職場のグレーゾーンハラスメント — 配慮型・ジェネレーションギャップ型・関係性型の3つの典型パターン

【結論】職場の「グレーゾーンハラスメント」とは、ため息や舌打ち、飲み会強制など、ハラスメントとまでは言えないが相手に不快感を与える言動を指します。
KiteRa社の全国ビジネスパーソン1,196名対象調査では、経験者が5割強に上り、退職検討の引き金にもなる深刻な実態が明らかになっています。
本記事では、約1,500名のデータも踏まえ、この曖昧な領域の正体と具体的な可視化・対策を解説します。

目次

1. グレーゾーンハラスメントとは何か
2. 2025年KiteRa調査に見るグレーゾーンの実態
3. ハラスメントフラグ1,500名データとの比較
4. グレーゾーンハラスメントの3つの典型パターン
5. グレーゾーンを放置すると起きる4つのリスク
6. グレーゾーンを可視化する4つの施策
7. 職場のグレーゾーンハラスメント研修|ハラスメントフラグ導入をご検討の方へ
8. よくある質問
9. まとめ

先日、毎日新聞様でこんな記事を目にして一瞬、頭が「??」となりました。

ため息や舌打ち、飲み会強制…職場のグレーゾーンハラスメントの実態
毎日新聞
2025/7/7 07:00(最終更新 7/7 16:09)

https://mainichi.jp/articles/20250704/k00/00m/040/456000c

グレーゾーンハラスメント」という言葉は、この数年で急速に広がり始めたキーワードです。ハラスメントのように「誰の目にも明らかな加害行為」ではなく、「ハラスメントとまでは言えないが、相手に不快感や戸惑いを生む言動」を指します。

調査ではビジネスパーソンの5割強が経験ありと回答し、さらに「それが退職検討の引き金になった」という声も少なくありません。企業のハラスメント対策は「明確なクロ」への対応は進んだ一方で、この曖昧な領域への打ち手がほぼ整っていないのが実情です。

本記事では、KiteRa社の最新調査と、弊社ハラスメントフラグの約1,500名の回答データを照らし合わせながら、2026年の職場で向き合うべきグレーゾーンの正体と、その可視化・対策の進め方を整理します。

グレーゾーンハラスメントとは何か

グレーゾーンハラスメントとは、パワハラ・セクハラ・マタハラ等の法的な判定基準には満たないが、受け手が不快感・屈辱感・疎外感を覚える言動を指す概念です。

厚生労働省が定めるパワハラ3要件(①優越的関係、②業務上必要な範囲を超え、③就業環境の悪化)のいずれかがグレーな場合、あるいは受け手が明確に「ハラスメントだ」と言いにくい場合に生まれます。

パワハラ3要件との関係性

厚労省ガイドライン上の6類型(身体的攻撃・精神的攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害)は、どれも「程度」「頻度」「関係性」によって受け止め方が変わります。

たとえば「社外の飲み会や接待への参加強制」は、一度であれば違和感程度でも、繰り返されれば個の侵害となり得ます。こうした「強さの連続性」のなかでブラックに至る手前の帯域が、グレーゾーンです。

マイクロアグレッションとの違い

グレーゾーンハラスメントと似た概念に、心理学で定義される「マイクロアグレッション(無意識の小さな加害)」があります。

両者は重なる部分が多いのですが、マイクロアグレッションは人種・性別・性的指向などのアイデンティティに紐付くのに対し、グレーゾーンハラスメントは職場での優劣関係・業務上の権限・慣行に紐付く点が特徴です。

なぜ今グレーゾーンが問題化しているのか

大きく4つの背景があります。

1つ目は価値観の多様化です。世代・性別・ライフスタイル・国籍の違いが職場に混在し、同じ言動でも受け止め方が人によって大きく変わります。

2つ目は心理的安全性への注目です。エンゲージメント施策が広がり、「自分が尊重されているか」への感度が高まりました。

3つ目はハイブリッドワークの定着です。対面とリモートが混在する職場では、相手の表情や空気が読みづらく、些細な言動が誤解を生みやすくなっています。

4つ目はSNS時代の記録性です。Slack・Teams等のチャットで残る言葉には、口頭以上の重みが生じるようになりました。

2025年KiteRa調査に見るグレーゾーンの実態

株式会社KiteRa様が2025年6月に公表した「職場のグレーゾーンハラスメント実態と社内規程の機能性に関する調査」では、全国のビジネスパーソン1,196名を対象に、現場の実態が詳細に明らかにされています。

