「従業員のストレス対策、なんとかしないと…」

そう感じている研修担当者の方は多いのではないでしょうか。

厚生労働省の調査によると、仕事に関して強いストレスを感じている労働者の割合は約8割にのぼります。ストレスチェック制度の義務化もあり、企業としてメンタルヘルス対策に取り組むことは、もはや避けて通れないテーマです。

しかし、座学でストレスの理論を説明するだけでは、受講者の行動変容にはなかなかつながりません。

「知識として知っている」と「実際に対処できる」の間には、大きなギャップがあるのです。

この記事では、職場ストレスを理解するための代表的な理論「カラセックモデル(仕事の要求度-コントロールモデル)」をわかりやすく解説します。

さらに、無料のセルフ診断テストや、研修で活用できるカードゲーム教材もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

カラセックモデル(仕事の要求度-コントロールモデル)とは?

カラセックモデルとは、1979年にアメリカの社会学者ロバート・カラセック(Robert Karasek)が提唱した職業性ストレスの理論モデルです。

英語では「Job Demand-Control Model(JDCモデル)」と呼ばれ、職場のストレスを2つの軸で整理するシンプルかつ強力なフレームワークとして、世界中の研究や実務で活用されています。

2つの軸とは?

カラセックモデルでは、以下の2つの要因の組み合わせによって、仕事のストレス状態が決まると考えます。

1. 仕事の要求度(Job Demand)
業務量の多さ、時間的プレッシャー、仕事の難易度など、仕事から求められる負荷の大きさを指します。

2. 仕事のコントロール(Job Control / Decision Latitude)
仕事の進め方や意思決定にどれだけ裁量があるかを指します。「自分で決められる度合い」と言い換えることもできます。

この2つの軸を掛け合わせることで、仕事のストレス状態を4つのタイプに分類できるのが、カラセックモデルの大きな特徴です。

カラセックモデル 4象限図

ソーシャルサポートの追加(JDCSモデル)

1988年には、Johnson & Hall によって「ソーシャルサポート(上司や同僚からの支援)」が第3の軸として追加されました。これはJDCS(Job Demand-Control-Support)モデルと呼ばれています。

つまり、同じ「高要求度 × 低コントロール」の仕事であっても、周囲のサポートがあればストレスは緩和されるということです。

弊社では、このソーシャルサポートの重要性を体験的に学べるゲーム型研修も提供しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

NIOSHの職業性ストレスモデルが教えてくれること

なぜカラセックモデルが重要なのか

カラセックモデルが研修やマネジメントの現場で重視される理由は、「要求度を下げられなくても、コントロール(裁量)を高めることでストレスを軽減できる」という実践的な示唆を与えてくれる点にあります。

「忙しい仕事=ストレスが高い」と一概には言えません。自分で段取りを決められる、やり方を工夫できるといった裁量があれば、同じ忙しさでもストレスの感じ方は大きく変わるのです。

管理職向けの研修であれば、「部下に裁量を与えることがストレス軽減につながる」というメッセージとして活用できますし、セルフケア研修であれば、「自分の仕事のコントロールをどう高めるか」を考えるきっかけになります。

4つのストレスタイプ

カラセックモデルでは、仕事の要求度とコントロールの高低の組み合わせから、4つのストレスタイプに分類されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1. 高ストレイン(High Strain):要求度 高 × コントロール 低

最もストレスが高い状態です。

業務量や時間的プレッシャーが大きいにもかかわらず、仕事の進め方に裁量がほとんどない状態を指します。

・コールセンターのオペレーター(対応件数のノルマがあるが、マニュアル通りの対応が求められる)
・工場のライン作業(ペースが決まっていて自分で調整できない)
・締切に追われるが上司の承認がないと進められない業務

