怒ると叱るの違い|パワハラにならない叱り方インフォグラフィック

図: 怒ると叱るの違い|目的・感情・パワハラリスクの比較

【結論】「叱る」は相手の成長を促すための行為、一方「怒る」は自身の感情をぶつける行為であり、この根本的な違いを理解することが重要です。
職場で感情的に「怒る」ことはパワハラに繋がりかねません。相手を成長させるための「叱り方」を習得することが、健全な職場環境に不可欠です。
本記事では、両者の違いを明確にし、パワハラにならない「うまい叱り方」の具体的なポイントを解説します。

目次

1. 叱ると怒るの違い【5項目の比較表】
2. 「怒る」がパワハラになる境界線|職場で押さえる3つの要素
3. パワハラにならない「うまい叱り方」8つのポイント
4. 叱る前の30秒セルフチェック
5. 動画で学ぶ「叱ると怒るの違い」
6. 「叱る」と「怒る」に関するよくある質問
7. 研修導入をご検討の方へ|パワハラ防止研修なら「ハラスメントフラグカード版」

今回は職場においてパワハラにならないための「叱ると怒るの違い」について書いていきたいと思います。

なお、ハラスメントに関する記事は下記にまとまっております。

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叱ると怒るの違い【5項目の比較表】

早速ですが、叱ると怒るの違いを目的、内容、表現、結果、関係性の5つの項目で比較して表にまとめました。

項目 怒る 叱る
目的 自分の感情の高ぶりやイライラを相手にぶつける 相手により良い行動をしてもらう
内容 感情的 理性的
表現 威圧的・荒い 穏やか・冷静
結果 相手を傷つける・怯えさせる 相手に反省させる
関係性 崩れやすい うまく叱ると信頼関係が増す

まずは目的についてですが、怒るが自分の感情の高ぶりやイライラを相手にぶつけるのに対して、叱るは相手により良い行動をしてもらうという違いがあります。

ちなみに、ベネッセさんのサイトでは叱ると怒るの違いについて下記のように記載されていました。

「怒る」は自分の感情をぶつけるもの「叱る」は相手へのアドバイス

引用:https://benesse.jp/kosodate/202010/20201003-5.html

もちろん、当初は叱るのつもりで話し始めたが、いつの間にか、自分のイライラをぶつけることが目的になってしまっていたということがあるかもしれません。

そんなときは内容が感情的になっていないかを自分で確認する必要があります。叱る場合は内容を理性的に保つように心がけましょう。

表現方法も怒るでは威圧的・荒いになってしまう一方、叱るでは穏やか・冷静であるという違いがあります。ただし、冷淡・冷徹とは異なりますので注意して下さい。

怒ると叱るの違いは相手に与える結果や関係性も変わってきます。怒るでは結果として相手を傷つける・怯えさせるだけになってしまうことがありますが、叱るでは相手に反省させることができます。

結局は相手本人に変わる意思が芽生えなければなりませんので、反省、内省を促していくことが重要です。

最後に、関係性についてですが、怒るでは関係性が崩れやすいのに対して、叱るの方はうまく叱ると信頼関係が増すということが起こります。

きつい一言だったが、あの時、あれを言ってもらえてよかった。感謝してる。といった発言をアスリートのインタビューなどで見ることがあります。

元々関係性があったから信頼関係の向上につながったのか、うまい叱り方だったから信頼関係が上がったのか、鶏と卵のような話ですが、どちらにせようまい叱り方をすることが大事なことは間違いありません。

「怒る」がパワハラになる境界線|職場で押さえる3つの要素

子育ての場面と違い、職場で「怒る」ことにはパワハラ(パワーハラスメント)として法的な問題になるリスクが伴います。

労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)により、職場のパワハラ防止措置は2020年6月から大企業、2022年4月からは中小企業を含む全ての企業に義務付けられました。厚生労働省は、次の3つの要素をすべて満たす言動をパワハラと定義しています。

・優越的な関係を背景とした言動であること(上司から部下、先輩から後輩など)
・業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること
・労働者の就業環境が害されること

ここで重要なのは、厚生労働省の指針でも「業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導」はパワハラに該当しないとされている点です。つまり、叱ること自体はパワハラではなく、「相当な範囲」を超える表現になった時に問題になるのです。

