未来に対する前向きな見方と、成功を期待する態度です。
楽観主義者は、ネガティブな出来事が一時的であり、
自分の努力で状況を改善できると信じています。
なお、心理的資本は特性ではなく、状態であるとされており、同じ個人においてもタイミングによって心理的資本が低下しているということが起こり得ます。
心理的資本の尺度
では、自己効力感、希望、レジリエンス、楽観主義という4つの要因は具体的にどのような項目から成り立っているのでしょうか?
それを調べた論文の中に12項目による尺度のようなものが掲載されていました。

従業員離脱行動の規定要因としての心理的資本に関する研究
―中国のアパレルメーカーを事例として―
顧 抱一
経営行動科学
2015 年 28 巻 2 号 p. 117-137
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaas/28/2/28_117/_article/-char/ja
いかがでしたでしょうか。各項目を見て、現在の、自分の心理的資本は高いと言えるでしょうか?
また、上記で引用した論文では心理的資本が従業員離脱行動(離職や欠勤)に与える影響を研究されていますが、そのパス図が下のとおりです。

心理的資本は離職意思や、ストレスなどに強い影響を与えていることがわかります。
論文の内容も面白いのでぜひ読んでみてください。
心理的資本とウェルビーイングなどとの違い
ここで、心理的資本に比較的似ている概念としてウェルビーイングや、エンゲージメントとの違いを考えてみたいと思います。
まずはウェルビーイングとの違いについて考えてみます。
ウェルビーイングは、個人の総合的な幸福感や生活の質のことを意味しています。
以前にも紹介しましたが、ウェルビーイングの要素はPERMAとして知られています。

Engagement:エンゲージメント、またはフロー状態を生み出す活動への従事
Relationship:関係性
Meaning and Purpose:人生の目的や仕事の意義、及び目的の追求
Achievement:何かを成し遂げること
ウェルビーイングについての過去記事はこちら
ポジティブ心理学のPERMAと組織開発
ということで、ウェルビーイングについて軽く復習したうえで、心理的資本との違いを考えてみると、両者の目的の違いが見えてきます。
個人のパフォーマンスや成果を最大化すること。
ウェルビーイングの目的は、
個人の全体的な生活の質や幸福感を向上させること。
つまり、心理的資本のほうがややビジネス寄り、ウェルビーイングのほうが人生全体についての成果や質を高める目的があることがわかります。
続いて、最近注目されているエンゲージメントとの違いも考えてみたいと思います。
エンゲージメントは、個人が仕事に対して示す積極的な態度や関与の度合いを意味しています。
エンゲージメントは活力(Vigor)、熱意(Dedication)、没頭(Absorption)の3要素で構成されているとされています。

画像引用:https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=72731?site=nli
ということで、違いについて考えてみたいのですが、どちらかというと、心理的資本とエンゲージメントは関連しており、相互に影響を与えるように思えます。
例えば、高い心理的資本を持つ人は、仕事に対しても高いエンゲージメントを示す可能性が高いように思えます。
よく、エンゲージメントが高い社員は離職率が低いと考えれていますが、先ほど紹介した論文でも心理的資本が高いほうが離職意思が低いといった結果が出ています。
エンゲージメントについての下記記事はこちらです。
ワークエンゲージメントが社員の健康と業績を向上させる
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は心理的資本の4要素と、それぞれの具体的な項目、そして、ウェルビーイング、エンゲージメントといった関連しそうなキーワードの違いをご紹介しました。参考になれば幸いです。

従業員離脱行動の規定要因としての心理的資本に関する研究
―中国のアパレルメーカーを事例として―
顧 抱一
経営行動科学
2015 年 28 巻 2 号 p. 117-137
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaas/28/2/28_117/_article/-char/ja
