今回はハラスメントにおけるスピルオーバー効果について書いていきたいと思います。
スピルオーバー(spillover)とは「漏れ出す、溢れ出す」という意味です。
スピルオーバー効果とは公共経済学で「思わぬところに経済的な影響が及ぶこと」という意味でどちらかというとポジティブな意味での拡散効果として使われるようです。

しかし、今回ご紹介するハラスメントにおけるスピルオーバー効果ネガティブな意味での活用となります。

パワハラ(パワーハラスメント)のスピルオーバー効果

言いたいことはとても簡単で、みなさんは、職場でパワハラを見かけたらどのような気持ちになるでしょうか? 注意点としてあなた自身はパワハラの被害を受けていません

自分自身に危害は無いとはいえ、決していい気分とは言えないと思います。

では実際の調査をご紹介します。

関東地方のある市の地方公務員2,000名を対象に、1年間の追跡調査

職員の1年後の心理的ストレス反応と離職意思との関連を見たところ、
実際に、個人がパワハラを受けたかどうかに関係なく
パワハラが存在する職場にいると、その職場に所属する職員が
1年後にメンタルヘルス不調になるリスクが上がる

これは離職に対しても同じで、
パワハラが存在する職場に勤めていると、
公務員という雇用が安定した立場にも関わらず
その職場を辞めたいという意思が高まることが示された。

引用元:
産業保健の観点から考えるパワハラ予防対策
神奈川県立保健福祉大学大学院
ヘルスイノベーション研究科講師
津野 香奈美
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2019/10/002-035.pdf

読んで頂くと「そりゃそうだよな」という感想かもしれませんが、それが実際の調査としてデータで証明されていることが重要だと思います。

公務員という安定した職場にも関わらずメンタルヘルス不調になったり、離職意思が高まるのですから、一般企業の職場でもよりその力学が働くのではないか?と予想します。

また先程の引用元では以下のようにも記載されています。

直属の上司が放任主義の指導であることと、
いじめ・パワハラが起きることとの間に有意な正の相関
(Skogstad, 2007)
上司が消極放任型だった場合、
実際に将来パワハラが発生することが明らかになっている
(Tsuno et al., 2015b)


これはリーダーシップの理論の中のPM理論でいうところの集団維持・メンテナンスを表すMの要素が弱いと職場にハラスメントが起きる可能性が高いことを示しているような気がしています。

PM理論についてはこちらをご覧ください。

あなたは何タイプ?PM理論の診断テスト(無料)

まとめ

いかがでしょうか。今回はパワハラ(パワーハラスメント)のスピルオーバー効果について書いてみました。

引用元の資料もぜひご覧になってください。

産業保健の観点から考えるパワハラ予防対策
神奈川県立保健福祉大学大学院
ヘルスイノベーション研究科講師
津野 香奈美

https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2019/10/002-035.pdf


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