心理学者バンデューラによる自己効力感の高める4つの要素
今回は新入社員や若手社員の育成とも関わりのある自己効力感について書いてみたいと思います。
自己効力感とは
自己効力感や社会的学習理論で有名な、心理学者のアルバート・バンデューラによれば自己効力感を以下のように定義しています。
予測される状況に対処するために必要とされる一連の行為を、
いかに上手くなし得るかについての本人の判断。
ウィキペディアでは以下のように紹介されています。
つまり、自分がそれをできると思えるかということだと思います。何か始めるときに自己効力感が高いと行動することを選択できますが、自己効力感が低いと行動しないことを選択する可能性が高まります。
なお、自己効力感は行動の選択だけでなく、行動の持続にも影響を及ぼすとされています。
自己効力感の高める4つの要素
では、自己効力感を高めるにはどうしたら良いでしょうか?
バンデューラは自己効力感を高める4つの要因を挙げています。
2.代理体験(代理的情報)
3.言葉による説得(言語的説得の情報)
4.情緒的な喚起(生理的喚起の情報)
それぞれを少し詳しく見てみましょう。
1.直接の成功体験
まずは、ご存知の方も多いと思いますが、直接の成功体験です。
困難にチャレンジし、自分の力で克服することができたという体験は「やればできる」という自信に繋がります。
一般にスモールステップでやればできる感を醸成する方法などがよく知られていると思います。
2.代理体験
2つめはあまり聞き慣れない代理体験というものです。
これは、他者の成功を伴う行動を観察して、自分がやっているようなイメージを持つというものになります。
営業の現場ではよく行われると思いますが、先輩や上司との同行によって代理体験を積んでいくことになります。
ただし、ポイントは他者の成功を伴う行動となりますので、同行の結果、全く売れそうもない案件だった場合は、自己効力感を高めるための代理体験には繋がりづらいと思います。(学びはあると思いますが・・・)
3.言葉による説得
3つめは松岡修造さんをイメージするとわかりやすいかと思います。言葉による説得です。
「君ならできる!」といったような励ましの言葉は特に行動の選択前に効果的です。
「褒める」「励ます」「説得する」といった言葉によっても自己効力感が高まります。
4.情緒的な喚起
最後は言葉としてやや難しそうな情緒的な喚起というものです。
文字だけ見ると3の「言葉による説得」と同じようなイメージがしますが、少し異なります。
これはもっと簡単な話で、自己効力感も気分で変わるということです。例えば、好きな音楽を聞いているときは気持ちも上がり、今ならできるような気がするといった感情や生理的な変化が自己効力感に影響を与えるとされています。
現場での活用とまとめ
いかがでしたでしょうか。実際の現場で新人や部下を育成する際は以下の点に気をつけるとよいかと思います。
2.好きなご飯を食べたり、休憩時間に好きな音楽を
聞いてから取り組ませる(情緒的な喚起)
3.スモールステップで上手くできるようにしてあげる(直接の成功体験)
4.上手くできたら褒めてあげる(言葉による説得)
ぜひ活用してみてください。