マネージャーに求められる役割とは何でしょうか。「目標を達成すること」「部下を育成すること」など漠然としたイメージはあっても、体系的に整理できている方は多くありません。

この記事では、マネージャーが果たすべき4つの基本役割(船長・設計者・指揮者・教師)を、ビジネスマネジャー検定試験公式テキストをもとにわかりやすく解説します。さらに、マネージャーとリーダーの違いや、階層別に求められるスキルを整理したカッツモデルもあわせて紹介します。

目次

1. マネージャーとリーダーの違い

2. マネージャーの4つの役割

3. 4つの役割 一覧表

4. カッツモデル:マネージャーに求められる3つのスキル

5. まとめ

マネージャーとリーダーの違い

マネージャーの役割を理解するうえで、まず押さえておきたいのがマネージャーとリーダーの違いです。両者は混同されがちですが、求められる機能が異なります。

比較項目 マネージャー リーダー
主な役割 組織の目標達成に向けた管理・調整 ビジョンを示し、人を動かす
視点 計画・効率・プロセス重視 変革・方向性・未来重視
影響力の源泉 公式な権限(ポジションパワー) 人間的魅力(パーソナルパワー)
関心事 「どうやって達成するか」 「何を目指すか」
主な行動 計画立案・進捗管理・評価 動機付け・鼓舞・方向付け

経営学者ジョン・コッターは「マネジメントは複雑さへの対処であり、リーダーシップは変化への対処である」と述べています。実際のビジネスでは、マネージャーがリーダーシップも発揮することが理想であり、両方の機能を状況に応じて使い分けることが重要です。

マネージャーの4つの役割

ビジネスマネジャー検定試験公式テキストでは、マネージャーの役割を4つに整理しています。

マネージャーの4つの役割

漫画ワンピースのキャラクターに例えると理解しやすいため、あわせて紹介します。

役割1:船長(目標設定・鼓舞)

1つめは船長の役割です。ワンピースでいえば主人公のルフィのポジションです。

目標を設定し、メンバーを鼓舞していく役割です。ルフィは「ワンピースを見つけ、海賊王になる」という目標を掲げ、メンバーそれぞれの目標達成(ゾロなら世界一の剣豪)を後押ししています。

ビジネスにおいては、チームのKGI(最終目標)やKPI(中間指標)を設定し、メンバーが「何のために仕事をしているのか」を明確にする役割です。目標が曖昧なままだと、メンバーは日々のタスクに追われるだけで主体性を発揮できません。

具体的な行動としては以下のようなものがあります。

・チームの方向性を示し、定期的にビジョンを共有する

・メンバー個人の目標をチーム目標と紐づける

・困難な局面でもチームの士気を保つ声掛けを行う

役割2:設計者(仕組みづくり)

2つめは設計者の役割です。ワンピースで当てはめると、航海士のナミが近い存在です。

ナミは天候を分析し、次に起こりうる状況を察知して準備を進めます。これはビジネスでいえば業務プロセスの設計や仕組みづくりに相当します。

優れたマネージャーは、個人の能力に依存しない再現性のある仕組みを構築します。属人化した業務はリスクが高く、担当者の異動や退職で組織が回らなくなる原因となります。

具体的な行動としては以下のようなものがあります。

・業務フローを可視化し、ボトルネックを特定する

・マニュアルやチェックリストを整備して属人化を防ぐ

・データにもとづいて改善サイクル(PDCA)を回す

役割3:指揮者(全体最適化)

3つめは指揮者の役割です。オーケストラの指揮者のように、メンバーそれぞれの強みを引き出し、チーム全体のパフォーマンスを最大化する役割です。

ワンピースではルフィがこの役割を担っています。また、メンバーの体調を食事で支え、戦闘時には全員の力が発揮できるよう配慮するシェフのサンジも近い役割を果たしています。

ビジネスにおけるポイントは適材適所の人材配置です。メンバーの得意分野・苦手分野を把握し、最も成果が出る組み合わせを考えることがマネージャーの腕の見せどころです。

具体的な行動としては以下のようなものがあります。

・メンバーの強み・弱みを把握し、役割分担を最適化する

・部門間の連携を促進し、サイロ化を防ぐ

・チーム内のコンフリクト(対立)を適切に調整する

役割4:教師(育成・教育)

最後は教師の役割です。メンバーの成長を支援し、組織の将来を担う人材を育てる役割です。

ワンピースでは、麦わらの一味の中で誰かが誰かに教育するシーンはあまり見られません。その代わり、各メンバーには外部のコーチやメンターが存在します。ルフィにとっての赤髪のシャンクスやレイリーがそれに当たります。

