これまで、個人での振り返り(内省)については書いたことがありましたが、今回はチームとしての振り返りについての記事となります。

なお、個人での振り返りについては、労働時間が短い管理職は日常行動の振り返りを行っていることや、変革型のリーダーシップを高めるためには内省が重要であることを書いてきました。

労働時間が短い管理職が行っている5つの行動

変革型リーダーは内省する

なお、振り返り(内省)とは以下のような行動を指します。

内省的省察
・必要な情報を集めて、経験したことを分析する
・経験したことを多様な視点から捉え直す
・自分の仕事の成功や失敗の原因を考える
・様々な意見を求めて自分の仕事のやり方を見直す

引用:職場における経験学習尺度の開発の試み
木村充、舘野泰一、関根雅泰、中原淳
https://ci.nii.ac.jp/naid/10029782312

チームでの振り返りは活動を改善していく

今回は下記の論文を引用しながら記事を書いています。

チームの振り返りで促進される暗黙の協調:協調課題による実験的検討

秋保 亮太(中京大学)
縄田 健悟(福岡大学)
池田 浩(九州大学)
山口 裕幸(九州大学)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/34/2/34_1705/_pdf/-char/ja

論文では2人1組になって以下のようなゲームに取り組んでもらうという実験が紹介されています。


ゲーム自体はボールをスタートからゴールまで台に書かれた数字の順に進むようにハンドルを操作して移動させるというもので、会話や身振り手振りによるコミュニケーションをすべて禁じたようです。つまり、暗黙の了解でゲームを行わなければなりません。

これをスタートからボールが落ちるまでを1回として、12回ゲームを行います。ただし、1回のゲームの後にチーム内で1分間のゲームに関する会話を行ったチームと、1分間雑談(被験者の生活)を行ったチームに分けています。

12回を1セットとして、1セット終わった後に質問表に記入させ、2セット(計24回)行い、振り返りあり、なし、の2パターンで結果に違いが出るかという実験です。

実験結果と考察

上図の通り、試行数が増すについれて、振り返りあり条件と、振り返りなし条件に暗黙の協調遂行度に差が出ているのがわかります。
なお、暗黙の協調遂行度とはボールの進行度を表します。

このことから、チームでの振り返りが活動の改善につながること、ただし、それはある程度の試行回数を経た後であることがわかります。

また、この実験でわからなかったこととしては、よい成果を出していたチームの方が共通の価値観(共有メンタルモデル)を持っていたわけでは無い(そうは言えない)ということでした。

普通に考えると成果を出していたチームのほうがゲームに関する価値観(2人で呼吸を合わせるのが大事など)が一致し、成果を出していないチームは一致しないと考えたくなりますが、この実験ではそこまでは言えない(相関が無い)ということになりました。

では、2チームで何が違うのか?ということがまだ明らかになっていないということになります。これは、振り返りの中の何が成果に影響を与えるのか?という面白い疑問を残す結果と言えます。

まとめ

個人での振り返りだけでなく、チームでの振り返りも活動により良い影響を与えるが、それには一定の試行回数が必要です。
ただし、どのような振り返りが効果的なのか、はまだ明らかになっていないと言えます。

チームの振り返りで促進される暗黙の協調:協調課題による実験的検討

秋保 亮太(中京大学)
縄田 健悟(福岡大学)
池田 浩(九州大学)
山口 裕幸(九州大学)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/34/2/34_1705/_pdf/-char/ja


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