プロジェクトマネジメント研修で新国立問題を取り上げる

目次
1. PMBOKとは
2. PMBOKにみる新国立競技場問題
3. スコープマネジメント
4. 開発技術マネジメント
5. タイムマネジメント
6. コストマネジメント
7. 品質マネジメント
8. 組織マネジメント
9. 調達マネジメント
10. コミュニケーションマネジメント
11. リスクマネジメント
12. よくある質問(FAQ)
13. まとめ
2020年オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムである新国立競技場の問題がマスコミで多く取り上げられています。
この問題はまさにプロジェクトマネジメントの失敗であると思われます。
2015/7/24現在、テレビでは責任者は誰かということを探しています。
いわゆるプロジェクトマネージャーは誰か、ということになります。
ここでは、プロジェクトマネジメント研修の中の事例として新国立競技場問題をPMBOKを用いて考えてみたいと思います。
PMBOKとは
簡単に書けばPMBOKでは以下の様な項目をマネジメントすることが重要とされています。

PMBOKにみる新国立競技場問題
上図の各項目ごとに新国立競技場問題を考えてみたいと思います。
スコープマネジメント
一言で書けば何を、どこまでやるか?ということですが、現時点では屋根が必要なのか、8万人収容が必須なのか、など基本的なスコープさえ曖昧になっています。
開発技術マネジメント
簡単に書けば成果物(新国立競技場)を開発するための技術について決めていくマネジメントと言えます。
新国立競技場の開発(建築)ではキールアーチ構造という巨大なアーチがコストと工期の長さの要員となっていると言われています。
デザインを重視し、開発の視点からのマネジメントが弱かったといえるでしょう。
タイムマネジメント
これはこれからどうなるか?ということになりますが、オリンピックの1年前にはプレオリンピックと呼ばれるオリンピックと同じ状況下で競技を行わなければならないというものがあるようです。
オリンピックはもちろん、プレオリンピックを実施するためのタイムラインを引く必要があります。
コストマネジメント
言うまでもありませんが、1300億円という予算に対して、2520億円までコストが膨らみました。コストマネジメントの失敗です。
そもそも、多くのオリンピックのメインスタジアムが650億円程度で開発されていましたが、1300億円という予算も(今となっては)おかしいのです。
品質マネジメント
ITの世界ではシステムの不具合の発見と修正のコストが以下の図で表されます。
もう少し早い段階でこのプロジェクトの失敗が判明していたら、旧国立競技場の解体などを遅らせることができたかもしれません。
組織マネジメント
一般的なプロジェクトでは体制図を描くと思うのですが、今回は責任者が不明確ということなので、体制図が描かれていなかったということなのでしょうか。
(もちろんそんなことは無いと思いますのでいづれ世の中に出てくるのでしょう。)
調達マネジメント
新国立競技場の開発にあたって資材の調達が必要ですが、資材の値上がり、円安の影響で総合コストが上ブレしたと報道されています。
この辺りの読み、バッファの取り方にも問題があったように感じます。
コミュニケーションマネジメント
今回のプロジェクトでは関係者間のコミュニケーションがうまくとれていたとは思えません。
このような大きなプロジェクトではステークホルダーが多く登場するため関係者間の合意形成、オールジャパンと呼ばれる全体としての関係性の構築が必須ですが、個人的な意見としてはオールジャパン感をあまり感じません。
リスクマネジメント
リスクへの対応法としてPMBOKでは以下の4つを挙げています。
リスク事象の原因を取り除く
・転嫁
リスクそのものを第三者に移す
・軽減
発生確率とその影響の大きさを低下させる
・受容
リスクを受容する
今回はザハ氏への違約金などリスクを受容することになりましたが、今後は回避、軽減してほしいものです。
よくある質問(FAQ)
Q. PMBOKとは何ですか?
A. アメリカの非営利団体PMI(Project Management Institute)が策定した、プロジェクトマネジメントの世界標準的な知識体系です。スコープ・タイム・コストなど10の知識エリアでマネジメントを体系化しています。
Q. PMBOKの10の知識エリアとは?
A. スコープ/開発技術/タイム/コスト/品質/組織/調達/コミュニケーション/リスクの9マネジメント領域に加え、これらを統合する統合マネジメントの合計10領域です。
Q. 新国立競技場問題はPMBOK的にどこが失敗していましたか?
A. スコープ(屋根や8万人収容など要件が曖昧)、コスト(当初2520億円→見直し)、リスク(キールアーチ構造の難度・想定外コスト)、コミュニケーション(関係者合意の不在)など、複数領域で同時にマネジメント機能が破綻していました。
Q. PMBOKを学ぶにはどんな研修が効果的ですか?
A. 座学だけでなく、ゲーム型研修でプロジェクトの失敗を擬似体験するのが効果的です。弊社のプロジェクトテーマパークやマシュマロチャレンジが代表例で、PMBOKの各知識エリアを体験的に理解できます。


Q. PMBOKの最新版はどう変わりましたか?
A. 2021年公開の第7版で、従来の「知識エリア中心」から「プロジェクト・パフォーマンス領域中心」の構造に大きく変わりました。本記事は伝統的な10知識エリアの切り口で解説しています。
まとめ
今まさにプロジェクトマネジメント研修を実施するのであれば新国立競技場の問題をPMBOKベースで考えてみるのは受講者にリアリティを感じてもらうためにとてもよい事例だと思います。
なお、弊社ではプロジェクトマネジメントを疑似体験から学べるゲーム研修を提供しております。詳しくはこちらを御覧ください。

