仕事の意義マトリクス(ジョブ・キャリア・コーリング・天職)インフォグラフィック

従業員エンゲージメントやリテンション施策の文脈で、「仕事の意義(meaning of work)」を高めることが注目されています。しかし「仕事の意義」は人によって感じ方が異なり、画一的な施策では個々人の動機に届かないという課題があります。

本記事では、一橋大学大学院の中野浩一氏が提示する「仕事の意義」の4象限マトリクスをご紹介します。自分・部下・組織メンバーがどの象限に該当するかを可視化することで、キャリア面談や人材配置、研修設計に活かせるフレームワークです。

「仕事の意義」のマトリクスとは

仕事の意義のマトリクスは、仕事に意義を感じる対象と働きかける力の2軸から、4つの象限で整理する理論フレームワークです。

仕事の意義のマトリクス 4象限フレームワーク

画像参照:
多種多様な人の仕事の意義 ―理論フレームワークの提示―
一橋大学大学院 中野 浩一

国立国会図書館デジタルコレクション(本文PDF)

2つの軸の意味

マトリクスは以下の2軸で構成されています。

意味
横軸 仕事の意義を感じる対象が「自己」「他者」
縦軸(作動性) 自分は他者と区別される存在である(スキル・個としての力)
縦軸(共同性) 自分は他者とつながりを持ち、親交する存在である

縦軸の「作動性」はスキル・個としての力と読み替えるとイメージしやすいと思います。

4つの象限の意味

2軸の組み合わせで、仕事の意義は次の4象限に整理されます。

象限 特徴 典型的な人物像
貢献 (作動性×他者) 他者・組織への貢献、目的性・超越性から意義を感じる スキルを使って顧客・社会課題に貢献したい営業・コンサル
個性化 (作動性×自己) 自己有能感・自尊心など、自身の価値や有能感が高まることから意義を感じる スキル自体を高めたい職人・技術者・スペシャリスト
一体化 (共同性×他者) 組織の価値体系との一致、所属感から意義を感じる 会社のミッション・文化に共感して働くメンバー
自己接続 (共同性×自己) 自己一貫性・アイデンティティの再確認から意義を感じる ライフワークと仕事が重なっている人、自分らしさを貫くクリエイター

貢献:スキルを使って組織・社会に貢献することで意義を感じる
個性化:スキル自体を高めていくこと・有能感の獲得が意義の源泉
一体化:組織や仲間と一緒に何かをやることで意義を感じる
自己接続:自分のアイデンティティ(生き方・価値観)と仕事が結びついているという感覚から意義を感じる

「貢献」「個性化」はイメージしやすいですが、「一体化」はチームワーク重視タイプ、「自己接続」は自分の生き方と仕事の重なりを重視するタイプと捉えると分かりやすいでしょう。

組織での活用: キャリア面談・人材配置・研修設計

この4象限は、組織で以下のように活用できます。

1on1・キャリア面談:部下に「自分の仕事の意義はどの象限にありそうか」を聞き、動機の源泉を把握する
人材配置の参考:同じ業務でも、貢献タイプには顧客接点の多いポジション、個性化タイプには専門性を高められる業務を割り当てる
モチベーション低下時の対話:どの象限で意義が感じられなくなっているのかを特定し、ジョブ・クラフティングの具体案に落とす
研修設計:同じテーマでも、貢献タイプには社会的インパクト、個性化タイプにはスキル習得ストーリーで訴求する
エンゲージメント施策:一体化タイプには組織文化の醸成、自己接続タイプには個人の価値観との接点づくりを重視する

関連する概念: ジョブ・クラフティング

仕事の意義を感じるための主体的な行動としては、ジョブ・クラフティング(従業員が自分の仕事を再設計する行動)が広く知られています。本マトリクスで自分の意義の象限を把握した後は、ジョブ・クラフティングの3次元(業務・関係・認知)を使って「その象限で意義を感じやすい仕事の作り方」を設計するのがおすすめです。

ジョブ・クラフティングの3つの次元と9つの具体例

まとめ

仕事の意義のマトリクスは、貢献・個性化・一体化・自己接続の4象限で自分や部下の動機源を可視化できるシンプルなフレームワークです。従業員エンゲージメント向上や人材配置、キャリア面談の補助として活用できます。まずは自分自身がどの象限に該当するかを考えてみることから始めてみてください。


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