目的と目標の違い|Purpose(Why)が目標(What)を包む入れ子構造とWhy→Whatの順序

【結論】「目的」は「なぜやるのか(Why)」を示す中長期・抽象的なゴール、「目標」は「何を達成するのか(What)」を示す短期・具体的・測定可能なマイルストーンです。管理職が目標だけを示すと、メンバーは作業の意味を見失い主体性が下がります。目的と目標を対にして伝えることで、メンバーの内発的動機と達成感の双方を引き出せます。

目次

1. レンガ職人の話
2. 目的と目標の違い
3. 目的と目標を組み合わせる管理職の実践ポイント
4. 目的を示しているか体験するワーク「部課長ゲーム」
5. よくある質問
6. 管理職研修|部課長ゲームの導入をご検討の方へ
7. まとめと4人バージョン

管理職研修でぜひ伝えておきたいテーマのひとつが、目的と目標の違いです。目標は設定できても、目的を言語化して部下に示せていない管理職は意外と多く、メンバーのモチベーションや主体性に大きな差を生みます。

本記事では、目的と目標の違いを伝えるための古典的なストーリー「レンガ職人の話」と、管理職が普段の業務で目的を示せているかを体感できるワーク「部課長ゲーム」をセットでご紹介します。

レンガ職人の話

【要点】レンガ職人の話は、同じ「1日100個のレンガを積む」という目標を与えられた3人の職人が、目的の捉え方によってモチベーションも仕事の質も大きく変わることを示す古典的な小話です。「ただレンガを積まされている」「家族を養うために働いている」「歴史に残る大聖堂を造っている」という3つの目的の差は、現代の組織でメンバーが業務をどう意味づけるかにそのまま対応します。

目的と目標の違いを説明する小話として定番の「レンガ職人の話」です。

世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。旅人はその男のそばに立ち止まって、

「ここでいったい何をしているのですか?」

と尋ねた。

「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。腰は痛くなるし、手はこのとおり」

男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。

「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに…」

旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。

もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。旅人は尋ねた。

「ここでいったい何をしているのですか?」

「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」

「大変ですね」

「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ。」

旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。

また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。

「ここでいったい何をしているのですか?」

「ああ、俺達のことかい? 俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!

「大変ですね」

「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ! 素晴らしいだろう!」

旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。

引用元

3人の職人はいずれも「1日100個レンガを積む」という同じ目標を与えられている可能性があります。しかし、目的は3人それぞれで異なります。

1番目の男:目的がなく、レンガ積みそのものに意味を見出せていない
2番目の男:家族を養うためという生活のための目的
3番目の男:偉大な大聖堂を造り、多くの人を幸せにするという社会的な目的

そして最もモチベーション高く仕事に取り組めているのは、間違いなく3番目の男です。

目的と目標の違い

【要点】目的(Purpose)はWhy=なぜやるのかを示す中長期・抽象的なゴール、目標(Target)はWhat=何を達成するのかを示す短期・具体的・測定可能なマイルストーンです。両者は対立する概念ではなく、目的が目標を方向づけ、目標が目的への進捗を可視化するという入れ子の関係にあります。管理職研修で押さえるべきは、目的と目標を切り離さず常に対で扱う姿勢です。

下表で目的と目標の役割・時間軸・モチベーションへの影響を整理します。

目的と目標の違い 比較図

観点 目的(Purpose) 目標(Target)
役割 なぜやるのか(Why) 何を達成するのか(What)
時間軸 中長期・抽象的 短期・具体的・測定可能
レンガの例 偉大な大聖堂を造り、人々を幸せにする 1日100個のレンガを積む
モチベーションへの影響 仕事の意味づけを深め、内発的動機を生む 達成感・進捗の見える化で外発的動機を支える

管理職研修で目的と目標の違いを伝える理由は、目標だけを示してもメンバーは1番目・2番目のレンガ職人になってしまうリスクがあるからです。メンバーに仕事の意義を持ってもらうためには、目的をしっかりと示し、伝わっているかを確認することが不可欠です。

目的と目標を組み合わせる管理職の実践ポイント

【要点】管理職が目的と目標をセットで示す実践ポイントは、(1)Why→Whatの順で語る、(2)OKR/MBOで対設計する、(3)1on1で個人目的とチーム目的を接続する、(4)タスク指示時に目的を必ず添える、(5)定期レビューで目的への寄与度まで振り返る、の5点です。いずれも数値目標管理に「目的の言語化」を一段加えるだけの軽い習慣化で、メンバーの意味づけが変わります。

目的と目標をセットで示すための具体的な行動としては、以下が有効です。

四半期キックオフで「なぜ(Why)」から始める:数値目標の前に、チームとして達成したい世界観や顧客価値を共有する
1on1でメンバーの「目的」を言語化する:会社が示した目的と、メンバー個人のキャリア目的との接点を話し合う
OKR/MBOと組み合わせる:Objective(目的)とKey Results(目標)を対にして設計することで、目的なき目標を防ぐ
タスクを降ろすときに「これは何のためか」を必ず添える:作業指示だけで終わらせない
定期レビューで「目的に対する進捗」を確認する:数値目標の達成有無だけでなく、目的達成への寄与度も振り返る

