今回は組織市民行動について書いていきたいと思います。
組織市民行動については過去の記事でも書いていますのでそちらもぜひご覧ください。

組織市民行動の5つの次元

組織市民行動とは

まずは簡単に組織市民行動とは何かを紹介します。

組織市民行動を提唱したオーガン教授の定義によれは組織市民行動は下記のように表されます。

1.任意の行動であり

2.公式の報酬システムによって直接、
もしくは明確に承認されているものではなく

3.集合的に組織の効率を促進するもの

ということになります。簡単に言えば、こんな感じでしょうか。

命令されなくても、自主的な行動によって、組織の効率性を高めるもの

例えば、誰に頼まれたわけでもないのに、社内で事例共有勉強会を実施する人は組織市民行動が出来ていると言えると思います。

また、組織市民行動は以下の5つの要素で構成されるとされています。

組織市民行動 次元
参考:職場学習の探究 企業人の成長を考える実証研究

なお、学生スポーツの分野では組織市民行動が多いチームは大会での成績も良いという研究結果も出ているようです。

組織市民行動 効果

スポーツチームにおける組織市民行動,チームメンタルモデルと
パフォーマンスの関係の検討―大学生球技スポーツ競技者を対象として―

スポーツパフォーマンス研究 4, 117-134, 2012
河津慶太, 杉山佳生, 中須賀巧

https://ci.nii.ac.jp/naid/110009396191

日本版の組織市民行動尺度について

では、具体的にどのような行動が組織市民行動と言えるのか、先ほど紹介した5つの次元をより細かい行動レベルで把握するために日本版の組織市民行動尺度を紹介したいと思います。

なお、日本版の組織市民行動尺度については下記の論文を引用しております。

日本版組織市民行動尺度の研究
田中 堅一郎
産業・組織心理学研究
2002 年 15 巻 2 号 p. 77-88
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/15/2/15_77/_article/-char/ja/

上記論文によれば、組織市民行動尺度は以下の項目で定義されます。
組織市民行動尺度

第1因子:対人援助
多くの仕事を抱えている人の手助けをする。
休んでいる人の仕事を代わりに手伝ってあげる。
仕事上のトラブルを抱えている人を、進んで手助けする。
他の部署を尋ねに来た訪問者の応対をする。
自分の周りにいる同僚や部下、上司に手を貸せるようにいつも準備している。
他の部署にいる人の仕事を助けてあげる。
上司の仕事であっても進んで手伝う。
同僚の仕事上のトラブルを進んで手助けする。

第2因子:誠実さ
不必要に仕事の手を休めないように心がける。
仕事中に必要以上の休息を取らないようにする。
仕事中は無駄な会話で時間をつぶさないようにする。
昼休みや休憩時間を長く取りすぎないよう努める。
仕事上のささいなことに対して、くどくど不平を言わないようにする。
自分の意見を職場の人たちに押し付けない。
自分から積極的に仕事を見つける。
会社(組織)の備品や消耗品を無駄使いしないよう努める。

第3因子:職務上の配慮
仕事で間違いに気がついたらすぐにそれを正す。
一度受けた仕事は最後まで責任を持って実行する。
自分の仕事に注意を行き届かせる。
同僚や深からの疑問や質問には、丁寧に答える。
職場の人に迷惑にならないように注意して行動する。
個人的に得た有益な情報を、適切な時に職場に提供する。

第4因子:組織支援行動
自分の会社(組織)が開催するイベントの情報を主体的に紹介する。
仕事の場以外でも積極的に自分の会社(組織)を宣伝する。
優秀な人材を自分の会社(組織)に入るように勧める。
仕事上の役割を果たすためには、家庭も犠牲にする。
参加が義務付けられていなくても、会社(組織)が主催する行事や祭典には参加する。
仕事の時間以外でも、顧客が会社(組織)に対して良い印象をもってもらえるよう努力する。
会社(組織)の新しい展開や内部の事情を、いち早く知るように努める。
社内報や掲示物にまめに目を通して、社内の最新事情を知っておく。

第5因子:清潔さ
職場では机はいつもきれいにし、汚さないように努める。
職場では自分の身の回りをきれいに掃除する。
文具品・消耗品を使いやすいように整理し、配置する。

これを見て、個人的にはややネガティブな項目表記が多いなと感じました。組織市民行動という言葉からはもう少しポジティブな行動のイメージを持っていました。また、それは少しやりすぎじゃない?(そんなことしてたら本質的な仕事できる?)という項目もあるように感じます。(あくまでも個人の感想です)

個人的な感想は置いておいて、「ん?5つの次元とちょっと違くないか?」と思った方も多いはずです。例えば、第5因子:清潔さは5次元モデルで言うところの、市民の美徳とも取れるけど、それは第3因子:職務上の配慮の方が近いしな・・・と。

5次元モデルと因子の違いについては論文でも触れていますので詳しく知りたい方はぜひ論文のほうもご覧になってください。

日本版組織市民行動尺度の研究
田中 堅一郎
産業・組織心理学研究
2002 年 15 巻 2 号 p. 77-88
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/15/2/15_77/_article/-char/ja/

いかがでしたでしょうか。今回は日本語版の組織市民行動尺度をご紹介しながら組織市民行動の具体的な行動について見ていきました。
参考になれば幸いです。


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