簡単に解説!システム原型その6:成⻑と投資不足
不定期でお届けしているシステム思考において基本となる8つのシステム原型のご紹介をしていきたいと思います。
※前回のシリーズ投稿から約1年もあいてしまいました。。。
今回が6回目で、今回は成⻑と投資不足を紹介したいと思います。
過去のシステム原型 シリーズの記事についてはこちらをご覧ください。
簡単に解説!システム原型 シリーズ
システム原型全般についてはかなり古い本ですが、下記がおすすめです。
参考文献:システム・シンキングトレーニングブック
システム原型その6:成⻑と投資不足
さて、改めてですが、今回紹介するシステム原型は成⻑と投資不足というものです。因果ループ図は後ほどご紹介するとして、まずは簡単な事例を紹介したいと思います。
成⻑と投資不足の事例として比較的わかりやすいのが急成長企業の人材採用です。
嬉しいことに自社の事業がPMFして拡大フェーズに入った時、経営者は人材不足に頭を悩まされることになります。
例えば、CEOがセミナーに登壇し、その後、ぜひ自社に導入したい、と言われても営業に回れる人材が不足していることに気づきます。また、いざ採用を積極的にしよう!と思っても採用担当者さえいないことに気づきます。
そこで、採用担当者や営業を採用しようと試みますが、初期メンバーに近い存在ということでどうしても採用基準が高めに設定され、かつ、高い給与を出せるわけでもないので、エージェントから紹介される人材とうまくマッチングしません。。。
3ヶ月後ようやく、採用できた営業社員も業界理解や製品理解に時間が掛かるので、なんだかんだで独り立ちできるのは半年後。
おっとここまで9ヶ月の時間が経過しています。
この9ヶ月の間に、競合企業も増えてきて競争が増しています。
経営者「う、もっと早く採用していれば・・・・」
と、こんな感じでしょうか。
今回は人材不足という事例でしたが、製品の供給力不足も同じような事例で、自社製品がTVなどで放送された後の急激な需要増も同じような構造をたどるでしょう。
成⻑と投資不足はある意味嬉しい悲鳴のパターンと言えるかもしれません。
成⻑と投資不足の因果ループ図
さて、成⻑と投資不足の因果ループ図は下記のようになります。先程の急成長企業の人材採用の話に関連付けて見てもらえればと思います。
なお、本来は「+」をSameを表す「S」、「ー」をOppositeを表す「O」で書くのが一般的です。ただ、SとOよりも+とーの方が一般にはわかりやすいのではないか?と思っています。
まずは、CEOのセミナー登壇などの努力で需要の掘り起こしや今すぐ顧客の発見に繋がります。
しかし、営業人員や採用担当者の不足に気づくことになります。これが制限要因です。
とはいえ、営業なら誰でもいい、というわけではなく、レベルの高い人材を求めていますので、ループ図上の生産能力への投資が遅れます。
さらに、採用したらすぐ売れる、みたいなことはほぼ無いので、業界理解や製品理解に時間をようし、ループ図でいうところの生産能力にはさらなる遅れが生じます。
そんなことをしている間に、競合会社が現れ、自社への需要自体が少し減っているという事態になりかねません。
成⻑と投資不足から学べることは常に、2手先を想定しながら投資を行っていくことの重要性かもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は8つのシステム原型の6つ目として、成⻑と投資不足について書いてみました。
不定期とはなりますが次回をお楽しみにしてください。
システム思考関連でおすすめの書籍はこちらです。