今回は新型コロナウイルス感染拡大とウェルビーイングの変化ということで、2021年9月現在、約1年半以上続く新型コロナウイルス感染拡大によって、私達のウェルビーイングはどのように変化したのか、ということを2つのデータから見てみたいと思います。

2つのデータの1つめはハーバード・ビジネス・レビュー21年7月号のP56から掲載されている46カ国1500人超の調査が示す新型コロナ危機が従業員のウェルビーイングに与えた影響という記事です。


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ちなみに、ウェルビーイングについてはここでは詳しく説明しませんが、心身および、社会的にも良好な状態という意味で、ウェルビーイングの構成要素としてPERMAがよく知られています。

Positive Emotion:ポジティブ感情
Engagement:エンゲージメント、またはフロー状態を生み出す活動への従事
Relationship:関係性
Meaning and Purpose:人生の目的や仕事の意義、及び目的の追求
Achievement:何かを成し遂げること

参考:https://www.jppanetwork.org/what-is-positivepsychology

ウェルビーイングそのものについては過去記事もご覧頂ければとと思います。

ポジティブ心理学のPERMAと組織開発

新型コロナ流行であなたのウェルビーイングは向上したか?

それでは、本題に移ります。先ほど紹介した、46カ国1500人超の調査が示す新型コロナ危機が従業員のウェルビーイングに与えた影響という記事では以下の質問を投げかけた結果が掲載されています。

1.新型コロナウイルス感染症の流行が始まる前と比べて、
あなたの職場でのウェルビーイングは変化しましたか?
⇒ 向上した or 低下した

2.新型コロナウイルス感染症の流行が始まる前と比べて、
あなたの生活全般でのウェルビーイングは変化しましたか?
⇒ 向上した or 低下した

さて、みなさんはどうでしょうか?
記事を見ると、「低下した」と回答した人のほうが多く、その数は、「向上した」と回答した人の約4倍になっています。

さらに、低下したと回答した人の具体的な理由も掲載されています。
職場でのウェルビーイングが低下したと回答した人の最も大きな要因は仕事への要求水準の高まりということでした。下に具体的な理由を抜粋してみます。

職場でのウェルビーイングが低下した要因

1.仕事への要求水準の高まり
⇒在宅勤務への移行による仕事と家庭の境界の喪失
⇒管理できないほどの仕事量の増加
⇒仕事時間の増加

2.つながりの損失により困難
⇒孤立感

3.意欲喪失
⇒モチベーションの低下

DAIAMON ハーバード・ビジネス・レビュー21年7月号
46カ国1500人超の調査が示す新型コロナ危機が従業員のウェルビーイングに与えた影響
P.62 図表8より抜粋

一方、生活全般でのウェルビーイングが低下したと回答した人の最も大きな要因はメンタルヘルスの悪化ということでした。下に具体的な理由を抜粋してみます。

生活全般でのウェルビーイングが低下した要因

1.メンタルヘルスの悪化
⇒全体的なメンタルヘルスの悪化
⇒ストレスの高まり
⇒漠然とした不安の高まり

2.働くことへの要求水準の高まり
⇒管理できないほどの仕事量の増加
⇒仕事と家庭の境界の喪失

3.基本的な身体的欲求
⇒体調の悪化/運動時間の減少

DAIAMON ハーバード・ビジネス・レビュー21年7月号
46カ国1500人超の調査が示す新型コロナ危機が従業員のウェルビーイングに与えた影響
P.59 図表2、及び、P.60 図表4より抜粋

いかがでしょうか。みなさんご自身と一致する部分も多いでしょうか。
続いて2つめのデータをご紹介したいと思います。

テレワークとはたらく人の幸せ/不幸せの関係

2つ目のデータはパーソル総合研究所×慶應義塾⼤学 前野隆司研究室による調査結果です。

はたらく⼈の幸せに関する調査【続報版】 結果報告書
パーソル総合研究所×慶應義塾⼤学 前野隆司研究室
2021.5

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/assets/well-being-telework.pdf

ちなみに、前野先生といえばウェルビーイングに近い幸せのメカニズムの研究(幸福学)

この調査では、 「はたらく人の幸せの7因子」と「はたらく人の不幸せの7因子」という因子についてテレワークがどのように影響しているのかを分析されています。その結果が下画像です。

テレワーク ウェルビーイング

テレワーク 不満

画像引用:
パーソル総合研究所×慶應義塾⼤学 前野隆司研究室
はたらく⼈の幸せに関する調査【続報版】 結果報告書
P.15および、P.16

テレワークを行っている人のはたらく幸せの7因子はすべて向上しており、また、はたらく人の不幸せの7因子のうち、特に「職場環境において、視覚や嗅覚など体感的に不快を感じている状態」とされる不快空間因子が大きく改善されています。

つまり、1つ目のデータとは違い、テレワークによって日本人の就業者のウェルビーイングは向上しているように見えます。

1つ目のデータの46カ国1500人超に日本人がどれぐらい含まれているのかはわかりませんが、少なくとも、日本人には職場でのウェルビーイングという観点では向上したと回答される方が多いのかもしれません。

まとめ

いかがでしょうか。今回は新型コロナウイルス感染拡大とウェルビーイングの変化ということで2つのデータを見てきました。

みなさんの実感はいかがでしょうか。


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はたらく⼈の幸せに関する調査【続報版】 結果報告書
パーソル総合研究所×慶應義塾⼤学 前野隆司研究室
2021.5

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/assets/well-being-telework.pdf


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