共有地の悲劇インフォグラフィック|漁場と会議室の2具体例で学ぶコモンズのジレンマ+自己強化ループ+対策(ルール化/モニタリング/対話)

【結論】共有地の悲劇とは、誰でも利用できる共有資源(コモンズ)を各自が自己利益のために使い続けた結果、資源が枯渇して全員が損をする社会的ジレンマです。漁場の乱獲と会議室の私物化という2つの身近な具体例で「個人合理的・集団非合理的」な構造を体感し、対策(利用ルール化・モニタリング・関係者間の対話)につなげるための入門記事です。

目次

1. 共有地の悲劇の具体例:漁場
2. SDGs共有地の悲劇ゲーム
3. 共有地の悲劇の具体例:会議室
4. 共有地の悲劇の因果ループ図
5. 共有地の悲劇を体験で学べる|SDGs共有地の悲劇ゲーム オンライン
6. まとめ

今回は共有地の悲劇具体例について、会議室と漁業を例に挙げて紹介したいと思います。

まずは改めて共有地の悲劇とは何なのかを確認しておきましょう。

共有地の悲劇とは・・・

多くの人の利己的な行動によって共有資源が枯渇すること。

各自が適量を採取すれば存続できる資源も、
自己利益のために乱獲する者が増えれば枯渇し、
共有地全体の荒廃を招いてしまう。

デジタル大辞泉「共有地の悲劇」より
https://kotobank.jp/word/共有地の悲劇-1125495

ちなみに、共有地の悲劇はコモンズの悲劇(Tragedy of the Commons)とも呼ばれます。

共有地の悲劇の具体例:漁場

共有地の悲劇の具体例として比較的わかりやすいのが漁場です。
話を簡単にするために、ある漁場に2人の漁師(Aさん、Bさんとします)がいるとしましょう。(下画像の左をご覧ください。)


画像参照:https://style.nikkei.com/article/DGXDZO59370470W3A900C1W14001?page=3

2人がたくさん魚を獲れば、漁場から魚が減ります。もちろん、魚は卵を生み、増加しますが、卵から稚魚と大きくなるまでにはそれなりに時間が掛かります

もし、魚が少なくなった漁場を見て、AさんがBさんには魚を獲らせまい、と考え、我先にとより多くの魚を獲れば、Bさんも追随してAさんと同じかそれ以上の魚を獲ろうとします。

こうやってお互いが我先にとやっているといつの間にか漁場に魚自体がいなくなってしまった、という話です。

この具体例で、少し違った経済的な面から見てみると、漁獲量が増えたことで「需要と供給」のバランスから1匹あたりの販売単位は落ちてしまいます。(下画像)


画像参照:https://benesse.jp/teikitest/chu/social/social/c00109.html

そうなると、より多くの魚を獲らなければ生活は楽になりません。ということで2人が漁獲量を増やし続けるしかない(しかし、そうなるとまた販売価格は落ちる)という悪循環のループに陥ってしまう構造になっています。

この例の場合、漁場が共有地ということで、共有地が枯渇すれば全員に悲劇が訪れるということになります。

SDGs共有地の悲劇ゲーム

なお、弊社では漁場の事例からSDGsとシステム思考を体験するビジネスゲーム「SDGs共有地の悲劇ゲーム」を2021年11月より提供しております。
SDGs ゲーム

SDGs共有地の悲劇ゲームについてはこちらをご覧ください。

システム思考×SDGs 「SDGs共有地の悲劇ゲーム」オンライン

共有地の悲劇の具体例:会議室

共有地の悲劇の2つ目の具体例として、社会人の方にはあるあるかもしれませんが、会議室が埋まってる問題です。こちらのほうが身近な具体例かもしれません。

コロナ前までは、会議室が埋まっていて予約できないという問題に悩んでいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実はこれも共有地の悲劇の1例なのです。

当然、この場合の共有地とは「会議室」となります。

1.Aさんがスポットで会議室を予約しようとしたところ、
 意外と会議室が埋まっていることに気づく

2.来週も同様の会議をやるかも(確定してない)しれないので、
 Aさんは早めに来週の同じ曜日、同じ時間の会議室も予約した

3.ただ、実施には翌週の会議は行われず
 Aさんは多忙のため会議室のキャンセルするのを忘れていた

4.BさんもCさんもAさんと同様の行動を取っていた

ちょっとざっくりとですが、これも我先に、と会議室の予約を行って、かつ、キャンセルを行わないことで会議室が予約で埋まり、かつ、実際には使用されていないという事例です。

共有地の悲劇の因果ループ図

共有地の悲劇の因果ループ図は下記のようになります。因果ループ図とはシステム思考のツールの1種で世の中の様々なパターンを図で表現しています。

先程の漁場の話に関連付けて見てもらえればと思います。

共有地の悲劇 システム思考

なお、本来は「+」をSameを表す「S」、「ー」をOppositeを表す「O」で書くのが一般的です。ただ、SとOよりも+とーの方が一般にはわかりやすいのではないか?と思っています。

因果ループ図にすると少し複雑なのですが、Aさん、Bさんの行動=漁獲量が増えれば、短期的には利益が増えます。しかし、漁獲量が増えれば需要と供給の関係から1匹あたりの販売単位が減り、行動あたりの利益が減ります

最後には資源の限界=魚の枯渇が起こり、漁獲量が一気に減ることで共有地とそこに関係するすべての人に悲劇が訪れます

システム原型については不定期ですがシリーズ化して記事にしていますので興味があればぜひ他のシステム原型もご覧になってください。

簡単に解説!システム原型 シリーズ

共有地の悲劇を体験で学べる|SDGs共有地の悲劇ゲーム オンライン

【要点】共有地の悲劇は座学だけでは「分かったつもり」になりやすいテーマです。弊社のSDGs共有地の悲劇ゲーム(オンライン版)は、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」をテーマに、参加者が漁師となって有限の漁場で利益最大化を目指す中で「個人合理的・集団非合理的」な構造を体感し、対話による合意形成と持続可能な利用ルールづくりを学べる研修プログラムです。

各プレイヤーが自分の漁獲量を毎ラウンド決定し、合計漁獲が漁場の再生能力を超えると魚が枯渇するルール設計のため、「自分1人ぐらいなら大丈夫」が積み重なって全員が損する共有地の悲劇のメカニズムを身をもって体験できます。振り返りでは因果ループ図を使って構造を整理し、職場の会議室・予算・人員といった身近な共有資源にどう応用するかを議論します。

項目 内容
推奨人数 4〜100名超
所要時間 2時間程度(振り返り含む)
テーマ SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」/共有地の悲劇/システム思考
対象 新入社員研修・SDGs研修・管理職のシステム思考研修まで幅広く対応

▶ SDGs共有地の悲劇ゲーム(オンライン)の詳細・お問い合わせはこちら

まとめ

【要点】共有地の悲劇とは、個人の利益を優先した結果、共有の資源が荒廃してしまう現象を指します。この記事では、身近な具体例として漁場会議室の2つの事例を解説しました。さらに、温室効果ガスによる地球温暖化もこの問題の代表例であり、私たちの身の回りには多くの共有地の悲劇が潜んでいます。

いかがでしたでしょうか。今回は共有地の悲劇の具体例として漁場と会議室の2つをご紹介しました。
他にも温室効果ガスによる地球温暖化も共有地の悲劇の具体例と言えるでしょう。
みなさんもぜひ共有地の悲劇の具体例を探してみてください。


この記事を書いた人

千葉 順
千葉 順
株式会社HEART QUAKE 代表取締役
元法政大学兼任講師(キャリアデザイン論)
→ 詳しいプロフィール

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