社内コミュニティとしてのERG(Employee Resource Group)
今回はここ最近注目されているERG(Employee Resource Group)についてご紹介したいと思います。
組織内で特定の共通の関心事や属性を持つ従業員が集まり、
情報交換や支援を提供するためのグループです。
一般的に、ERGはダイバーシティ&インクルージョンを促進
するために設立されますが、その目的や活動は組織によって
異なる場合があります。
企業での事例としてはパナソニックさんがうまく活用されているように思います。
ERGの目的は?
ここまで見てきて「ふーん」という感想をお持ちの方も多いと思います。
ここではなぜERGが注目されているのか、その設立の目的についてご紹介したいと思います。
目的は大きく4つあります。
1.ダイバーシティ&インクルージョンの促進
ERGは、異なる背景や属性を持つ従業員が組織内で包摂され、
尊重されることを確保するのに役立ちます。
例えば、女性、LGBTQ+、マイノリティ、障がい者など、様々な属性を持つ人々が
共通の声を持ち、組織文化や政策の改善を促進することができます。
2.プロフェッショナルな成長と開発の促進
ERGは、メンターシップ、トレーニング、キャリア開発プログラムなどを通じて、
メンバーのスキル向上や職場での成功を支援する場を提供することがあります。
3.コミュニティ形成とサポート
ERGは、メンバー間でのつながりを深め、組織内外でのサポートシステム
を構築します。
これにより、従業員はより快適で支えられた環境で働くことができます。
4.リーダーシップ機会の提供
ERGは、リーダーシップの機会を提供することで、メンバーが自己成長を促進し、
組織全体での影響力を高めることができます。
個人的になるほど、と思ったのは4番目のリーダーシップ機会の提供で、こういうった小さなグループの中でリーダーシップ経験を積むというのは重要だなと感じました。
労働組合や社内の部活動との違い
ここまで読んできて、労働組合や社内の部活動と同じような感じかな、と感じている方もいるかと思います。
朝日新聞デジタル様の記事で、労働組合とERGとの違いについて記述されている表がありましたので引用させていただきます。
ERG(従業員リソースグループ)とは? 概要や注意点などを解説
画像引用:https://www.asahi.com/sdgs/article/15012804
労働組合がその存在意義が明確なのに対して、ERGの方がバラバラ感はありますが、参加者の共通点が個人の特性ということですので、参加することへの熱量の高さはERGの方が高そうな気がしています。
また、社内の部活動との違いについては以下のようなものが考えられます。
ERG: 主な目的は、D&Iを促進することです。
社内の部活動: 目的は趣味やスポーツ、文化活動などを通した交流となります。
・参加メンバーの違い
ERG: 通常は、特定の属性や関心事を持つ従業員がメンバーとなります。
例えば、女性、LGBTQ+、マイノリティ、障がい者などが該当します。
社内の部活動: 通常は、興味や趣味に共感する従業員がメンバーとなります。
・活動内容の違い
ERG: 活動内容は、D&Iの促進、プロフェッショナルな成長と開発、コミュニティ形成とサポートなど
社内の部活動: 活動内容は、趣味やスポーツ、文化活動、ボランティア活動など
・組織への影響力の違い
ERG: D&Iの促進や組織文化の改善など、
組織全体に対するポジティブな影響を目指します。
社内の部活動: 通常は、メンバーの交流や楽しみを提供することが主な目的であり、
組織全体に直接的な影響を与えることはありません。
ERGの具体的な活動とは?
なんとなくわかってきたけど、じゃあ具体的に何やるグループなの?という疑問が湧くかと思います。
ここではERGに実施されている具体的には活動を6つご紹介したいと思います。
ERGは定期的な会議やイベントを開催し、メンバー同士の交流や情報共有の場を提供します。
これには、ネットワーキングイベント、パネルディスカッション、ワークショップ、
セミナーなどが含まれます。
2.メンターシッププログラム
メンタリングやコーチングプログラムを通じて、経験豊富なメンバーが新入社員や
若手従業員をサポートし、キャリアの成長やプロフェッショナルなスキルの向上
を促進します。
3.意識向上キャンペーン
D&Iに関する意識向上キャンペーンを実施し、組織全体で理解を深める取り組み
を行います。これには、トレーニングセッション、パネルディスカッション、
啓発キャンペーン、リソースの提供などが含まれます。
4.地域社会への貢献
ボランティア活動や地域サービスプロジェクトを通じて、組織が地域社会に貢献する
機会を提供します。これには、チャリティイベント、寄付活動、
ボランティアプログラムの支援などが含まれます。
5.組織内政策や文化の改善
ERGは、組織内の政策や文化に関する提案や改善を行います。例えば、
D&Iを促進する新しいポリシーやプログラムの提案、差別や偏見に対処するための
取り組みなどが含まれます。
6.外部の講演やイベントへの参加
ERGは、業界イベントやカンファレンスへの参加や、他の組織の多様性関連の
イベントに参加して、知識を共有し、ベストプラクティスを学びます。
これらの活動内容を見ると社内の部活動との違いは明確で、やや労働組合側に近い活動だと言えると思います。
ERGの始め方
最後に、「なるほど、うちの会社にもERGのような活動が必要だ」と感じた方がどのようにERGを始めていけばよいのか?ということについて始めたあとの流れも含めて8個のステップにわけてご紹介したいと思います。
まず、組織内でERGが必要かどうかを評価します。組織のD&Iの促進、従業員のサポート、
文化の改善など、ERGが解決するべき問題や目標が明確になることが重要です。
STEP2.リーダーシップの確保:
ERGをリードするリーダーシップチームを組織します。
このチームには、ERGの目的や活動を立案し、実行するための情熱と
リーダーシップ能力を持つメンバーが含まれます。
STEP3.組織の承認を取得
ERGを始める前に、組織のリーダーシップや人事部門から承認を取得します。
組織のリーダーシップやルールに則り、ERGが適切に運営されることを
保証することが重要です。
STEP4.メンバーの募集
ERGの目的に共感し、参加したいと考える従業員を募集します。
定期的な会議や情報セッションを通じて、ERGの存在を広く周知し、興味を持つ従業員を集めます。
STEP5.目標と計画の設定
ERGの目標や活動計画を設定します。これには、定期的な会議やイベントの開催、
メンターシッププログラムの立ち上げ、意識向上キャンペーンの実施などが含まれます。
ーーここまでが始め方のステップーー
STEP6.活動の実施と評価
計画を実行し、ERGの活動を開始します。定期的に進捗状況を評価し、
メンバーのフィードバックを収集して、必要に応じて調整を行います。
STEP7.組織との連携
ERGは、組織内の他の部門やリーダーシップと連携し、支援を受けながら活動を展開します。
必要に応じて、資金援助やリソースの提供を求めることも重要です。
STEP8.成果の共有と広報
ERGの活動や成果を組織内外に広報し、関心を持つ人々に参加を呼びかけます。
成功事例やメンバーの声を通じて、ERGの存在と価値を積極的にアピールします。
まとめ
いかがでしょうか。今回は最近注目されているERG(Employee Resource Group)についてご紹介しました。
参考になれば幸いです。