今回はストレスに対するコーピングの中でも特に対人ストレスについて書いていきたいと思います。

既にストレスコーピングについて詳しい方は、コーピングにはストレスの原因となっているものに対する対処である問題焦点型コーピングと、ストレスを身体の外へ追い出したり、発散させたりする対処である、情動焦点型コーピングの2種類があることをご存知だと思います。

しかし、今回は対人ストレスに限定した場合のコーピングについて書いていきます。
今回の記事は下記の論文を参考に書いています。

大学生用対人ストレスコーピング尺度の作成
加藤 司

教育心理学研究
2000 年 48 巻 2 号 p. 225-234

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/48/2/48_225/_pdf/-char/ja

論文では大学生の対人ストレスコーピングについて調査・研究し、対人ストレスコーピング尺度を作成しています。そしてこの対人ストレスコーピング尺度は下記の3つの因子で構成されています。

1.ポジティブ関係コーピング
⇒積極的に肯定的な人間関係を成立・改善・維持するための努力する機能

2.ネガティブ関係コーピング
人間関係を積極的に放棄・崩壊する機能

3.解決先送りコーピング
⇒人間関係によって生じるストレスフルな出来事を問題視することもなく、
むしろ、軽視し、問題から回避するような機能

3因子中2つがややネガティブな因子に見えますが、尺度を構成する34の項目数を見てみると、1つめのポジティブ関係コーピングの項目が多くなっていることがわかります。


画像参照:大学生用対人ストレスコーピング尺度の作成 TABLE1より

上記の項目番号58〜57までの16項目がポジティブ関係コーピングについての項目となっています。
どのように利用するのかと言うと下記のように記載されています。

人間関係に起因するストレスフルなイベントに遭遇した際,普段の使用状況
4件法(よくあてはまる,あてはまる,少しあてはまる,あてはまらない)
で評定させ,各項目の得点を3-0点とした。

論文中で紹介されたこの尺度の大学生での平均値などは下記のとおりとなっています。

この調査では女性の方がポジティブ関係コーピングの点数が高く、男性の方がネガティブ関係コーピングの点数が高いのが面白いですね。

注意したいのは、ネガティブ関係コーピングや解決先送りコーピングが絶対的な悪ではないということだと思います。ストレスに対するコーピングとしてはこれらのコーピングも場合によっては必要だと思います。

ストレスが溜まった時、お酒を飲んで発散したい、というのは問題の根本解決にならず、しかも、それをやりすぎると悪影響がでますが、それでも、一時的にはストレスを発散させてくれます。

みなさんも上記の項目に対して自分がどうなのか(普段使用しているか)をよくあてはまる,あてはまる,少しあてはまる,あてはまらないで回答し、点数を出してみてください。(各項目の得点は3-0点)

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はストレスに対するコーピングの中でも特に対人ストレスについて、論文を紹介しながら書いてみました。

ぜひ論文もご覧になってください。

大学生用対人ストレスコーピング尺度の作成
加藤 司

教育心理学研究
2000 年 48 巻 2 号 p. 225-234

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/48/2/48_225/_pdf/-char/ja


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