このタイプに該当する方は、心身の健康リスクが最も高いとされています。組織としては、裁量の付与や業務量の見直しなど、早急な対策が求められます。

2. アクティブ(Active):要求度 高 × コントロール 高

仕事の負荷は大きいものの、自分の裁量で進め方を決められる状態です。

やりがいや成長実感を得やすい、最も理想的な状態と言われています。

・新規事業の立ち上げ担当(忙しいが、自分で方向性を決められる)
・裁量の大きいプロジェクトマネージャー
・経営者や個人事業主

「フロー状態」に入りやすいのもこのタイプの特徴です。ただし、裁量があるがゆえに際限なく働いてしまうリスクもあるため、セルフマネジメントの意識は欠かせません。

3. パッシブ(Passive):要求度 低 × コントロール 低

仕事の負荷は小さいものの、裁量もほとんどない状態です。

一見楽に見えますが、モチベーションの低下やスキルの停滞を招きやすいタイプです。

・定型作業の繰り返しで変化がない業務
・指示待ちになりがちなポジション
・異動直後で仕事が少なく、裁量もまだない状態

「やることがない」「自分は必要とされていないのでは」という感覚から、静かにメンタル不調につながるケースもあります。管理職としては見落としやすいタイプなので注意が必要です。

4. 低ストレイン(Low Strain):要求度 低 × コントロール 高

仕事の負荷が小さく、かつ裁量が大きい状態です。ストレスが最も低い状態とされています。

・自分のペースで進められる専門職
・経験豊富で余裕を持って業務をこなせるベテラン社員
・フレックスタイムやリモートワークなど柔軟な働き方ができるポジション

ストレスは低い反面、環境の変化(異動や組織改編など)によって一気に高ストレイン側に移動する可能性もあります。自分のタイプを把握しておくことで、変化への備えができるのではないでしょうか。

4タイプの比較表

タイプ 要求度 コントロール 特徴
高ストレイン 最もストレスが高い。心身の健康リスク大
アクティブ やりがい・成長実感。理想的な状態
パッシブ モチベーション低下・スキル停滞のリスク
低ストレイン ストレス最小。環境変化には注意

あなたの仕事は、どのタイプに近いでしょうか?

次のセクションでは、無料で診断できるセルフチェックテストをご紹介します。

【無料】仕事のストレス診断テスト

仕事のストレス診断テスト画面

▼ 診断結果のイメージ
仕事のストレス診断 結果画面

弊社では、カラセックモデルに基づいた無料のセルフ診断テストを公開しています。

・全10問の簡単なチェック(所要時間:約2分)
・仕事の要求度とコントロールのバランスを測定
・4つのストレスタイプのうち、自分がどこに該当するかがわかる
・スマートフォンからも利用可能

仕事のストレス診断テストを受ける(無料)

研修での活用方法

この診断テストは、個人のセルフチェックとしてだけでなく、研修のアイスブレイクや事前ワークとしても活用いただけます。

アイスブレイクとして
研修の冒頭で全員に診断を受けてもらい、「自分はどのタイプだったか」をグループ内で共有します。自己開示のきっかけになり、その後のグループワークが活性化します。

事前ワークとして
研修の数日前に診断URLを送付し、結果を持参してもらいます。「自分のストレス状態を事前に把握した上で研修に臨む」ことで、当事者意識を高めることができます。

管理職研修の導入として
管理職に診断を受けてもらった上で、「部下のストレスタイプを想像してみてください」と問いかけます。部下の仕事の裁量について考えるきっかけになります。

ストレス研修で活用できるカードゲーム「攻略!きみのストレスを発見せよ!」

カラセックモデルで「自分のストレスタイプ」を知った後は、具体的なストレス対処法(コーピング)を身につけるステップに進みたいところです。

そこでおすすめしたいのが、カードゲーム型の研修教材「攻略!きみのストレスを発見せよ!」です。

公認心理師・臨床心理士 伊藤絵美先生監修

本教材は、認知行動療法の第一人者として知られる伊藤絵美先生(公認心理師・臨床心理士)の監修のもと開発されました。

エビデンスに基づいたストレスマネジメントの知識を、カードゲームという親しみやすい形で学べるのが大きな特徴です。

3つのゲームでストレスマネジメントを体系的に学ぶ

本教材は、以下の3つのステップで構成されています。

ステップ1:ストレッサーの発見
50枚のストレッサーカードを使って、自分にとってのストレス要因を洗い出します。「意外なことがストレスになっていた」という気づきが生まれます。

