労働時間が短い管理職が行っている5つの行動
働き方改革が推し進められている現代において、業務効率化の重要性が増していると思います。そこで今回は、労働時間が短い(=残業が少ない、効率的に仕事している)管理職が行っている5つのポイントを紹介したいと思います。
なお、本記事は下記のレポートを参考に記述しています。興味のある方は下記もあわせて御覧ください。
管理職の労働時間の長さに影響する
メタ認知的方略の習得について
城倉 亮 リクルートワークス研究所・研究員
労働時間が短い管理職が行っている5つの行動
レポートによれば、就業者のうち、30代の管理職の労働時間がその他の属性に比べて長いようです。しかし、さらに内訳をみてみると、当然ながら30代の管理職の中にも労働時間が短い人も存在します。
そこで、30、40代の管理職で労働時間が短い人(ここでは月平均200時間未満)の人、13人にインタビュー調査を行い、その要素を抽出されています。すると以下の5つの要素がポイントになっていることがわかりました。
2.小さなタスクの設定
3.柔軟な対応時間の設定
4.日常行動の振り返り
5.仕事単位の振り返り
レポート内では上記の5つの要素をプランニング方略と、モニタリング方略というカテゴリーでまとめていますが、ここではもう少しわかりやすく、タスク管理系と、振り返り系とまとめてみたいと思います。
1.イメージの細分化
2.小さなタスクの設定
3.柔軟な対応時間の設定
B.振り返り系
4.日常行動の振り返り
5.仕事単位の振り返り
それぞれについて少し細かく書いていきたいと思います。
1.イメージの細分化
13名中11名が挙げたのがイメージの細分化です。具体的には、仕事を割り当てられた場合にいくつか複数のタスクに細分化するというという行動です。
ここからは私見になりますが、先に全体像を把握し、次にタスクを細分化してイメージを具体的にすることで、時間が掛かりそう、または、難しそうなポイントを予め把握しておくことで先手を打てるということが労働時間の短縮につながっているのではないか?と考えられます。
2.小さなタスクの設定
13名中12名が挙げたのが小さなタスクの設定です。仕事を週単位のタスクに落とし込む、1日のスケジュールの作業時間まで落とし込むというものです。
インタビューした人のコメントには以下のようなものがあったようです。
3.柔軟な対応時間の設定
13名中8名が挙げたのが柔軟な対応時間の設定です。この言葉からは少しわかりづらいですが、ようはバッファを持っているということのようで、突発的な事象に対して臨機応変な対応を迫られることを想定した時間を設定しているということです。
インタビューした人のコメントには以下のようなものがあったようです。
4.日常行動の振り返り
ここからは、振り返り系の行動になります。13名全員が挙げたのが日常行動の振り返りです。日々の仕事の中で何ができたか、できなかったかを振り返り、次の行動にうつすという行動です。
具体的には、何に、どれぐらいの時間を使ったか?を振り返っているということのようです。
教育研修の分野では有名な経験学習における内省に該当するかと思います。
経験学習についてはこちらを御覧ください。
経験学習とは?
5.仕事単位の振り返り
最後は13名中5名が挙げた仕事単位の振り返りです。日常行動の振り返り以外に、次回の業務に向けて仕事単位での振り返りを行う行動です。
インタビューした人のコメントには以下のようなものがあったようです。
つまり、仕事全体を振り返って、減らせるものや、仕組みにできるものを整理し、次に同じような業務が発生した時に向けて準備しておくということになるかと思います。
振り返り系とダブルループ学習
ちなみに、日常行動の振り返りと仕事単位の振り返りというやり方は組織学習という分野のダブルループ学習に類似します。
ダブルループ学習の細かい説明についてはこちらを御覧ください。
ダブルループ学習を組織で活用する3つの方法
上図にある、シングルループ学習が日常行動の振り返りに該当し、ダブルループ学習が仕事単位での振り返りに該当します。
私見ですが、業務の効率化という点においてはダブルループ学習=仕事単位での振り返りを行うことの効果が大きい気がしています。具体的にはマニュアル・チェックリストの作成や、不必要なタスクの排除が挙げられますが、こういった改革を行っていくことが業務効率化に大きなインパクトを与えると考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。普段の自分の仕事の仕方を振り返って何ができているか、何が弱いか考えてみると面白いと思います。ぜひ自社の業務効率化研修で使ってみて下さい。
管理職の労働時間の長さに影響する
メタ認知的方略の習得について
城倉 亮 リクルートワークス研究所・研究員