システム思考のトレーニングとしての14の習慣

今回はシステム思考について書いていきたいと思います。
といっても、因果ループ図の書き方をご紹介する、システム原型について解説するというものではありません。
これらについては過去記事を御覧ください。
システム思考における因果ループ図の読み書き入門
簡単に解説!システム原型その1:応急処置の失敗
今回はシステム思考を身につけるための14の習慣ということで、システム思考を身につけるための日々のトレーニングの参考になるかと思います。実際には、システム思考者のための14の習慣というタイトルで紹介されているものになります。逆に言えば、システム思考を身に着けている人はこういうことができている、ということになります。

画像引用:Waters Center「Habits of a Systems Thinker」
上画像はシステム思考の普及で知られるWaters Centerのホームページで紹介されているものです。
Waters Centerホームページ
1つずつ簡単に紹介していきたいと思います。
Seeks to understand the big picture
⇒ビッグピクチャー(全体像)を理解しようとする
Considers an issue fully and resists the urge to come to a quick conclusion.
⇒問題を十分に理解し、結論を急がない
Checks results and changes actions if needed: “successive approximation”
⇒結果を確認し、必要に応じてアクションを変更する。「少しずつゴールに近づく」
Observes how elements within systems change over time, generating patterns and trends
⇒システム内の要素が時間とともにどのように変化し、パターンやトレンドになる様子を観察する
Uses understanding of system structure to identify possible leverage actions
⇒システムの構造を理解した上で、可能性のあるテコ入れを行う
Surfaces and tests assumptions
⇒仮説を立てて、検証する
Changes perspectives to increase understanding
⇒視点を変えて理解を深める
Identifies the circular nature of complex cause and effect relationships
⇒原因と結果の関係は循環になることを認識する
Recognizes the impact of time delays when exploring cause and effect relationships
⇒時間的な遅れが原因と結果の関係に影響することを認識する
Recognizes that a system’s structure generates its behavior
⇒システムの構造が行動を生み出すことを認識する
Pays attention to accumulations and their rates of change
⇒蓄積物とその変化率(変化のスピード)に注意する
Considers how mental models affect current reality and the future
⇒メンタルモデルが現実と未来にどのような影響を与えるかを考える
Considers short-term, long-term and unintended consequences of actions
⇒行動による短期的、長期的、意図しない結果を考慮する
Makes meaningful connections within and between systems
⇒システム内およびシステム間の意味のあるつながりを作る
いかがでしょうか。個人的にはわかるけど、難しいという感想です。
それこそまさに「少しずつゴールに近づく」しかないのだと思います。
近年は生成AI・LLMプロジェクトの現場でも、システム思考の重要性が再認識されています。AI導入は単一の業務改善にとどまらず、データ蓄積・ユーザー行動の変化・組織の意思決定プロセスが時間差で相互に影響を及ぼします。導入直後の効果検証だけでなく、中長期で発生する意図しない結果まで見据えた設計が必要です。
この14の習慣は、AI/DXプロジェクトを推進する企画担当者・マネジメント層が、目先のKPIに引っ張られず、システム全体への影響を捉える視座を持つためのチェックリストとしても活用できます。
この14の習慣を見て、私としては世界最高の投資家と呼ばれるウォーレン・バフェット氏や、そのパートナーであるチャーリー・マンガー氏が頭に浮かびました。
興味のある方はこちらの書籍を読んでみてください。
システム思考をビールゲームで体感する
弊社ではシステム思考を体感するビジネスゲームであるビールゲームを用いた研修を提供しています。
ビールゲームでは、14の習慣の中でも特に以下の4つを、座学では得られない実感とともに体験できます。
・時間的な遅れが原因と結果の関係に影響することを認識する
・システムの構造が行動を生み出すことを認識する
・メンタルモデルが現実と未来にどのような影響を与えるかを考える
・行動による短期的、長期的、意図しない結果を考慮する
個別最適の意思決定が、サプライチェーン全体でどのような連鎖を生むのか。在庫の山と機会損失を行き来する体験を通じて、システム思考の核心が腹落ちします。AI/DXによって意思決定の連鎖が複雑化する現代こそ、こうした実感ベースの学びが効きます。

ビールゲームについてはこちらを御覧ください。
ビールゲーム実施の流れ|システム思考研修
まとめ
今回はシステム思考のトレーニングとしての14の習慣を紹介してきました。Waters Centerが整理したこの行動指針は、複雑性が増す現代のビジネス課題、AI時代の組織運営、サプライチェーン管理など、あらゆる領域に通じる実践的な視座です。日々の意思決定の中で少しずつ習慣化していくことで、システム思考は確かな思考の土台になります。

