ファシリテーター向け「問いかけの4つの種類」

研修や会議のファシリテーションで必ずぶつかるのが、「どんな問いかけをすればよいのか?」という悩みです。
絶対的な正解はなく、場の雰囲気に応じて使い分けるしかないのですが、それでもよく使う問いのひな型は4種類に整理できると、中村文子氏・ボブ・パイク氏の『研修ファシリテーションハンドブック』にはまとめられています。この4種類を理解しておくと、場面ごとに使い分ける意図を持ってファシリテーションできるようになります。
問いかけの4つの種類|全体像
| 問いの種類 | 目的 | 使うタイミング |
|---|---|---|
| ①気づきを深める問い | ワーク後の学びを深める(リフレクション) | ディスカッション・ワーク後 |
| ②知識を引き出す問い | 参加者の経験・知識を場に出す | ディスカッション前 |
| ③参画を促す問い | 個人で考える時間を作る | 8分に1度が目安 |
| ④リビジットする問い | 重要ポイントを記憶に定着させる | 20分に1度、または節目 |
出典:中村文子/ボブ・パイク『研修ファシリテーションハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)
①気づきを深める問い|リフレクションを促す
気づきを深める問いは、ワークやディスカッションの後に使い、体験から学びを引き出すための問いです。いわゆるリフレクション(振り返り)のための問いと考えると分かりやすいでしょう。
| 場面 | 問いの例 |
|---|---|
| ゲームやワーク直後 | 「うまくいったこと、うまくいかなかったことをそれぞれ2つずつにまとめてください」 |
| ディスカッション直後 | 「この議論で新たに見えたこと、まだ分からないことは何ですか?」 |
| 研修全体の終盤 | 「今日の学びの中で、明日から1つだけ試すとしたら何ですか?」 |
ポイントは「答えが1つに決まらない」オープンな問いであることです。リフレクションの型については以下の記事も参考になります。
振り返りのモデル「リフレクティブサイクル」とは
週報を活用したリフレクション(振り返り)のやり方
②知識を引き出す問い|参加者の経験を場に出す
知識を引き出す問いは、ディスカッションに入る前に使い、参加者の経験・知識・事例を場に引き出すための問いです。
単純な「良い〇〇とは?」でも悪くはないのですが、参加者の経験を問う形に変えると、出てくる話が具体的になります。
| 抽象度が高い問い(経験が出にくい) | 経験を引き出す問い(話が具体的になる) |
|---|---|
| 良いリーダーとは? | これまで出会ったリーダーで、真似したい/真似したくないと感じた行動は? |
| 心理的安全性が大事な理由は? | 自分がチームで本音を言えた/言えなかったときの違いは何でしたか? |
| アイデアを出すコツは? | 過去に良いアイデアが生まれたのはどんな場面でしたか? |
「抽象的な定義」ではなく「具体的な経験」を問うことで、場が動き出します。
③参画を促す問い|8分に1度”個人で考える”時間を作る
参画を促す問いは、参加者に個人で考える時間を作るための問いです。書籍では8分に1度の割合で参画を促す問いを入れると集中が持続するとされています。
活用タイミングは大きく2つあります。
| タイミング | 問いの型 | 例 |
|---|---|---|
| 講師がこれから話す内容の直前 | クイズ形式で仮説を立ててもらう | 「AとBならどちらが正解だと思いますか?」 |
| コンテンツの中盤以降 | これまでの内容を応用させる | 「ここまでの内容で自分の仕事に役立つと感じたところに〇をつけてください」 |
「講義を聞いてから考える」ではなく「考えてから聞く」に順序を変えるだけで、参加者の集中度と学習効果は目に見えて上がります。
④リビジットする問い|20分に1度、記憶に定着させる
リビジット(Re-Visit)とは「再び現れる/立ち戻る」という意味で、研修の中で重要なポイントをもう一度確認して記憶に定着させるための問いです。
人の記憶は薄れやすく、学習直後から急速に忘却が始まる(エビングハウスの忘却曲線)ため、20分に1度のリビジットが推奨されます。
| 確かめたいこと | 問いの型 | 例 |
|---|---|---|
| 記憶しているか | 名前や定義を答えさせる/穴埋め | 「さきほどの理論の名前は何でしたか?」「〇〇の3要素は□・△・▲です」 |
| 理解しているか | 例を挙げる/選ばせる/自分の言葉に | 「この理論の例を1つ挙げると?」「自分の解釈で言い換えると?」 |
リビジットする問いは、単元の切り替わりや研修・ワークショップの終盤で特に効果を発揮します。
4種類の問いを時系列で使い分けるイメージ
研修の流れに沿って使い分けると、こんなイメージになります。
| 研修のフェーズ | 使う問いの種類 | ねらい |
|---|---|---|
| 導入(オープニング) | ③参画を促す問い | クイズで仮説を立ててもらい、学習モードに入る |
| 講義/ワーク前 | ②知識を引き出す問い | 参加者の経験を場に出して、自分事で聞ける状態を作る |
| ワーク/演習直後 | ①気づきを深める問い | 体験からの学びを引き出す |
| 単元の切り替わり | ④リビジットする問い | 直前の重要ポイントを記憶に刻む |
| クロージング | ①+④ | 全体の学びを振り返り、明日のアクションに接続 |
問いかけの”型”を知っておけば、ファシリテーター自身が迷わずに次の一手を選べるようになります。
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まとめ
『研修ファシリテーションハンドブック』で紹介されている問いかけの4つの種類は、①気づきを深める/②知識を引き出す/③参画を促す/④リビジットするです。
| 種類 | 目的 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| ①気づきを深める | 振り返り | ワーク後ごと |
| ②知識を引き出す | 経験を場に出す | ディスカッション前 |
| ③参画を促す | 個人思考の時間 | 8分に1度 |
| ④リビジットする | 記憶への定着 | 20分に1度 |
自分のファシリテーションでどの種類の問いが不足しているかを振り返ると、改善の方向が見えてきます。
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