目的を示しているか体験するワーク「部課長ゲーム」

管理職が普段の業務の中で目的をしっかりと示せているかを確認できるワークが、弊社HEART QUAKEの部課長ゲームです。

部課長ゲーム 実施風景

部課長ゲーム(カード版) 導入社数・満足度グラフ

2026年5月現在、部課長ゲームの導入社数は約150社、受講者満足度は4.82(5点満点)となっております。

このゲームは、チームで協力して問題を解決する設定で、上司にあたる部長役にのみゲームのクリア条件(ゴール)が伝えられるところがポイントです。

部長は他のメンバーにもクリア条件が伝えられていると勘違いしてゲームを進めますが、他のメンバーはクリア条件を知らないため、なぜ部長がそのような指示を出すのか、自分たちが何を目指しているのかが分からないままゲームが進みます。

これがまさに管理職にありがちなことで、レンガ職人の1番目・2番目の男を生んでしまう構造そのものです。ゲームの振り返りで「自分も部下に目的を伝え忘れていないか」を内省できます。

部課長ゲームのやり方

管理職研修で目的と目標の違いや、目的を伝えることの重要性を体感させたい場合にはぜひ活用ください。

よくある質問

Q. 「目的」と「目標」の違いは何ですか?

「目的」はWhy=なぜやるのかを示す中長期・抽象的なゴール、「目標」はWhat=何を達成するのかを示す短期・具体的・測定可能なマイルストーンです。レンガ職人の話で言えば「偉大な大聖堂を造り人々を幸せにする」が目的、「1日100個のレンガを積む」が目標にあたります。両者は対立する概念ではなく、目的が目標を方向づけ、目標が目的への進捗を可視化する入れ子の関係にあります。

Q. なぜ管理職は「目標」だけでなく「目的」も伝える必要があるのですか?

目標だけを伝えると、メンバーは「ただ作業をこなしている」状態になり、レンガ職人の話の1番目の男のように主体性とモチベーションが下がります。目的を併せて伝えることで、メンバーが業務に意味づけを行え、内発的動機が立ち上がります。具体的にはWhy(目的)→What(目標)の順で語る、四半期キックオフで目的から話す、1on1で個人目的と接続する、といった実践が有効です。

Q. 「目的なき目標」は組織にどんな弊害をもたらしますか?

目的が示されないまま数値目標だけが下ろされると、メンバーは作業の意味を見失い、(1)指示待ち化と主体性低下、(2)目標達成を自己目的化した過度な数字合わせ、(3)顧客価値を軽視した近視眼的行動、(4)エンゲージメント低下と離職率上昇、といった弊害が連鎖します。レンガ職人の1番目の男のように「なぜこれをやっているのか分からない」状態は、短期的には作業が回っても中長期では組織の競争力を蝕みます。

Q. OKRやMBOと「目的・目標」の対応関係はどう整理すればいいですか?

OKRの「Objective(目的)」がここで言う目的(Why)、「Key Results(目標)」が目標(What)に対応します。MBOの場合は「業績目標」が目標(What)に偏りがちなので、評価設計時に「目的への寄与」を別軸で問う仕組みを加えると目的と目標を対で扱えます。重要なのは制度の名前ではなく、目的を言語化し評価軸に組み込むことで「目的なき目標」化を防ぐことです。

Q. レンガ職人の話を管理職研修で使うときのポイントは何ですか?

レンガ職人の話は、3人の職人を提示するだけで終わらせず、(1)受講者に「自分はどの職人に近いか」を選ばせる、(2)選んだ理由を1on1ペアで話す、(3)「あなたが部下に示しているのは目的か目標か」を内省させる、の3ステップを必ずセットで設計します。話を聞くだけでは「いい話だった」で終わり、行動変容につながりません。続けて部課長ゲームなどの体験型ワークで「目的を伝え忘れる構造」を体感させると効果が高まります。

Q. 「部課長ゲーム」はどのような研修ワークですか?

「部課長ゲーム」は、管理職が部下に仕事の目的を伝える重要性を体感できる研修ワークです。上司役だけが目的(クリア条件)を知っており、部下は目的を知らない状況でゲームを進めることで、普段の業務で目的を伝え忘れていないかを内省できます。レンガ職人の話で抽象的に理解した「目的を伝える」を、自分の振る舞いとして体験できる設計です。

Q. 「部課長ゲーム」はオンラインでも実施できますか?

はい、「部課長ゲーム オンライン」をご用意しており、Zoomなどのウェブ会議システムを通じて実施可能です。対面で実施するカード版と同様に、目的を伝えることの重要性を体験ベースで学べます。

Q. 「部課長ゲーム」の対象人数や所要時間はどれくらいですか?

「部課長ゲーム」は、5名から100名程度の幅広い人数に対応しています。所要時間は1〜2時間で、管理職研修の中盤〜後半に「目的と目標の違い」を体感する体験型セッションとして組み込みやすい設計です。

管理職研修|部課長ゲームの導入をご検討の方へ

目的と目標の違いを管理職に体感させる研修ワーク「部課長ゲーム」をご紹介しています。レンガ職人の1番目・2番目を生まないために、目的を伝える習慣を体験ベースで鍛える研修設計を、ゲームコンテンツと運営ノウハウの両面からサポートします。

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その他、実施時期や受講人数など(300文字以内)


まとめと4人バージョン

目的と目標の違いを、古典的なレンガ職人の話と、部課長ゲームという体験型ワークの両面からご紹介しました。管理職は目標を示すのは得意でも、目的を言語化して伝える習慣は研修で意識的に鍛える必要があります。

なお、このレンガの話には4人バージョンもあり、理念浸透研修で活用いただいています。

理念浸透研修で伝えたい4人のレンガ職人の話


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