組織キャンプの効果|大学生対象3泊4日プログラムのPOMS測定結果を図解

【結論】自然環境で教育的な意図を持って行う「組織キャンプ」は、メンタルヘルス対策や社内活性化の選択肢になり得ます。
國學院大學北海道短期大学部紀要の論文(田中一徳・メドウズ マーティン、2019年)では、大学生を対象とした3泊4日のプログラムの前後で「抑うつ」と「混乱」が統計的有意に低下し、日常的にストレスが高いと認識している高ストレス群では総合的な気分プロフィール(TDM)も統計的有意に低下しました。
ただし「疲労」は統計的有意に上昇しており、「活気」の向上は統計的有意ではありません。対象が大学生であるため、社会人にそのまま当てはまるとは限らない点には注意が必要です。

目次

1. 組織キャンプとは
2. 大学生を対象にした組織キャンプの効果
3. 組織キャンプは高ストレス群に効果的!?
4. まとめ

この数年で弊社に来るお問い合わせのうち、オフサイトミーティング形式のお問い合わせが増えているように感じます。

具体的には、関東圏からは熱海、湯河原、軽井沢、鴨川、上総一ノ宮、伊香保、関西圏からは伊勢や滋賀、愛知、などの温泉旅館、ホテルへ移動し、いつもとは違う環境での会議・研修の案件が増えています。

組織キャンプとは

今回はそんなオフサイトミーティングと同様、いつもとは違う環境での活動となる組織キャンプについて書いてみたいと思います。組織キャンプという名前に馴染みがない方も多いと思いますが、日本キャンプ協会の金山さんの記事によれば下記のように定義されています。

組織キャンプは「Organized Camp」の訳語で、
教育的な意図を持って行われるキャンプのことです。

https://web.archive.org/web/20250126055252/https://www.goo.ne.jp/green/column/campclm_vol71.html

また、キャンプの定義について日本キャンプ協会さんでは下記のように定義されています。

「キャンプ」とは、「自然環境のもとで、必要最小限の装備で生活したり宿泊したり活動したりすること」を意味しています。

https://camping.or.jp/learn-camping/camp

大学生を対象にした組織キャンプの効果

【要点】組織キャンプは、参加者の気分状態やストレスを改善する効果が期待できます。大学生を対象に実施された3泊4日のプログラムに関する論文では、気分状態を評価する指標であるPOMS(短縮版)を用いてその効果を測定しています。この測定では、緊張-不安、抑うつ-落ち込み、怒り-敵意、活気、疲労、混乱という6つの項目と、総合的な気分プロフィールであるTDMを評価することが可能です。

なんとなく自然に触れるのは良いことだと思うけど、会社のお金を使ってキャンプをやる効果はどんなもんなんですかね、という疑問が湧くと思います。

そこで、大学生を対象にした組織キャンプ(アウトドアレクリエーション)の効果についての論文を紹介したいと思います。

北海道道北地方におけるアウトドアレクリエーションが
大学生の気分プロフィール(POMS)および
ストレスに及ぼす影響

田中一徳・メドウズ マーティン

國學院大學北海道短期大学部紀要 36巻(2019)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokuteanc/36/0/36_29/_article/-char/ja/

論文では大学生を対象に3泊4日の組織キャンプ(レクリエーションプログラム)を実施し、その効果をPOMS(Profile of Mood States)という気分状態を評価できる指標を使って測定しています。

なお、POMSについてはこちらのサイトから購入可能なようです。
サクセス・ベル株式会社:http://www.saccess55.co.jp/untitled514.html

論文中で活用されたPOMS短縮版では以下の6項目の測定と、総合的な気分プロフィールのTDM(Total Mood Disturbance)が測定が可能です。

6項目とは下記の通りです。

1.緊張-不安(T-A:Tension-Anxiety)
2.抑うつ-落ち込み(D:Depression-Dejection)
3.怒 り – 敵 意(A-H:Anger-Hostility)
4.活 気(V: Vigor)
5.疲 労(F:Fatigue)
6.混 乱(C:Confusion)」

組織キャンプは高ストレス群に効果的!?

組織キャンプ前と後でPOMSの得点を比較した結果、「抑うつ」と「混乱」は統計的有意に下っていた。

統計的に有意ではないものの、「緊張」や「怒り」の数値も低下していた。また、「活気」の得点も向上していた。
一方、「疲労」は統計的有意に上がっていた。


論文中 Fig.11より

また、日常生活において主観的にストレスが高いと認識している高ストレス群においては総合的な気分プロフィールのTDMが統計的有意に下がっていた。

まとめ

【要点】社員のメンタルヘルスや活気向上への対策として、座学研修だけでなく組織キャンプという方法を検討に加えることが有効です。これは、北海道道北地方でのアウトドアレクリエーションが大学生の気分プロフィールやストレスに及ぼす影響を調べた研究論文(田中一徳・メドウズ マーティン、2019年)などの知見に基づき、新たな選択肢として推奨されます。

いかがでしょうか。

対象が大学生ということで、社会人にそのまま当てはまるとは言えないものの、組織キャンプが特に高ストレス群のメンタルヘルスに有効なこと、また、統計的有意ではないものの、活気が向上することがおわかりいただけたかと思います。

メンタルヘルス研修として座学の研修を行うのも効果的だと思いますが、組織キャンプという方法も検討に入れてみるのも良いかもしれません。

なお、組織キャンプほど本格的な自然環境でなくても、社員旅行やオフサイトミーティングの場でビジネスゲームを実施することで、いつもとは違う環境での学びや相互理解を得ることができます。具体的な企画については以下の2記事でご紹介しています。
社員旅行で盛り上がるゲーム7選|遊び+学びで全員が楽しめる企画

社員旅行で盛り上がるゲーム7選|遊び+学びで全員が楽しめる企画

オフサイトミーティングで使えるゲーム3選|半日〜1泊2日の企画フレームと進め方

北海道道北地方におけるアウトドアレクリエーションが
大学生の気分プロフィール(POMS)および
ストレスに及ぼす影響

田中一徳・メドウズ マーティン

國學院大學北海道短期大学部紀要 36巻(2019)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokuteanc/36/0/36_29/_article/-char/ja/


この記事を書いた人

千葉 順
千葉 順
株式会社HEART QUAKE 代表取締役
元法政大学兼任講師(キャリアデザイン論)
→ 詳しいプロフィール

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