今回は理念浸透度合いの測り方ということで、経営理念浸透尺度について書かれた論文をご紹介したいと思います。

それがこちらの論文です。

経営理念浸透尺度の開発
廣川 佳子, 芳賀 繁

産業・組織心理学研究
36 巻 (2022) 2 号

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/36/2/36_173/_article/-char/ja/

理念浸透の4つのレベル

具体的な測り方の前に、前提知識として論文中でも触れられていた松岡モデル(下画像)と呼ばれる理念浸透の4つのレベルについて簡単に紹介しておきたいと思います。

画像引用
経営理念の浸透に関する先行研究の一考察
柴田 仁夫

経済科学論究
巻 10, p. 27-38, 発行日 2013
https://sucra.repo.nii.ac.jp/records/15090

過去記事でも書いていますが、

4段階の経営理念の浸透レベル

理念が浸透していると言っても「言葉として覚えている」と「非常にこだわっている」というような程度の差があることは間違いないと思います。

その差を4つのレベルで表現したのが松岡モデルです。

経営理念浸透尺度

ということでここからは論文で検証されている経営理念浸透尺度についてご紹介したいと思います。
早速ですが、下画像に具体的な質問項目と3つの因子が記載されています。

まず、認知についての質問項目が下記となります。

q4. 自分の言葉で他者に説明できる
q6. 内容を覚えている
q2. 成り立ちを知っている
q5. 社内外にどのように公表されているか知っている

内容を覚えているという松岡モデルでいうと最も低いレベルに該当する質問から、松岡モデルではレベル3に該当する自分の言葉で他者に説明できるまでがこの因子に含まれています。

次に、共感的理解についての質問項目が下記となります。

q11. 内容に納得している
q1. 抵抗なく受け入れることができる
q8. 自分の価値観との間にギャップがない
q9. 意味を解釈することができる

意味を解釈することができるは松岡モデルのレベル3に該当すると思いますが、それ以外の質問項目はレベル1〜2ぐらいに該当する質問項目でしょうか。

最後に、行動についての質問項目が下記となります。

q17. 意思決定をする際のよりどころにしている
q12. 経営理念の実現に必要な提案を行っている
q14. 経営理念と業務目標とのつながりを理解して仕事をしている
q13. 一緒に働く人たちと共有する

意思決定をする際のよりどころにしているなどレベル4の段階の質問が多いですが、一緒に働く人たちと共有するはレベル3に該当するかもしれません。

ということで、研究では経営理念浸透には認知、共感的理解、行動の3因子が抽出され、それぞれの因子の相関係数は下記のようになっています。

やはり、行動の因子が相関係数0.91と非常に高いですね。
ただ、認知と共感的理解については認知の相関係数の方が高く、これについてはどういうことなのか気になるところです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は理念浸透度合いの測り方として、経営理念浸透尺度、及び、松岡モデルをご紹介しました。

ぜひ論文も読んでみてください。
それがこちらの論文です。

経営理念浸透尺度の開発
廣川 佳子, 芳賀 繁

産業・組織心理学研究
36 巻 (2022) 2 号

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/36/2/36_173/_article/-char/ja/


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