ルフィ自身はメンバーを鼓舞しますが、教育・育成には積極的に関わっていません。これは現実のビジネスでもよく見られる現象です。特にプレイングマネージャー型に多く、業績達成にはコミットするものの、メンバーの育成は後回しになりがちです。

しかし、育成を怠ると中長期的にチームの生産性は低下します。マネージャーには以下のような育成行動が求められます。

・1on1ミーティングを定期的に実施し、成長課題を共有する

・適切なレベルの業務を任せ、ストレッチ目標で成長を促す

・フィードバック(評価結果だけでなくプロセスへの助言)を適時行う

4つの役割 一覧表

4つの役割を一覧で整理すると以下のようになります。

役割 主な業務 求められる力 ONE PIECEの例
船長 目標設定・ビジョン共有・鼓舞 構想力・動機付け ルフィ
設計者 業務プロセス設計・仕組みづくり 分析力・論理的思考 ナミ
指揮者 人材配置・チーム調整・全体最適化 対人関係力・調整力 ルフィ・サンジ
教師 部下育成・フィードバック・1on1 傾聴力・コーチング力 シャンクス・レイリー

ルフィのように、1人が全ての役割を完璧にこなすことは難しいのが現実です。自分が苦手な役割については、チームメンバーや他の管理職にサポートしてもらうことも重要な選択肢です。

カッツモデル:マネージャーに求められる3つのスキル

4つの役割を果たすために、マネージャーにはどのようなスキルが必要でしょうか。ここで参考になるのが、ハーバード大学のロバート・カッツが提唱したカッツモデル(カッツの3能力)です。

カッツモデルでは、マネージャーに必要なスキルをテクニカルスキル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルの3つに分類しています。

スキル 内容 具体例
テクニカルスキル(業務遂行能力) 担当業務を遂行するための専門知識・技術 営業スキル、プログラミング、会計知識など
ヒューマンスキル(対人関係能力) 他者と円滑に協働するための能力 コミュニケーション、傾聴、交渉、コーチングなど
コンセプチュアルスキル(概念化能力) 物事の本質を見抜き、全体像を捉える能力 戦略立案、問題の構造化、ビジョン構築など

カッツモデルの特徴は、マネージャーの階層によって求められるスキルの比重が変わるという点です。

階層 テクニカル ヒューマン コンセプチュアル
ロワーマネジメント(係長・主任) ★★★ ★★
ミドルマネジメント(課長・部長) ★★ ★★★ ★★
トップマネジメント(役員・経営層) ★★ ★★★

現場に近いロワーマネジメント層ではテクニカルスキルの比重が高く、経営層に近づくほどコンセプチュアルスキルの比重が高まります。一方、ヒューマンスキルは全階層で一定以上求められるのが特徴です。

先ほどの4つの役割と対応づけると、「船長」にはコンセプチュアルスキル、「設計者」にはテクニカルスキルとコンセプチュアルスキル、「指揮者」と「教師」にはヒューマンスキルが特に求められると言えるでしょう。

まとめ

マネージャーが果たすべき4つの役割を整理しました。

船長:目標を設定し、メンバーを鼓舞する

設計者:業務プロセスを設計し、仕組みをつくる

指揮者:メンバーの強みを引き出し、チーム全体を最適化する

教師:部下の成長を支援し、将来の人材を育てる

1人で全ての役割を完璧にこなすことは難しいため、まずは自分がどの役割に強みを持ち、どの役割が不足しているかを認識することが第一歩です。苦手な役割についてはチームメンバーや他の管理職と補い合うことで、組織としてのマネジメント機能を高めることができます。

また、カッツモデルで示されたように、マネージャーの階層によって求められるスキルの比重は変わります。自身のキャリアステージに合わせてスキル開発の優先順位を見直してみてください。

なお、マネージャーの役割について別の視点から整理した記事として「2冊の書籍における「マネージャーの役割」の共通点と違い」もあわせてご覧ください。

マネージャーに必要なリーダーシップやチーム運営のスキルを体験的に学ぶ方法として、ビジネスゲームを用いた研修も効果的です。ご関心のある方は「リーダーシップ研修で使えるビジネスゲーム4選」もご参照ください。

参考図書:
ビジネスマネジャー検定試験Ⓡ公式テキスト 4th edition
東京商工会議所


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