管理職に必要なレジリエンス・エンジニアリングという考え方
今回はレジリエンス・エンジニアリングについて紹介したいと思います。
レジリエンスという言葉は聞いたことがあっても、レジリエンス・エンジニアリングは聞いたことが無いという方は多いのではないでしょうか。
この記事を書いている私も最近知りました苦笑
しかし、その考え方に感銘を受けて、より多くの方に知ってもらいたいと思い、この記事を書いています。
レジリエンスとは?
レジリエンス・エンジニアリングを紹介する前に、レジリエンスについて簡単に復習していきたいと思います。
「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」などとも訳される心理学用語である。
ビジネスシーンで言う 「レジリエンス」 は 「折れない心」とでも言えるでしょうか。
ストレス過多のこの時代、ストレスを0にするというのは非現実的なので、ストレスを受けても、折れずに、イメージとしてはサンドバッグのように「打たれても戻ってくるしなやかさ」 が重要ということです。
過去記事でレジリエンスを鍛える10の方法などを紹介しています。
レジリエンスを鍛える10の方法
関連書籍はこちらです。
レジリエンス・エンジニアリングとは
レジリエンスについての復習はここまでにして、ここからはレジリエンス・エンジニアリングについて紹介して行きたいと思います。
そもそも、レジリエンス・エンジニアリングは安全学における考え方です。
通常、「安全である」とは、「事故やエラーが起こらない状態」と考えます。その究極系がゼロリスクです。このような考え方をこれまでの安全という意味で、Safety-Ⅰと呼びます。
一方、レジリエンス・エンジニアリングでは「成功が継続する状態」と考えます。これをSafety-Ⅱと呼びます。
少し分かりづらいと思いますのでイメージで言えば、エラーが発生してもすぐに復旧可能なようにする、事故が発生した時の対応が示されているということになります。
下記の論文にSafety-ⅠとSafety-Ⅱの比較の表が掲載されていましたのでご紹介しておきます。
医療安全SafetyⅡにおける医療事故分析にFunctional Resonance Analysis Modelは有効か?
Root Cause Analysisとの比較検討
野上悦子(2019)
具体的な事例として、津波対策として、街を守るために20mの防波堤を設置し、ゼロリスクを目指すのがSafety-Ⅰで、防波堤はそこそこの高さにして、防波堤の対策基準を超える津波が発生したときの高台までの避難経路を確保、周知徹底することがSafety-Ⅱとなるでしょうか。
つまり、事故やエラーが起こったとしてもすぐに「復元」できるというレジリエンスを新しい安全の概念として取り入れようということです。
このような考え方は組織運営、特に管理職には必要な考え方だと思います。当然、人命に関わるミスや事故をできるだけ0にすることは重要ですが、現実的にヒューマンエラーを0にするこは難しいと思います。
そこで、エラーが起こったとしてもすぐに復元できる対策、復元の手段を用意しておくことが持続可能な組織運営には必要です。
まとめと関連製品
いかがでしたでしょうか。今回はレジリエンス・エンジニアリングの概要をご紹介しました。
本来はレジリエンス・エンジニアリングの4つの能力も紹介したかったのですがそれはまた別記事で。
レジリエンス・エンジニアリングの4つの能力
もう少し詳しく知りたいという方はこちらの書籍がオススメです。
なお、弊社では関連製品として危機管理を体験するビジネスゲームを用いた研修を提供しています。
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