オレンジゲーム 傾聴で見つけるWin-Winインフォグラフィック

オレンジゲームは、たった1個のオレンジを2人で奪い合う寓話型ワークを通じて、傾聴と協働の本質を10〜15分で体感できる研修ゲームです。本記事では、オレンジゲームのルール・進行手順・ファシリテーター向けの運用Tips・場面別アレンジ・参加者の典型的な気づきまで、研修担当者がそのまま使える形で完全マニュアル化しました。

オレンジゲームとは|寓話で学ぶ傾聴と協働

オレンジゲームは、組織開発・コンフリクト解決・異文化理解の研修で長く使われてきた古典的なケースワークです。本来は「交渉ゲーム」として知られていますが、「相手の話を最後まで聞く」「お互いが最も良い解があると信じる」という前提を体験させる仕掛けとして、傾聴トレーニングのアイスブレイクや管理職研修の導入でも有効に機能します。

オレンジゲームのイラスト

ここに1つのオレンジがあり、2人の姉妹がいます。
姉はオレンジジュースを作りたいと思っていて、オレンジを欲しがっています。

一方、妹はオレンジマーマレードを作りたいと思っていて、同じくオレンジを欲しがっています。

さて、どのようにすればお互いが満足のいく結果を得ることができるでしょうか?

オレンジゲームのやり方|進行手順5STEP

研修・ワークショップで実施する際の標準的な進行手順を整理しました。所要時間は説明・実施・振り返り含めて10〜15分が目安です。

STEP1:ペアを組む(1分)

参加者を2人1組のペアに分けます。一方が「姉」、もう一方が「妹」を演じます。研修人数が奇数の場合は3人1組にしてオブザーバーを置く方法もおすすめです。

STEP2:ミッションシートを配布(1分)

各役にミッションを書いた紙(ミッションシート)を渡します。ポイントは相手にミッションを見せないことです。

姉のミッション:オレンジを使ってオレンジジュースを作る
妹のミッション:オレンジを使って親友の誕生日会に持っていくマーマレードを作る

「親友の誕生日会に持っていくため」という背景設定を妹側に追加することで、後半の振り返りで「目的を聞き出せたか」を議論しやすくなります。

STEP3:交渉開始(5〜7分)

お互いに「自分はオレンジが欲しい」と主張するところからスタートします。話し合いの中で相手の事情を聞き出し、Win-Winの解を見つけられるかがゲームの本題です。

STEP4:解の発表(2〜3分)

全ペアが交渉を終えたら、それぞれどんな結論に至ったかを発表します。よく出てくる解は次の3パターンです。

解のタイプ 内容 傾聴度
譲歩型 じゃんけんで決める/相手に譲る 低(相手の事情を聞いていない)
折半型 オレンジを半分に分ける 中(表面的な調整)
Win-Win型 姉は実、妹は皮(マーマレードは皮で作れる) 高(相手の真の目的を引き出した)

STEP5:振り返り(3〜5分)

講師から次の問いを投げて振り返ります。

・なぜ「半分に分ける」という結論で止まったのか/止まらなかったのか
・相手の「目的」をどのタイミングで聞き出せたか
・自分は最後まで相手の話を聞けたか/途中で自分の主張をかぶせていなかったか

オレンジゲームのポイント|傾聴で何を学べるか

オレンジゲームから引き出せる傾聴の学びは、大きく3つに整理できます。

①「主張」と「目的」を分けて聞く

姉も妹も最初は「オレンジが欲しい」という主張しか口にしません。Win-Win解は、その背後にある「ジュースを作りたい」「マーマレードを作りたい」という目的を聞き出して初めて見えてきます。傾聴の本質は、相手の言葉の背後にある目的・感情・前提を引き出すことだと体感できます。

②自分の主張を一旦保留する

ペアの多くは、最初に自分の主張をぶつけ合うフェーズで膠着します。「自分の話を保留して、相手の話を最後まで聞く」ことで、視野が広がり折半型→Win-Win型への転換が起こります。

③お互いに最良の解があると信じる

これは異文化理解で有名なコンフリクト・マトリクスの右上「協働的(Collaborative)」マインドそのものです。最初から「半分に分けるしかない」と諦めず、「全員が満足する解があるはず」と信じて対話を続ける姿勢が、傾聴の前提条件として重要です。