比較表の「表現」の行を思い出してください。威圧的・荒い表現(怒る)は、そのまま「相当な範囲を超えた言動」と評価されやすく、穏やか・冷静な表現(叱る)であれば業務上の指導として認められやすい、という関係にあります。

厚生労働省が示すパワハラの6類型に沿って、「叱るつもり」で起きやすい言動を整理すると次のようになります。

パワハラの6類型 「叱る」つもりで起きやすい言動の例
身体的な攻撃 机を叩く、物を投げる、胸ぐらをつかむ
精神的な攻撃 人格や能力の否定、人前での長時間の叱責、大声で怒鳴る
人間関係からの切り離し ミスを理由に会議や連絡網から外す、無視する
過大な要求 「罰」として達成不可能な量の仕事を課す
過小な要求 「罰」として仕事を与えない、単純作業ばかりさせる
個の侵害 ミスの原因を私生活や家族のせいにして詮索する

参考: 厚生労働省「あかるい職場応援団」(パワハラの定義・6類型)

特に「精神的な攻撃」は、叱る内容が正しくても表現の仕方だけで該当してしまうため、管理職が最も注意すべき類型です。

パワハラにならない「うまい叱り方」8つのポイント

では、「うまい叱り方」とは何でしょうか。弊社では叱る状況・叱る内容・アフターフォローの3つの場面に分けて、8つのポイントに整理しています。

パワハラにならない叱り方の8つのポイント

場面 ポイント NG行動 OK行動
叱る状況 ①タイミング 以前の出来事を蒸し返す 起きたその場で(できるだけ早く)
叱る状況 ②場所 人前で 個別に
叱る内容 ③叱る対象 人格・能力 特定の行動
叱る内容 ④表現 強い口調 冷静に伝える
叱る内容 ⑤基準 不明確・バラバラ 基準が明確
叱る内容 ⑥相手の意見 言い訳させない 言い訳をよく聴く
アフターフォロー ⑦期待の明示 なし 期待を伝える
アフターフォロー ⑧改善承認 なし 改善を褒める

叱る状況では、①起きたその場で(お客様の前など無理な場合はできるだけ早く)、②人前ではなく個別に、が基本です。1ヶ月も経ってから「そういえばあの時」と蒸し返すのはNGです。

叱る内容では、③人格や能力ではなく特定の行動を対象にし、④強い口調ではなく冷静に伝え、⑤なぜ叱られたのかの基準を明確にします。基準やルールを相手に伝えていなかった場合は、その点をこちらが詫びることも重要です。⑥「言い訳させない」ではなく、相手の言い分をよく聴く機会を持つことで、納得感が生まれます。

アフターフォローは最も軽視されがちな場面です。⑦「あなたならできると思っている」という期待を明示し、⑧一度叱ったことが改善されていたら、それをきちんと褒める(承認する)ことで、比較表の「関係性」の行にある「うまく叱ると信頼関係が増す」状態に近づきます。

各ポイントの詳しい解説は下記の記事をご覧ください。

パワハラにならない叱り方の8つのポイント

また、叱り方のNG行動や、より実践的な伝え方については以下の記事も参考になります。

やってはいけない部下の叱り方6選|OJT指導者のNG行動

「かりてきたねこ」とは?パワハラにならない叱り方の7つのポイント

NVC(非暴力コミュニケーション)を用いた叱り方

叱る前の30秒セルフチェック

「怒る」と「叱る」の違いは頭では分かっていても、その瞬間には区別がつきにくいものです。部下に話しかける前に、次の5つを自分に問いかけてみてください。

・目的: 今から話す目的は「相手の行動を変えること」か、「自分のイライラを出すこと」か
・対象: 指摘しようとしているのは「特定の行動」か、「人格や能力」か
・場所: この場所で話して、周囲の人に聞かせる必要があるか
・基準: 何がNGだったのか、相手が知っているはずの基準で説明できるか
・その後: 話し終えた後に、相手に期待していることを一言添えられるか

