法人営業の研修で読ませたい「無敗営業」
今回は法人営業の研修で読ませたい書籍「無敗営業」を紹介します。生成AIの活用で情報収集の効率が上がり、顧客側も買い手として賢くなる2026年、価格とスペックの比較だけでは勝てない法人営業の現場では、「選ばれる理由」と「外される理由」を構造で捉える力がますます重要になっています。
高橋浩一
日経BP (2019/10/10)
本書は、法人向けに営業研修やコンサルティングを行うTORiX株式会社代表取締役の高橋浩一さんが書かれた一冊です。
TORiX株式会社
タイトルが強烈です。「無敗」。書籍にはこう記載されています。
他社とのコンペという記述、TORiX社のビジネスがB2Bであることも踏まえれば、本書はB2B(法人営業)向けの教科書と言える内容です。
本書の核:3つの質問と4つの力
本書の中核にあるのが3つの質問と4つの力のフレームワークです。どちらも新しいことを言っているというより、営業現場で実際に勝ち続けている人が使っている”当たり前”を構造化し、誰でも再現しやすくした点にこの本の価値があります。
| フレーム | 内容 |
|---|---|
| 3つの質問 | 顧客が買うかどうかを判断するために頭の中でしている問い |
| 4つの力 | 質問力・価値訴求力・提案ロジック構築力・提案行動力 |
個人の営業力に頼るのではなく、チーム全体の営業の型を合わせるための共通言語になるため、営業研修・ロープレの軸としても機能します。
データで裏取りされる「選ばれる理由/外される理由」
高橋さんの本がロジカルに感じられるのは、データが豊富に掲載されている点です。高橋さん自身のX(旧Twitter)でも図解が多く公開されています。

画像引用:https://x.com/takahashikoichi/status/1323234998342672385
特に画像右側の担当者(買い手)側が見ているポイントは、本書でも繰り返し登場します。まず大事なのは自社のことを理解してくれていること。これが信頼に直結します。逆にいえば、ここがズレていると検討から外されるため、商品説明より先に、「相手をどこまで理解したか」を提案のなかで示すことが鍵になります。
深堀り質問の整理
お客様理解のための深堀り質問も、図で整理されています。

画像引用:https://x.com/takahashikoichi/status/1629972674406662144
生成AIに事前リサーチを任せやすくなった一方で、質問の設計はAIに代替されにくい営業パーソンの腕の見せ所です。事前情報を”前提”にしたうえで、相手が自分でも気づいていない課題を引き出す問いが設計できるか、が分かれ目になります。
案件の3分類:楽勝・接戦・惨敗
個人的に興味深かったのが、案件を楽勝/接戦/惨敗に分けて考えるフレームです。特に接戦の分類が秀逸です。

画像引用:https://x.com/takahashikoichi/status/1631427101890072579
| 案件区分 | 特徴 | 営業のフォーカス |
|---|---|---|
| 楽勝 | ほぼ決まっている | 確実なクローズと次案件の種まき |
| 接戦 | 複数候補で迷っている | 本書で磨くべき主戦場 |
| 惨敗 | そもそも土俵に上がれない | 早めに撤退/別案件に集中 |
多くの営業組織は接戦に最もリソースを割くべきなのに、楽勝と惨敗を区別せずに全部に均等に力を使うことで、接戦の勝率を落としているケースが少なくありません。この分類を共通言語にするだけで、営業のリソース配分が変わります。
営業研修でのおすすめの読ませ方
本書は図解とデータが豊富なので、チームで共通理解を作るのに向いています。おすすめはアクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)形式で読むことです。
| 読み方 | 効果 |
|---|---|
| ABD(担当分担→要約→発表) | 営業チーム全員が共通言語を獲得 |
| 章ごとの輪読会 | 週1時間×数回で定着 |
| ロープレの教材 | 3質問・4力を使う実践ワーク |
| 若手OJT | 先輩の営業ノウハウを言語化する題材に |
アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)という新しい本の読み方
まとめ
『無敗営業』は、3つの質問・4つの力・楽勝/接戦/惨敗の3分類という明快なフレームで、法人営業の勝ち筋を言語化した一冊です。2026年は顧客が生成AIで事前情報を得やすくなり、営業は”情報の届け方”から”顧客理解の深さ”で選ばれる時代に移っています。営業部門でABD形式で読むと、チームの共通言語が一気に整うので、研修素材としても強くおすすめできます。
高橋浩一
日経BP (2019/10/10)
営業の「質問力」を体験で鍛える「ヒアリングチャレンジ」
『無敗営業』の4つの力の一つである質問力は、読むだけでは身につきません。弊社のビジネスゲーム「ヒアリングチャレンジ(カード版)」は、受講者が車の販売員となってお客様に質問を投げ、最適な車を提案することを目指すカードゲームで、提案型営業の基礎を体験を通じて学習できます。新入社員研修や採用グループワークでの利用が中心で、現役の営業職向けではありません。

