職場での健康投資の効果とワーク・エンゲイジメント
今回は職場での健康に対する投資(取り組み)が従業員の健康はもちろん、ワーク・エンゲイジメントにも影響を与えるということを紹介したいと思います。
過去にも健康経営の促進で1人当たりコストが30万円削減できる?
という記事で社員が健康になることで会社としての健康関連コストが1人当たり30万円程度削減できることは紹介してきました。
画像参照:厚生労働省HPより
(過去記事)健康経営の促進で1人当たりコストが30万円削減できる?
ちなみに、健康関連コストには大きく分けて、医療費、アブセンティーイズム、プレゼンティーイズムの3つがあり、最も大きいのはプレゼンティーイズムとされています。
画像参照:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/gaiyou12.pdf
アブセンティーイズムやプレゼンティーイズムについてはこちらをご覧ください。
病気・体調不良による欠勤(長期療養)している状態。
プレゼンティーイズムとは、
病気や体調不良により休養を取ったほうが良いのに無理をして出勤している状態。
体調不良により仕事遂行能力が低下した状態。
今回は健康に対する投資(取り組み)がコストだけでなく、従業員のワーク・エンゲイジメントも向上にも影響を与えるという研究を紹介したいと思います。
ちなみに、ワーク・エンゲイジメントとは簡単に書けば以下のようなことです。
ワーク・エンゲイジメントの高い人は、仕事に誇り(やりがい)を感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て活き活きとしている状態
島津(2017)
一通り、用語などの前提条件が揃ったところで職場での健康投資の効果とワーク・エンゲイジメントの関係についての研究を紹介します。
なお、この記事はこちらの論文を元にご紹介しています。
古井 祐司 (東京大学特任教授)
村松 賢治 (東京大学受託研究員)
井出 博生 (東京大学特任准教授)
ワーク・エンゲイジメントはプレゼンティーイズムと相関がある
論文では上表の通り、ワーク・エンゲイジメントや職場の一体感にプレゼンティーイズムと負の相関があることが明らかにされています。
つまり、運動習慣が少ない、ストレスの高いなどの職場では従業員の一体感やワーク・エンゲイジメントが低くなるなるということです。ただし、アブセンティーイズムとの相関は見られませんでした。
職場でのラジオ体操がワーク・エンゲイジメントを高める?
もう1つ、この研究で興味深いのは職場で毎朝ラジオ体操の音楽をかけ、任意参加で実施していた事業所では、従業員が職場の一体感を感じているということです。(下表)
ポイントとしてはラジオ体操などの取り組みをすることで社員同士で健康についての会話が生まれコミュニケーションが促進したり、健康についての意識も高まる可能性があります。
職場での15分の昼寝が効果的なのでは!?
ここからは私が論文から読み取ったことですが、上図の健康投資による効果の枠組みの全体像をご覧いただくと睡眠習慣が従業員の健康リスクに相関があることがわかります。
過去の記事でも良質な睡眠が取れていないとプレゼンティーイズムに影響することは紹介しました。
ここから、職場でのラジオ体操と一緒に職場での昼寝(パワーナップ)を取り入れることで従業員の健康リスクの低下につながるのでは?と考えています。
とある調査では昼寝には夜の睡眠の「3倍もの効果」があるというデータも出ているようですので健康投資の一環として取り入れてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は職場での健康投資の効果とワーク・エンゲイジメントということで、ワーク・エンゲイジメントや職場の一体感はプレゼンティーイズムと相関があること、職場でのラジオ体操がワーク・エンゲイジメントを高める可能性があることなどを紹介してきました。
また、職場での昼寝も効果的である可能性も付け加えておきたいと思います。参考になれば幸いです。