2025年現在も多くの日本企業がグローバル化・多国籍チームの課題に直面しています。外国人社員と一緒に仕事をするとき、すれ違いの原因として最初に語られるのが“コンテクスト”(文脈)の違いです。

しかし、ハイコンテクスト/ローコンテクストという1軸だけでは、実際の業務で起きるすれ違いを完全には説明できません。本記事では、フランス人教授エリン・メイヤーが提示する”8つの指標”(ハイ/ローコンテクストを含む)をまとめて紹介します。

異文化理解 ハイコンテクスト ローコンテクスト

まずは基本|ハイコンテクスト・ローコンテクスト

エリン・メイヤー(Erin Meyer)の書籍『異文化理解力』で広く知られるようになった分布図が上の図です。

タイプ 特徴 代表国
ハイコンテクスト 言わなくても互いの意図を読み取る/空気を読む 日本/韓国/中国
ローコンテクスト 明示的に言葉で伝える/言外の意味は期待しない 米国/オランダ/オーストラリア

日本人がハイコンテクスト寄りである背景は次のような要素があります。

背景要素
ほぼ単一民族・単一言語
島国で近隣との距離がある
長い鎖国期などで他国との交流が限定的だった歴史

しかし、メイヤーはハイ/ローコンテクスト以外にも“異文化理解で見逃せない指標”を7つ追加で挙げています。

メイヤーの8つの指標

No 指標(英語) 日本語 両極
1 Communicating コミュニケーション low-context vs high-context
2 Evaluating 評価・フィードバック direct vs indirect negative feedback
3 Persuading 説得 principles-first vs applications-first
4 Leading リーダーシップ egalitarian vs hierarchical
5 Deciding 決断 consensual vs top-down
6 Trusting 信頼形成 task-based vs relationship-based
7 Disagreeing 反論 confrontational vs avoids confrontation
8 Scheduling 時間・予定 linear-time vs flexible-time

各指標の要点

指標 日本人が陥りやすいすれ違い
①Communicating 言外の意図を相手が読み取れず、誤解されたまま進行
②Evaluating 遠回しのネガフィードバックが伝わらず、問題が残る
③Persuading “まず原則”派と”まず事例”派で議論が噛み合わない
④Leading 階層を大事にする vs 対等に話す、で関係性の作り方が違う
⑤Deciding 日本の”稟議(合意型)”と海外の”トップダウン”の時間感覚のずれ
⑥Trusting 関係性ベースの国では食事・雑談に時間をかけてから仕事
⑦Disagreeing 直接反論を”無礼”と感じる文化/”議論の一部”と感じる文化
⑧Scheduling 時間厳守の国/融通を利かせる国で、遅刻の意味が違う

具体例|EvaluatingとCommunicatingのマトリクス

例えばEvaluating(評価の仕方)の分布は以下のようになっています。

異文化理解 Evaluating

CommunicatingとEvaluatingの2軸でマトリクスを作ると、国ごとの特徴が浮かび上がります。

異文化理解 マトリクス

象限 特徴 代表国
①低コンテクスト×直接的評価 何でも明確に・直接言う オランダ/ドイツ/イスラエル
②低コンテクスト×間接的評価 伝達は明確だがネガは柔らかく 米国/英国/カナダ
③高コンテクスト×直接的評価 言葉は婉曲だがネガフィードバックは率直 フランス/ロシア/スペイン
④高コンテクスト×間接的評価 言葉も評価も婉曲 日本/韓国/インドネシア

日本は④の象限に位置し、他の象限の国から見ると”何を言いたいのかわからない”状況になりがちです。

異文化理解を実務に活かすコツ

場面 押さえる指標
海外拠点とのオンライン会議 ①Communicating/⑤Deciding
多国籍チームでのフィードバック ②Evaluating
新規顧客との関係構築 ⑥Trusting
グローバルPJの進行管理 ⑧Scheduling
クリティカルな議論 ⑦Disagreeing

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まとめ

異文化理解はハイ/ローコンテクストの1軸だけでは語れません。エリン・メイヤーの8指標(Communicating/Evaluating/Persuading/Leading/Deciding/Trusting/Disagreeing/Scheduling)で捉えると、業務上のすれ違いが8倍解像度高く見えてきます。

海外拠点・多国籍チーム・グローバル顧客を相手にする方は、自社や自チームを8指標で位置づけてみてから、次のコミュニケーション設計を考えてみてください。

画像引用:山科美智子『コミュニケーションにおける文化的相違:日本人の異文化認識とErin MeyerによるThe Culture Mapとの比較』(埼玉女子短期大学研究紀要)
https://ci.nii.ac.jp/naid/120006458107/

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