先日読んだ職場のハラスメントを解析するというレポートがとても面白かったので内容の一部をご紹介したいと思います。

職場のハラスメントを解析する(JPSED分析報告書2020)

リクルートワークス研究所
https://www.works-i.com/research/works-report/2020/harassment.html

新型コロナウイルス感染拡大の影響でやや注目度が下がってしまったように思いますが、2020年6月に通称パワハラ防止法が施行されました。

テレワークによってハラスメントは減ったのではないか?となんとなく感じていましたがレポートによると一概にそうは言えなそうです。

レポートには以下のように記述されています。

テレワークの実施度合いとパワハラを受けたか否かの相関を調べてみたところ、
テレワークをしており、なおかつパワハラを受けた人の割合は19.0%だったが、
テレワークをしていない人の場合、パワハラを受けた人の割合は14.0%だった。


画像引用:【図表3-4】パワハラを受けた人の割合(テレワーク実施別)
https://www.works-i.com/research/works-report/2020/jpsed_harrasment.html

正直、え?どうして?と思いましたが、理由についてこのように推察されています。

テレワーク従事者の方がパワハラを受けている可能性が高いわけだが、
この結果が示すのは、現状においてはテレワークの適切な運用がなされていない
ということだろう。

中略

テレワークは適切に運用できなければ、結果としてコミュニケーションが不足し、
パワハラを発生させる要因ともなりうる。定期的に対面でのやり取りを設けたり
上司から部下への指示の文言が高圧的になっていないかをチェックするといった工夫が必要だ。

中間管理職が最もハラスメントを受けている?

このレポートには他にも注目すべき点がたくさんあります。その1つが、誰がハラスメントを受けているのか?という点です。

誰がハラスメントをするのか?という調査では、当たり前?なのかもしれませんが、上司からが76.9%となっており、予想通りかと思います。


画像引用:【図表1-4】誰からハラスメントを受けたか(複数回答)
https://www.works-i.com/research/works-report/2020/jpsed_harrasment.html

一方、誰がハラスメントを受けているのか?という問いには、一般社員や派遣社員だと思っていましたが実態はそうではないようです。

画像引用:【図表1-5-1】属性別のハラスメントの発生割合 (1)より一部抜粋
https://www.works-i.com/research/works-report/2020/jpsed_harrasment.html

下図の雇用形態別ではやはり派遣社員や契約社員も多いという結果で予想通りなのですが、ただ、最も多いのが正規雇用者となっています。

また、驚きなのが、上図で、役職別で見ると最も多いのが係長級、次が課長級となっており、いわゆる中間管理職が最もハラスメントを受けているという結果となっています。

レポートでは以下のように記述されています。

中間管理職はハラスメントの加害者とみなされがちだが、
一方で、ハラスメントの被害者でもあるのだ。

中略

中間管理職がハラスメントを受けやすい理由の一つに、多くの人と接する
ポジション
であることが挙げられる。
上司である高位の役職者や部下とのやり取りのほか、所属部署以外の人と
調整を行うこともよくある。役職のない人と比べ、必要となる
コミュニケーションの量は段違いに多い

さらに、課長や係長の場合、仕事の責任は重くなるものの、
部長や役員のような大きな権限はなく
社内における相対的な立場は決して強くない

これを読んでなるほどな・・・と考えさせられました。メンタルヘルスの研修などは中間管理職にこそ必要なのかもしれません。

データで見るハラスメントに有効な対策

最後に、では、職場のハラスメントを減らしていくにはどんな対策が有効なのか?ということが記載されていましたので紹介したいと思います。
こちらも(個人的には)意外な結果でした。

画像引用:【図表3-3】組織構造、組織文化(風土)がパワハラの見聞きに与える影響(A列)と、各項目に該当する職場で働く雇用者の割合(B列)
https://www.works-i.com/research/works-report/2020/jpsed_harrasment.html

注目したいのはA列でーの数値が大きいほどハラスメントに有効な施策といえます。
最も効果的なのが15番の他者の反応におびえたり恥ずかしさを感じることなく、安心して発言や行動ができるで、いわゆる心理的安全性となっています。

逆に最も危ういのは16番の業務外の職場でのイベント参加(飲み会など)を断りにくい雰囲気があるということで、イメージで言えば心理的安全性の逆ですね。

とはいえ、心理的安全性を高めろ、と言われてもなかなか難しい・・・と思いますので、具体的な施策としては6番の 若手・中堅・ベテランの社員がバランスよく職場にいるや、5番の男性・女性の社員がバランスよく職場にいる、そして、4番の経営ボードの意思決定について、その背景や意図を伝える仕組みがある あたりが重要となってきます。

ただし、これらは人事権が絡んだり、経営陣の取り組みなので現場でどうこうできる問題じゃないのが残念です。

まとめ

いかがでしょうか。今回紹介したのはレポートの一部で他にも面白い結果がいくつも掲載されていますので興味を持った方はぜひ全文読んでみてください。

職場のハラスメントを解析する(JPSED分析報告書2020)

リクルートワークス研究所
https://www.works-i.com/research/works-report/2020/harassment.html


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