一つでも「怒る」側に寄っていると感じたら、時間を置いて個別に話す方が、結果的に早く改善につながります。

動画で学ぶ「叱ると怒るの違い」

叱ると怒るの違いについて動画でも説明しております。

弊社ではハラスメントについてのYoutube動画をアップしておりますのでぜひご覧ください。

弊社 Youtubeチャンネル

いかがでしたでしょうか。今回は職場においてパワハラにならないための「叱ると怒るの違い」をご紹介しました。参考になれば幸いです。

「叱る」と「怒る」に関するよくある質問

Q. 「叱る」と「怒る」の最も大きな違いは何ですか?

最も大きな違いは「目的」です。叱るは相手の成長や行動の改善を促すための行為ですが、怒るは自分の感情を発散することが目的になっています。目的が違うため、内容(理性的か感情的か)・表現(冷静か威圧的か)・結果(反省か萎縮か)・関係性(信頼が増すか崩れるか)もすべて変わってきます。

Q. 職場で「叱る」ことがパワハラと判断される境界線はどこですか?

厚生労働省の定義では、①優越的な関係を背景に、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で、③相手の就業環境を害するもの、の3つを満たすとパワハラに該当します。業務上必要な指導そのものはパワハラではありませんが、人格否定・人前での長時間の叱責・大声で怒鳴るなど「相当な範囲」を超えた表現になると該当し得ます。

Q. 部下を効果的に「叱る」ための具体的なコツはありますか?

「起きたその場で・個別に・特定の行動に対して・冷静に・基準を明確にして・相手の言い分も聴く」の6点を押さえ、叱った後に期待を伝え、改善が見られたら褒めることです。詳しくは本文の「パワハラにならない叱り方の8つのポイント」をご覧ください。

Q. 叱る際に感情的になってしまうのを防ぐにはどうすれば良いですか?

「今から話す目的は相手の行動を変えることか、自分のイライラを出すことか」を話す前に一度自問することが有効です。その場で冷静になれない時は、時間を少し置いてから個別に話す方が、結果的に早く改善につながります。

Q. 部下のタイプによって「叱り方」を変えるべきですか?

はい。叱る目的や基準は変えずに、伝え方を相手に合わせることは有効です。例えば、人前で指摘されることを特に嫌うタイプには必ず個別に、経験豊富な部下には結論と理由を簡潔に伝えて本人の考えを聴く、といった調整が考えられます。

Q. 「ハラスメントフラグカード版」は、どのような企業におすすめですか?

講義型のハラスメント研修だけでは「自分ごと」になりにくいと感じている企業や、管理職同士で「どこからがパワハラか」の判断基準を揃えたい企業におすすめです。具体的な事例カードを使い、参加者同士の認識のズレを可視化しながら学べます。

研修導入をご検討の方へ|パワハラ防止研修なら「ハラスメントフラグカード版」

「叱る」と「怒る」の違いを管理職に体感的に学んでもらうには、講義だけでなくケース討議を組み込んだ体験型研修が効果的です。弊社では、ハラスメントについての認識のズレを見える化するカードゲーム型研修「ハラスメントフラグカード版」をご提供しています。具体的な事例カードを使い、参加者が「これはパワハラか?」を議論しながら判断基準を揃えることができます。

ハラスメントフラグカード版

実際に導入いただいたお客様からは、次のような声をいただいています。

これまでもハラスメント防止研修を実施してきましたが、
研修担当として、職員一人ひとりが主体的に参加し、
自分ごととしてハラスメントについて考えてもらうことを課題
としていました。

そこで、講義型と異なるカードゲーム形式で、
具体的な場面をイメージして意見を出し合い、
自分とチーム、世間との認識のズレを体感することができ、
楽しみながら学べるという点に着目し、
ハラスメントフラグカードの導入を決めました。

ハラスメントフラグカード版 運営用スライド

ハラスメントフラグカード版の実施方法

実施要項
・実施人数:5〜100名超(1チーム4〜6名推奨)
・実施時間:1時間〜2時間程度
・実施方法:講師派遣 or カード購入
・金額:講師派遣 15万円(税別)〜 / 購入 5万円(税別)〜(2キット・10名分から)
※購入キットには情報カード、運営用パワーポイント、講師向け動画マニュアル、ワークシートが含まれます。

ゲームの進め方や具体的な事例カードの内容、研修導入事例については下記の紹介記事をご覧ください。

ハラスメント研修で使えるカードゲーム「ハラスメントフラグ」

詳細な資料、お見積りをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。

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その他、実施時期や受講人数など(300文字以内)


この記事を書いた人

千葉 順
千葉 順
株式会社HEART QUAKE 代表取締役
元法政大学兼任講師(キャリアデザイン論)
→ 詳しいプロフィール

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