コンフリクト・マトリクス

協働のためには、傾聴と自己主張、協力的な態度の3つが揃う必要があります。コンフリクト・マトリクスの詳細は以下の記事をご覧ください。

コンフリクト・マトリクスと異文化理解

ファシリテーター向け運用Tips

オレンジゲームを研修で使う際に、効果を引き出すための実務Tipsを整理しました。

事前にミッションシートを印刷しておく

口頭で説明すると役割が混ざるので、A6サイズの紙に役割と目的を印刷し、ペアごとに渡すのが確実です。「相手に見せない」ルールを徹底するため、シートは折りたたんで配るのが望ましいです。

「半分に分ける」が出たら追加情報を投下する

ペアの過半数が「半分に分ける」で止まる場合は、「もし二人とも100%満足できる解があるとしたら?」とヒントを投げると考え直しが起こります。最初からヒントを出さないのは、自分で気づくプロセス自体が学びになるからです。

振り返りでは「行動」より「聞き方」を扱う

振り返りで「結局Win-Win解にたどり着いたか」を扱うと結果論になりがちです。「途中で何を聞いたか/何を聞かなかったか」「相手の主張のどこに違和感を持ったか」といった傾聴プロセスに焦点を当てると、職場での実践に転用しやすくなります。

3人1組(オブザーバー付き)にすると気づきが2倍に

人数が許せばオブザーバーを置くことを推奨します。オブザーバーは「どちらが相手の話を遮ったか」「目的を聞き出した瞬間はどこか」を観察し、振り返りで共有します。当事者が気づけないクセに気づける重要な役割です。

場面別アレンジ|研修テーマに合わせた使い分け

オレンジゲームは振り返りの問いを変えるだけで、複数の研修テーマに転用できます。

研修テーマ 振り返りの問い
新入社員研修(傾聴) 先輩の指示をうのみにせず、目的を聞き出せる質問はどんなものか?
管理職研修(1on1) 部下の主張の裏にある真の目的をどう引き出すか?
営業研修(顧客対応) 顧客の表面的な要求の背後にある課題をどう聞き出すか?
異文化理解・ダイバーシティ 前提が違う相手とWin-Winを作るための聞き方とは?
交渉力・コンフリクト解決 対立を超えた協働解はどう見つかるか?

オレンジゲームの実施スペック

【対象人数】2名以上(2人1組/3人1組オブザーバー付きも可)
【実施時間】10〜15分(説明〜振り返り含む)
【予算】0円(無料)
【必要なもの】ミッションシート(A6サイズの紙にミッション記載)、可能ならオレンジ1個(実物あると盛り上がる)

オレンジゲームと組み合わせて使える、傾聴トレーニングの参考リソースを紹介します。

弊社のブログで紹介している「オードリー・タンの10分でできる傾聴の練習法」は、研修の事前学習や個人練習として活用しやすい内容です。

オードリー・タンの10分でできる傾聴の練習法

書籍では、傾聴の基礎を体系的に学べる『マンガでやさしくわかる傾聴』が、研修担当者の事前準備にもおすすめです。

傾聴を本格的に研修で扱うなら|傾聴チャレンジ

オレンジゲームは10〜15分で気づきを引き出せる短時間ワークですが、「傾聴を組織全体のスキルとして定着させたい」という場合は、専用のカードゲーム型研修「傾聴チャレンジ」もご検討ください。

傾聴チャレンジのカードゲーム

弊社が提供するカードゲーム型の傾聴研修「傾聴チャレンジ」では、ロールプレイを通じて「相手の話を遮らず最後まで聞く」「相手の感情・目的を引き出す」スキルを段階的にトレーニングできます。

受講者の反応はいかがでしたか?

非常に良好でした。「傾聴」と聞くと堅苦しく構えがちですが、ゲームを通じて自然に気づきを得ることができたという声が多くありました。

また、「普段、自分がどれだけ話を遮っていたかに気づかされた」「聴くことの難しさを実感した」など、内省を促すコメントも多く寄せられました。

【導入事例】ノボ ノルディスク ファーマ株式会社様で傾聴チャレンジを実施いただきました

傾聴チャレンジの詳細・実施方法はこちらの記事で解説しています。

傾聴研修ゲーム「傾聴チャレンジ」のやり方


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