ステップ2:ストレス反応の理解
ストレスを受けたとき、自分の身体・感情・思考・行動にどのような反応が出るかを整理します。

ステップ3:コーピング(対処法)の習得
ストレスへの対処法を参加者同士で共有し、自分のコーピングレパートリーを広げます。

座学で「ストレスとは何か」を学ぶだけでなく、カードを使ったワークを通じて「自分ごと」として体験できるのが、この教材の最大の魅力だと感じています。

実施概要

項目 内容
所要時間 1時間〜2時間
対象人数 3名〜100名程度
実施形式 講師派遣のみ
対象年齢 6歳〜(社会人研修はもちろん、学校教育でも活用可能)

詳しい内容やレビューは、以下の記事でご紹介しています。

「攻略!きみのストレスを発見せよ!」レビュー記事

カラセックモデル × ゲーム研修の組み合わせ

カラセックモデルの解説と「攻略!きみのストレスを発見せよ!」を組み合わせた研修プログラムの一例をご紹介します。

時間 内容
10分 ストレス診断テスト(アイスブレイク)
20分 カラセックモデルの解説 + 診断結果の共有
60〜90分 「攻略!きみのストレスを発見せよ!」実施
20分 振り返り・アクションプラン作成

「理論(カラセックモデル)で全体像を把握 → ゲームで自分ごとにする → 行動計画を立てる」という流れで、知識の定着と行動変容の両方を促すことができます。

関連するメンタルヘルス研修ゲーム

HEART QUAKEでは、「攻略!きみのストレスを発見せよ!」以外にも、メンタルヘルスをテーマにした研修ゲームを提供しています。

ストマネ(受講者満足度 4.92 / 導入約60社)

ストマネは、セルフケアとラインケアの両方を体験的に学べるシミュレーションゲームです。

4名1チームでプロジェクトの完了を目指しますが、仕事を進めるほどメンバーにストレスが蓄積されていきます。ストレスが一定以上になるとメンバーが休職してしまうため、チーム全体でストレスマネジメントを考えなければなりません。

・所要時間:2時間〜4時間
・対象人数:4名〜100名程度
・実施形式:レンタル / 講師派遣

「部下のストレスに気づけなかった」「自分ばかり仕事を抱えてしまった」など、ゲームの中でリアルな失敗体験ができるのが大きな特徴です。管理職研修やリーダー研修での活用が特に効果的です。

ウツ会議(管理職向けメンタルヘルス研修)

ウツ会議は、メンタル不調者へのサポートを疑似体験できるカードゲーム型研修です。

管理職として部下のメンタル不調にどう対応するかを、リアルなシナリオの中で考えます。「正解のない問い」に向き合うことで、対応力と想像力を養います。

・所要時間:2時間〜4時間
・対象人数:4名〜40名程度
・実施形式:講師派遣のみ

研修の目的に合わせた選び方

研修の目的 おすすめのゲーム
セルフケア(自分のストレスに気づく・対処する) 攻略!きみのストレスを発見せよ!
ラインケア(チーム全体のストレス管理) ストマネ
管理職のメンタルヘルス対応力 ウツ会議

もちろん、複数のゲームを組み合わせて半日〜1日の研修プログラムを構成することも可能です。

資料請求・お問い合わせ

カラセックモデルは、職場のストレスを「要求度」と「コントロール」という2つの軸でシンプルに整理できる、非常に実用的なフレームワークです。

重要なのは、「仕事の忙しさ」だけがストレスの原因ではないということ。裁量(コントロール)を高めることで、同じ忙しさでもストレスを軽減できる可能性があります。

まずは無料のストレス診断テストで、ご自身やチームメンバーの現状を把握してみてはいかがでしょうか。

研修での活用をご検討の方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

資料請求・お問い合わせはこちら

※ 「攻略!きみのストレスを発見せよ!」はHEART QUAKEが代理販売しております。

参考文献

Karasek, R. et al. (1998) “The Job Content Questionnaire (JCQ): An Instrument for Internationally Comparative Assessments of Psychosocial Job Characteristics.” PubMed


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