全国のビジネスパーソン1,196名を対象とした
「職場のグレーゾーンハラスメント実態と社内規程の機能性に関する調査」
を実施しました。

本調査の結果、多様な価値観が共存する現代の職場において、
「ハラスメントとまでは言えないが不快感や戸惑いを覚える言動
(いわゆるグレーゾーンハラスメント)」が静かに広がっている
実態が明らかになりました。

【職場のグレーゾーンハラスメント実態調査実施】
ため息や舌打ち、飲み会や接待への参加強制、無視や仲間外れ等
不快な言動を経験した人が5割強、抑制を規定する企業3割程度
2025年6月26日

【職場のグレーゾーンハラスメント実態調査実施】

株式会社KiteRa

退職検討の引き金になる言動ワースト3

調査で特に目を引いたのが、退職検討につながる不快な言動の内訳です。

・「無視されたり仲間外れにされた」が70.2%と最多
・「社外の飲み会や接待への参加を強制された」が66.4%
・「業務時間外のプライベートな付き合いへの参加を強制された」が65.1%

KiteRa社調査 退職検討につながる不快な言動
出典: 株式会社KiteRa 2025年6月26日プレスリリース

明らかなパワハラではないものの、一つひとつが退職の意思決定に影響している点は、人事にとって見逃せないシグナルです。

対策を規定する企業は3割程度

同調査では、こうした言動を抑制する規定を設けている企業は3割程度にとどまることも示されています。

就業規則のパワハラ・セクハラ条項は整っていても、「ため息」「舌打ち」「同調圧力的な飲み会」に踏み込んだ規定を持つ会社はほとんどありません。言い換えれば、グレーゾーン対策は今からでも十分に差別化できる領域です。

ハラスメントフラグ1,500名データとの比較

KiteRa調査で挙がった上位3項目と、弊社が提供する「ハラスメントフラグ」の回答データ(2026年1月末現在の累計約1,500名)を照らし合わせると、興味深いズレが見えてきます。

「無視・仲間外れ」は多くがブラック認識

退職検討要因として最多となった「無視されたり仲間外れにされた」ですが、ハラスメントフラグの中では類似する設問が2つあります。約1,500名の回答分布を見てみると、以下のようになっています。

ハラスメントフラグ

ハラスメントフラグ設問10 回答分布

ハラスメントフラグでは以下の4段階で回答してもらっています。

・ホワイト ⇒ 全くハラスメントではないと思う
・ライトグレー ⇒ 微妙だがハラスメントではないと思う
・ダークグレー ⇒ かなり怪しいがハラスメントではないと思う
・ブラック ⇒ 完全にハラスメントだと思う

どちらの設問もブラック(ハラスメント)と認識している人が過半数を占めています。つまり、「無視・仲間外れ」はもはやグレーゾーンではなく、多くの職場ですでに明確なクロとして認識されている領域だと言えます。

飲み会強制は世代で認識差が開く

第2位の「社外の飲み会や接待への参加を強制された」に関連する設問は3つあります。

ハラスメントフラグ設問2 回答分布

ハラスメントフラグ設問29 回答分布

ハラスメントフラグ設問36 回答分布

強制性の高い表現(「断りにくい雰囲気」「全員参加が事実上必須」等)はブラック認識が優勢ですが、「誘われる」段階にとどまればホワイト・ライトグレー回答が残るのが特徴です。つまり、飲み会という行為そのものではなく「強制度合い」がハラスメント判定の分岐になっています。

プライベート侵入は明確にクロ認識

第3位の「業務時間外のプライベートな付き合いへの参加を強制された」は、関連設問が1つあります。

ハラスメントフラグ設問27 回答分布

こちらもブラック認識が多数を占めています。個の侵害として、世代や性別を問わず意識されている領域と言えます。

認識のズレが最大化するのは「呼称」の問題

一方、ハラスメントフラグの設問の中で認識のズレが最も大きかったのは以下の項目です(2026年1月末現在)。

ハラスメントフラグ設問41 回答分布 認識ズレ最大

意外なほど回答にバラツキがあることがわかります。さらに、ある企業での男女別の回答を分析すると、女性がホワイト寄り、男性がブラック寄りという結果になりました。

呼称・距離感といった「親しさの表現」は、一般的に男性側が過敏に反応する傾向が見られるのが興味深い点です。グレーゾーンは属性や関係性によって全く違う地図になるということを示すデータです。

