人間関係を高め、ストレスを減らす社内SNSの設計
今回は社内SNSというものについて書いてみたいと思います。
各社、社内SNSを導入する目的は様々なのかもしれませんが、多くの企業では社内SNSを導入することによってインフォーマルなコミュニケーションを促進し、情報共有・人間関係構築に役立てたいと思っているのではないでしょうか。
また、社内SNSが広まっている要因として働く場所の多様化も影響していると思います。
これは、従来からあった多拠点の事業所間のコミュニケーションはもちろん、働き方改革によるリモートワーク推進なども影響していると思います。
また、近年は社内SNSというよりも上記のSlackのような、ビジネスチャットといったほうが適切なのかもしれません。
人間関係を高め、ストレスを減らす社内SNSの設計
世の中ではChatwork、Talknote、Slackなどの社内SNS(ビジネスチャット)を使っている企業も多いと思いますが、今回紹介するのは上記のような既存ツールというわけではありません。
今回紹介するのは以下の論文で紹介されていたオリジナルの社内SNS(論文中では企業内つぶやきシステム)になります。
岩本 茂子, 小川 祐樹, 諏訪 博彦, 太田 敏澄
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ssi/7/2/7_1/_article/-char/ja/
この論文では企業内つぶやきシステムがどのような効果をもたらしているかをモデル化していますが、ここで掲載されていたつぶやきシステムが面白かったので概要を簡単に紹介したいと思います。
2.投稿するのは今日の意志(気分)と1行のメッセージだけ
3.午前11:30に、その時間までに投稿した人のメッセージ一覧と
今日の意志(気分)の集計結果を記載したメールが届く
4.ただし、11:30のメールが届くのは、2で投稿した人のみ
※投稿しなかった人には3のメールは届かない
下画像は11:30に届くメールのイメージです。
画像参照:企業内つぶやきシステムの効用のモデル化 図2
論文中ではシステムの制約として以下のように紹介しています。
「1日1回の発信であること」
「発信をした者しか,他の発信者のメッセージを受け取れないこと」
である。
個人的に、このシステムで面白いと思ったのは上記でも紹介されていた発信をした者しか,他の発信者のメッセージを受け取れないことという要素と、もう1つ、投稿に対していいね!も、コメントもできないという点です。
何かしらフィードバックをしようと思ったら社内で直接会ったときに行うしかありません。これがリアルでのコミュニケーション促進につながるのではないか?と思いました。
また、コメントできないことで投稿に対してネガティブな反応が起こりづらいという可能性もあります。
企業内つぶやきシステムの8つの効果
論文によればこのシステムの利用社員へのアンケートやインタビューによって8個の効果が確認できたということです。
1.情報公開
⇒自分の状態を他人に伝えることができる
2.関係構築
⇒他の人との会話のネタができる
3.自己啓発
⇒1行書くために脳を使う
4.ルーティン
⇒1日の始まりという区切りになる
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読むメリット
5.状況認識
⇒他の人の状態を知ることができる
6.他者認識
⇒他の人の興味のあることがわかる
7.時事トピック
⇒旬な話題がわかる
8.ストレス発散
⇒なんとなしの息抜き
参考:企業内つぶやきシステムの効用のモデル化 図4より一部抜粋
最後に論文ではこれらの8つ効果を以下の図のモデルにまとめています。
画像参照:企業内つぶやきシステムの効用のモデル化 図5
上図はつぶやきシステムという場が関係構築(8つの効果の2の関係構築と6の他者認識)と、社会的スキル向上(8つの効果の3の自己啓発と7の時事トピック)とストレス軽減(8つの効果の4のルーティンと8のストレス発散)
の効果があるとまとめています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。すでに社内SNSを導入している企業も多いと思いますが、紹介したようなある意味で制約の強い、シンプルな社内SNSを
導入することで職場の人間関係を高め、ストレスを減らすことができるかもしれません。
参考になれば幸いです。
企業内つぶやきシステムの効用のモデル化 2018
岩本 茂子, 小川 祐樹, 諏訪 博彦, 太田 敏澄
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ssi/7/2/7_1/_article/-char/ja/