内定者に伝えたい「転機」に対処するためのシュロスバーグの4S
学生から社会人への切り替えは、人生の中でも代表的な「転機(トランジション)」のひとつです。2026年4月入社の内定者を迎える企業にとって、今秋の内定者研修・懇親会をどう設計するかは、来年春以降の早期離職防止にも直結するテーマです。
今回は、キャリア開発の古典的理論として知られるシュロスバーグの4Sを紹介します。内定者本人が自分の「転機」を整理するためのフレームワークとしても、人事担当者が内定者をどう支援するかを考える視点としても、活用できる理論です。

シュロスバーグの「転機」とは
ナンシー・K・シュロスバーグ(Nancy K. Schlossberg)はメリーランド大学の教授で、キャリア開発や成人の発達をテーマに理論を打ち立てたキャリア心理学者です。
シュロスバーグは、人生のあらゆる転機(Transition)を3つのタイプに分類しました。
| 転機のタイプ | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 予測できた転機 | 自分も周囲も予想していた変化 | 入社、結婚、昇進、定年退職 |
| 予測できなかった転機 | 突然訪れる変化 | 事故、急な異動、リストラ、病気 |
| 期待していた出来事が起きなかった転機 | “起きるはずだった”ことが起きなかった | 内定が出なかった、結婚しなかった、昇進できなかった |
内定者の「学生から社会人への移行」は、典型的な①予測できた転機ですが、コロナ禍以降は配属ガチャ/リモート研修/早期離職率の上昇といった”予測できなかった”要素が重なり、内定者本人の不安も厚くなっています。
シュロスバーグの4S|転機を乗り越えるためのリソース点検
シュロスバーグによれば、転機が訪れたときは4つのSで表される「自分のリソース」を点検するのが有効だとされています。
| 4S | 日本語 | 何を点検するか |
|---|---|---|
| ①Situation | 状況 | 転機そのものの性質(いつ・なぜ・どのくらい続くか) |
| ②Supports | 支援 | 頼れる人・情報・実質的援助 |
| ③Self | 自分自身 | 自分の価値観・対応能力・人生観 |
| ④Strategies | 戦略 | 取りうる行動・ストレス対処法 |
以下、4Sそれぞれの点検質問を整理します。内定者研修のワークシートとしてもそのまま使えます。
①Situation(状況)|転機を客観的に把握する
| 点検質問 |
|---|
| 転機のきっかけは何か? |
| その転機は想定内か、想定外か? |
| 自分にコントロールできることは何か? |
| 役割の変更があるとしたら、得か、損か? |
| この転機は一時的か、永続的か? |
| 過去に似た転機はあったか?あるならどう乗り越えたか? |
| 同時に抱えている他のストレスはないか? |
②Supports(支援)|頼れる人・情報を棚卸す
| 点検質問 |
|---|
| この転機で支援してくれる人はいるか? |
| 励まし・応援してくれる人はいるか? |
| 必要な情報を集められるか?情報提供者はいるか? |
| 経済的支援などの実質的な援助を得られるか? |
内定者にとってこの②は特に重要です。同期となる内定者同士のつながりと、人事担当者・リクルーター・メンターの存在が、入社後の初期適応を大きく左右します。内定者懇親会が有効なのは、②を分厚くする機会でもあるからです。
内定者フォローを実施する目的と具体例
③Self(自分自身)|自分の軸と対応力を見つめる
| 点検質問 |
|---|
| 将来、自分はどうしていきたいのか? |
| この転機は自分の人生にとってどんな意味があるか? |
| 仕事と家庭・趣味のバランスをどう考えているか? |
| 変化への対応能力はどの程度あると感じているか? |
④Strategies(戦略)|具体的な対応策を立てる
| 点検質問 |
|---|
| 転機への対応として、考えうる行動・方法を検討しているか? |
| 転機の意味を多角的に捉え直したか? |
| 運動・リラクゼーションなどのストレス対処をしているか? |
内定者研修・懇親会での活用アイデア
4Sは、単に理論を紹介するだけでなく内定者に自分事として考えてもらうワーク形式が効きます。
| ワーク例 | ねらい |
|---|---|
| 4Sごとに付箋に書き出して共有する | 互いの状況・支援者リストの差に気づき、ヒントを得る |
| ②Supportsを絵にして見せ合う | 支援者の薄さを自覚し、拡張する行動につなげる |
| ③Selfをキャリアビジョンと結びつける | 入社理由を言語化し、研修のモチベーションを高める |
| ④Strategiesを3ヶ月単位で宣言 | 入社前/入社3ヶ月の行動計画を具体化 |
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まとめ
シュロスバーグの4S(Situation/Supports/Self/Strategies)は、転機を乗り越えるためのリソース点検フレームワークです。

学生から社会人への転機を迎える内定者にとって、自分の状況・支援者・自分自身・戦略を棚卸しする作業は、入社後の早期離職防止や主体的なキャリア形成の出発点になります。今秋の内定者研修・懇親会のワークとして、ぜひ組み込んでみてください。
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