グレーゾーンハラスメントの3つの典型パターン

調査データと、弊社が企業様のハラスメント研修に携わるなかで見えてきた頻出パターンを3つに整理します。

配慮型: 「〜だから」の枕詞が生む違和感

「女性だから重いものは持たなくていいよ」「若いんだから覚えが早いよね」「子育て中だから時短がいいよね」。

一見、配慮やねぎらいに見えるこれらの言葉は、相手の属性を前提に役割を固定化します。本人が望まない形で「役割を決めつけられる」ことが、静かな不快感につながります。

ジェネレーションギャップ型: 世代間価値観差

上司世代にとって「当然」だったことが、若手世代には「強制」として映るパターンです。

飲み会、電話文化、残業の美徳、休日のチャット返信、朝礼・社訓唱和など。「自分が育った環境の当たり前」を、相手も当然と考える前提がズレを生みます。

関係性型: 「長い付き合いだから」の思い込み

「長い付き合いだから大丈夫」「いつものメンバーだから気にしてない」。

ハラスメントフラグ導入企業の回答にもよく出てくるコメントですが、関係性の深さが相手の不快感を相殺しないことは、組織行動論でも繰り返し指摘されています。慣れ親しんだ関係ほど、点検の機会を持たないと歪みが蓄積します。

グレーゾーンを放置すると起きる4つのリスク

1. 優秀人材の静かな離職

KiteRa調査で示されたとおり、グレーゾーンは退職検討の引き金になります。明確なパワハラではないため「相談」にも上がりにくく、気づいた時には優秀層が先に抜けていく、という構造的な離職リスクを抱えます。

2. エンゲージメントとパフォーマンスの低下

慢性的なグレーゾーンは「この職場は自分を大事にしていない」というシグナルを発信し、心理的安全性を損ないます。結果として、意見発信・改善提案・新しい試みが減り、組織のパフォーマンスが静かに下がります。

3. 法的トラブルへのエスカレーション

グレーゾーンの積み重ねは、ある一点を超えてパワハラ・セクハラの認定域に突入します。就業規則に「グレー」の記載がないと、会社側の対応が後手に回り、事後対応コストが膨らむリスクがあります。

4. 組織文化の硬直化

「何がセーフで何がアウトかわからない」という空気は、逆にコミュニケーションそのものを萎縮させます。メンバー同士が率直なフィードバックを避けるようになり、学習機会・改善機会が失われます。

グレーゾーンを可視化する4つの施策

ではどうすれば、グレーゾーンを組織として扱えるようになるのでしょうか。実務的に効果が出やすい施策を4つ紹介します。

1. 匿名サーベイで実態を把握する

まずは現状把握です。エンゲージメントサーベイやパルスサーベイにグレーゾーンハラスメント関連の項目(例: 「最近、職場で不快に感じた言動があったか」)を1〜2問追加し、部署別・世代別の傾向を見ます。

定点観測できる状態をつくると、施策の効果検証もしやすくなります。

2. 1on1で「認識のズレ」を日常的にすり合わせる

個別の1on1は、グレーゾーンを早期に検知する最も有効な場です。

上司側が「最近やりづらかった場面はあった?」と具体的に聞けるかがポイントで、そのためには上司側のトレーニングが不可欠です。

3. 就業規則・ガイドラインに「グレー」を明記する

KiteRa調査では抑制規定を設けている企業は3割程度でした。裏を返せば、規定を整備するだけで7割の企業より一歩先を行ける状態です。

「ハラスメントに至らないが、相手に不快感を与え得る言動」についてガイドラインを設け、管理職・一般従業員それぞれに注意喚起する構造が理想です。

4. 体験型研修で認識のズレを可視化する

講義型のハラスメント研修は「知識の伝達」には効果的ですが、「自分の認識と他者の認識のズレ」は座学では見えません。

同じ設問に対する職場メンバーの回答を並べて、「え、そこでズレるの?」を体験することで初めて、グレーゾーンが自分ごととして腑に落ちます。ここが、次にご紹介する「ハラスメントフラグ」の出発点です。

よくある質問

Q1. グレーゾーンハラスメントは就業規則に書くべきですか?

KiteRa調査では抑制規定を設けている企業は3割程度でした。「ハラスメントに至らない不快な言動を禁じる」条項を総則的に1文加えるだけでも、運用上の判断根拠として大きく機能します。具体事例は別冊ガイドラインに委ねる形式が実務的に扱いやすいです。

Q2. 管理職だけ研修すれば足りますか?

グレーゾーンは管理職→一般社員の上下関係だけでなく、同僚間・先輩後輩間・世代間でも発生します。管理職研修から始めるのは定石ですが、一般社員層も「自分の言動が相手に与えるインパクト」を体験する機会を設けるのがおすすめです。

Q3. 研修の効果はどの程度持続しますか?

