簡単に解説!システム原型その2:問題の転嫁
不定期でお届けしているシステム思考において基本となる8つのシステム原型のご紹介をしていきたいと思います。
今回が2回目で、前回は応急処置の失敗について書きました。
簡単に解説!システム原型その1:応急処置の失敗
なお、システム思考は2017年にUNESCOによって提唱された持続可能な市民になるために必要な8つのコンピテンシー(下画像)でも一番最初に挙げられている今後の社会を生き抜くために必要なスキルであると考えています。
持続可能な市民になるために必要な8つのコンピテンシーについてはこちらを御覧ください。
SDGs研修で伝えたい8つのコンピテンシー
システム原型全般についてはかなり古い本ですが、下記がおすすめです。
参考文献:システム・シンキングトレーニングブック
システム原型その2:問題の転嫁
さて、今回紹介するシステム原型は問題の転嫁というものです。
因果ループ図は下記のようになります。
なお、本来は「+」をSameを表す「S」、「ー」をOppositeを表す「O」で書くのが一般的です。ただ、SとOよりも+とーの方が一般にはわかりやすいのではないか?と思っています。
上の図は因果ループ図と呼ばれます。ざっくり、以下のような意味となります。
2.応急処置(暫定対応)が増えると、一時的に問題は減る・解決される(ー)
3.ただし、応急処置(暫定対応)によって、根本解決への興味・関心が損なわれるという副作用が生まれる(+)
4.根本解決を実施できれば時間は掛かるが、問題が解決する(ー)
簡単に書けば、根本解決にはなってないけど、とりあえず解決したからいいっかということになります。とりあえずの解決が根本解決しようという意欲を削いでいきます。
このため、根本解決が遅れて、問題が定期的に発生するということになります。
具体的な例を挙げてみましょう。
いつも上司のBさんにクロージングを手伝ってもらっていた。
Bさんに手伝ってもらうと自分でクロージングを行うよりも圧倒的に受注率が上がる。
Bさんも早くAさんに独り立ちしてほしいと思っているが、現状ではAさん単独では受注率が低く
クロージングのスキルを上げるにはそれなりに時間が掛かる。
両者ともいつかはAさん自身でクロージングをやらないとダメだとは思うものの、
短期的な業績を追ってしまう。
同じような例として、個人的な体験ですが、実家の父親にネット通販の使い方を教えるのに感じていました。ちゃんと教えれば使えるようになるのでしょうが、何度も教えなければならず正直、面倒に感じていました。そこで、単価の安いものであれば私が購入し、配送先を実家にして送っていました。
こうなってしまうと、依存が発生します。何か欲しい物があったときに(といっても半年に1度程度ですが・・・)父親は私に「これ、買ってくれないか?」と連絡してくるようになりました。(文字で書くと私にたかってるような感じですが、そういう感じではないですw)
使い方を教える、マニュアル的なメモを作ってあげるという根本解決が理想的なのですが、時間が掛かったり、心理的に面倒だったりして応急処置で対処してしまうことは誰にでもあるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は8つのシステム原型の2つ目として、問題の転嫁について書いてみました。不定期とはなりますが次回をお楽しみにしてください。