2025年現在、生成AI・脱炭素・リスキリングなど事業環境の変化は加速しており、イノベーションを起こせる人材の育成は経営アジェンダの上位に置かれ続けています。

「イノベーション人材はどんな資質を持っているのか?」——この問いに、『イノベーションのジレンマ』で有名なクリステンセンらの研究チームがまとめた答えが『イノベーションのDNA』です。

本記事では、そこで示された5つのスキルを整理し、それらが”問題発見”と”問題解決”にどう結びつくかを考えていきます。

イノベーション人材が持つ5つのスキル

イノベーションのDNA 5つのスキル

参考:『イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル』

No スキル 内容
Observing(観察力) 周囲を丁寧に観察する
Questioning(質問力) なぜ/もし〜なら?を問い続ける
Experimenting(実験力) 小さく試して学ぶ
Networking(ネットワーク力) 異分野・異業種とつながる
Associating(関連付ける力) 離れた情報を結びつける

画像参照:日通総研

5スキルを”問題発見”と”問題解決”に分解して考える

単に5スキルを並べるだけではなく、イノベーションのプロセスに沿って捉え直すと、育成設計に活かしやすくなります。

フェーズ 効くスキル 狙い
①問題発見 観察力+質問力 “解くべき問い”を見つける
②問題解決 実験力+ネットワーク力+関連付ける力 解決策を素早く試し・検証する

①問題発見|観察力+質問力+クリティカル・シンキング

問題発見の土台は、“現状を先入観なしに観察する”ことと“なぜそうなっているかを問い続ける”ことです。

場面 観察力の使い方
顧客接点 商談で顧客のノンバーバルな反応まで観察
業務現場 自部門の仕事を”初めて見る人の目”で観察
競合 広告・店舗・UIなどの”違い”を観察

観察で拾った事実に対し、クリティカル・シンキングで「それは本当か?なぜそうなっているか?」と問い続けることで、他の人には見えない問題が浮かびます。

質問の型
Why? なぜそうなっている?
Why not? なぜ逆ではいけない?
What if? もし〜だったら?
How might we? どうすれば〜できる?

バイアスとは?種類・具体例とクリティカルシンキングによる対策をわかりやすく解説

問いを考えるブレスト「クエスチョン・バースト」のやり方

②問題解決|実験力+ネットワーク力+関連付ける力

実験力|小さな失敗を恐れないリスクテイク

問題発見ができた後は仮説を小さく検証する実験が必要です。リーン・スタートアップ的に言えばBuild→Measure→Learnのループを速く回す力です。

実験力の事例
エジソンは2,000回以上の失敗を経て電球を発明
ジェームズ・ダイソンは5,127回の試作を経てサイクロン掃除機を完成
Amazonは年間数百〜数千件の社内実験を動かしている

小さな失敗を恐れないリスクテイクのマインドが不可欠です。

ネットワーク力|協力者を募る

1人では解決できないテーマに対して、異分野・異業種の人脈を持つことで、必要な知識・経験・共創者を集める力です。社内ネットワーク・社外コミュニティ・SNS・業界横断の勉強会などが情報の窓口になります。

関連付ける力|離れた情報を結びつける

関連付ける力は、一見関係のない情報やアイデアを結びつけて新しい解を生む力です。アナロジー思考異業種ベンチマークがその実践です。

株式会社武蔵野代表の小山昇氏は、自社を「株式会社盗品見本市」と冗談めかして呼ぶほど他社の優れた仕組みを取り入れてきたと書いています。これも”関連付ける力”の1つの表現です。

関連付けの具体例
異業種の成功モデルを自社業務にあてはめる
生物・自然界の仕組みから着想を得る(バイオミミクリー)
他国の商習慣から新サービスを発想する
過去の失敗事例を今の技術で再チャレンジする

5スキルを育てる組織の仕組み

スキル 組織としての打ち手
観察力 顧客同行/業務シャドーイング/民族誌調査
質問力 会議前のクエスチョン・バースト/1on1の質問テンプレ
実験力 小さな失敗を評価する仕組み/A/Bテスト文化
ネットワーク力 社外イベント・コミュニティ参加を業務時間に
関連付ける力 異業種ベンチマーク/読書会/社内勉強会

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まとめ

クリステンセンらが整理したイノベーション人材の5スキル(観察力/質問力/実験力/ネットワーク力/関連付ける力)は、“問題発見”と”問題解決”に分けて捉えると、育成設計に活かしやすくなります。

個人のキャリア開発から組織の制度設計まで、5スキルを育てる仕組みを作ることが、イノベーションを人任せ・偶然任せにしない第一歩です。


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