一度の研修で完結するものではなく、年1回の定期実施+1on1での日常的なすり合わせの組み合わせが効果的です。組織異動・世代交代の節目で再実施するとより定着します。ハラスメントフラグの設問は順次アップデートしているため、毎年違う切り口で気づきを得ていただけます。

職場のグレーゾーンハラスメント研修|ハラスメントフラグ導入をご検討の方へ

【要点】「ハラスメントフラグ」は、職場シーンの設問カードを使い、ホワイト・ライトグレー・ダークグレー・ブラックの4段階で参加者それぞれの認識を見える化するカードゲーム形式の研修です。講義型のように一方的に正解を示すのではなく、参加者自身が「自分と他者の認識のズレ」を体感する構造で、グレーゾーンの判断こそが学びとなる本テーマと適合します。カード版とオンライン版(Zoom等)があり、組織規模・実施形態に合わせて選べます。

弊社株式会社HEART QUAKEが提供する「ハラスメントフラグ」は、具体的な職場シーンの設問カードを使い、ホワイト・ライトグレー・ダークグレー・ブラックの4段階でメンバーそれぞれの認識をカードで示し、「自分と他者のズレ」を可視化するカードゲーム形式のワークです。

一方的に「これはアウト、これはセーフ」と教える講義型ではなく、参加者自身が迷う・議論する・気づく構造になっているため、グレーゾーンハラスメントの学習にそのまま適合します。

ハラスメントフラグには対面実施のカード版に加え、Zoom等で実施できるオンライン版もあります。多拠点同時開催やリモート中心組織にはオンライン版、部門単位の集合研修にはカード版が適しています。

ハラスメントフラグの実施要項

項目 内容
形式 カードゲーム形式(対面)
推奨人数 5〜500名超(1グループ4〜5名)
所要時間 1.5〜2時間
提供方法 講師派遣/レンタル(社内講師実施も可)
対象 管理職・一般社員・労働組合役員など全社員層

詳しい内容は以下のページをご覧ください。

ハラスメント研修で使えるカードゲーム「ハラスメントフラグ」

導入事例1: 東洋紡労働組合様

組合役員向けの研修でハラスメントフラグカードを実施いただいた東洋紡労働組合様からは、以下のような感想をいただいています。

自己と他者との価値観の違いに気付くことができた、今後も研修等で利用していきたい、といった前向きな声が挙がりました。また、「ハラスメント」という少し難しいテーマで学んでいるはずなのに、「楽しく学べた」という反応がありました。

ハラスメントは、自己の言動の振り返りを1人ですることは難しいと感じます。そのため、カードを用いて自分と周りの認識を知ることで気づきができて良かったです。カードを通じて、自分が周りよりも鈍感であることに気付くことができました。

まさにグレーゾーンの本質である「自分の感覚が周囲とどれくらいズレているか」を体験できた事例です。

導入事例2: 公益財団法人千葉県文化振興財団様

全職員を対象にハラスメントフラグカードを実施いただいた千葉県文化振興財団様の事例です。

この研修を通して、ハラスメントに対する認識のズレや思い込みに気づくことができ、それぞれの価値観を尊重する大切さを再認識することができました。ゲーム形式で職員同士のコミュニケーションも活性化されました。

「長い付き合いだから大丈夫」「自分とこの人の関係性だから問題ない」といった思い込みや自己判断を避けることが大事だと思いました。

「長い付き合いだから」という関係性型グレーゾーンに、参加者自身が気づいていくプロセスが端的に表れた事例です。

資料請求・お問い合わせ

ハラスメントフラグカード版の資料請求・実施のお見積りは、以下のフォームからお気軽にご依頼ください。

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※研修の目的、ゴール、実施背景など箇条書きでお書きください。

その他、実施時期や受講人数など(300文字以内)

オンライン版の特徴

ハラスメントフラグのオンライン版はZoom等のビデオ会議システムで実施でき、遠隔拠点が多い組織・在宅勤務者が多い組織でも同一内容を同時開催できます。全50問の設問から4択で回答し、認識のズレを可視化する体験はカード版と同じです。用途に応じて選択・併用可能ですので、お気軽にご相談ください。

まとめ

グレーゾーンハラスメントは、「明らかなクロ」ではない分、現場での対応が後回しになりやすい領域です。一方でKiteRa調査が示すように、退職検討の主要な引き金として静かに組織を蝕んでいる側面もあります。

対策のスタート地点は「自分と他者の認識のズレを知ること」。ハラスメントフラグはそのズレをカードで可視化することに特化したワークです。就業規則や1on1とセットで組み合わせることで、2026年以降の多様な価値観が混在する職場づくりに寄与します。

ぜひ自組織のグレーゾーン対策の一手として、ご検討ください。


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