採用弱者

“採用弱社”の戦略論をシリーズでお届けしております。
なお、学生から見たネームバリューや認知が弱い企業 = 採用弱者、または、採用弱”社”に向けた記事となります。

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”採用弱社”の戦略論

母集団形成 or 選考歩留まり改善

今回のテーマは採用弱者は母集団形成と選考歩留まり改善のどちらを重視すべきか?という視点です。

ここでいう母集団形成とはナビサイトでの説明会エントリー数や、ブックマーク数など、自社への認知数や、興味を持ってくれている学生を増やす取り組みを表し、選考歩留まり改善は、採用選考プロセスの中での離脱を防ぐ取り組みを表します。

まずはクイズです。

ABC商事は前年度に予算200万円を集客施策に投下して100名の母集団を形成し、
3名の採用に成功

初の新卒採用で一定の成果を出すことができた自信から、
今年度は予算300万で6名の採用目標を達成したいと考えています。
この状況下で取るべき戦略はどれでしょうか?
なお、採用担当者は1名、ABC商事は例年採用に苦戦している採用弱“社”とします。

A.母集団形成を強化する戦略
B.選考歩留まり率を改善する戦略

正解と解説

<正解>
B.選考歩留まり率を改善する戦略

<解説>

採用人数を増やすには、母集団形成で応募者を増やすか、選考歩留まり率を改善するか、大きく2つの方向性があります。

採用人数=母集団(応募者) × 選考歩留まり率(応募者採用率)

この状況を踏まえて、ABC商事が取るべき戦略を検討します。
まず、母集団形成を強化する戦略について。

ABC商事の前年度の集客単価2万円を基準とすると、300万円の予算投下で150人の母集団を形成。
内定承諾率を前年同水準の3%と置くと今期の採用見込み人数は4.5名

これでは目標に届きません。さらに、今は売り手市場であることを忘れてはいけません。

画像参考:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ 2020 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(2019 年 7 月調査)

この調査から、応募者数が「減った」とする割合が多い=母集団形成の競争環境が激化している=翌年の新卒採用の母集団形成コストが相対的に高くなる、と推測できます。

ゆえに、ABC商事の集客単価を高く見積もるべきです。仮に、集客単価が2万円から10%アップの2.2万に増えた場合、300万円の予算投下で136人の母集団を形成。選考歩留まり率を前年同水準の3%と置くと採用見込み人数は4名。目標未達です。

また、運よく、300万円の予算投下で150名の母集団を形成できたとしても、前年比プラス50名分を採用担当者1名で対応するのは大変です。

以上のことから、ABC商事が取るべき戦略として、母集団形成を強化する戦略は難しいと言わざるを得ません。

次に、選考歩留まりを改善する戦略について。

ABC商事では前年度100名の母集団に対して採用数が3名。応募者の選考歩留まり率は3%です。この選考歩留まり率を6%に改善できれば、前年度より集客単価が10%アップしたとしても採用目標の6名は達成可能ですが、それが現実的かどうか?

特に、新卒採用を始めたばかりのでABC商事であれば、選考歩留まりの改善の余地が多大にあるので、十分に現実的です。

具体的なアイデアを2つご紹介しましょう。

1.面接官トレーニングによる面接の質の向上

2.リクルーター制度による動機づけ

例えば、面接官トレーニングで面接官の質を高めることで、学生の見極め精度の向上と、選抜としての面接だけでない魅力付としての面接によって、選考歩留まりを改善させることができます。

他にも、一次面接通過者にリクルーターを付けることで、自社への動機付け(志望度アップ)をしつつ選考辞退リスクを抑えることができ、選考歩留まりの改善ができます。

よって、ABC商事が取るべき戦略は、選考歩留まりを改善する戦略が適切であると考えられます。

まとめ

採用弱社では、いたずらに母集団の数を追うことは忙しくなるだけで成果が出ないという結末に終わりかねません。

選考歩留まり改善は予算をかければできるようになるわけではありませんが、少子化などの影響で今後も上がり続けることが予想される集客単価を考えると、選考歩留まり改善はいつかは取り組まなければならない施策といえます。


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