効果の高い研修とはどのような研修なのか?その3
前回までの記事で効果の高い研修とは「業績に良い影響を及ぼす」または「行動に変化を及ぼす」と書いてきました。
効果の高い研修を考えるシリーズはこちらからご覧いただけます。
効果の高い研修シリーズ(全3回)
これはダニエル・キムの成功循環モデルからも、また、研修の効果測定として有名なカークパトリックモデルから見ても本質からはずれていないはずです。
そして今回、さらに付け加えるとすると効果の高い研修は「意思決定の際に研修で学んだ知識・知恵が想起される」ということを挙げたいと思います。
効果の高い研修は意思決定に影響を与える
効果の高い研修はなんらかの「意思決定」の際に、研修で学んだ知識・知恵が想起され、意思決定の質を高めると考えられます。
これは成功循環モデルでいうところの「思考の質」、カークパトリックモデルではニューワールドカークパトリックモデルのレベル2で表現される「研修内容を活用できる自信があるか」という「自信」がこのニュアンスに近いです。
つまり、一言で言えば学んだものが「現場で使えるか」ということです。
また、知識・知恵と書きましたが、研修で見た「データ」が意思決定に役立つということあるでしょう。
話はそれますが、データ、知識、知恵の違いについてはDIKWモデルが役立つでしょう。
参考URL:http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat01/stat0101.html
話を戻して、例えば、ある投資を実行するかどうかを悩んだ時、ファイナンス研修で学んだ「NPV」を使ってみることで投資の可否を吟味してみる、ということがあれば研修の効果はあったと言えるでしょう。
もちろん、その結果、従来の意思決定とは違った意思決定をし、さらに成果も上がったとなれば万々歳です。
効果の高い研修における研修後に「相談できる」
成功循環モデルの最後(最初)は「関係の質」から始まりますが、これまで書いてきた「効果の高い研修」の条件から考えると、いわゆるチームビルディング研修や、社員同士の交流を目的とした社員旅行などの取り組みは効果が低いのかという疑問が残ります。
これに関しては「研修後の業務で相談できる関係が構築される」のであれば効果が見込めると考えています。
これは「Know Who」と呼ばれる「誰が、何を知っているかを知っている」ということに関連しています。
具体的には、自分1人では解決できない問題でも、その問題の解き方を知っている人を知っていれば、解決できる、ということを意味しています。
この時代、1人の人があらゆる分野の知識や知恵を持っているというのは難しく、自分に足りない知識は既にそれを持っている人と協力していくことがスピード感をもって仕事を行っていくうえで重要です。
従って、チームビルディング研修や、社員交流を目的としたレクリエーションでは「研修後に相談できる関係」ができていることが重要なのです。
そして、そのためには「お互いがどんなことを知っているのか」を知る必要があります。
具体的には研修でよく出てくる「ジョハリの窓」は「Know Who」を支援するフレームワークの1つとして活用することができるでしょう。
まとめ
3回に分けて「効果の高い研修とは何か」を書いてきました。
2016年6月時点で考えられるできるだけ本質的な内容にしたつもりではありますが、今後、ビッグデータなどの活用により「効果の高い研修とはXXXXなものである」というデータが出てくる可能性があります。
その時にここで書いたことがどれだけ的を得ているかわかることになりますができればそうはずれていないと嬉しいものです。
効果の高い研修とは以下の4つであると考えます。
・行動に変化を与える
・意思決定に影響を与える(知識や知恵が想起される)
・相談し合える関係が構築される