ストレスチェック制度が義務化されてから約10年が経過した2026年現在、多くの企業で年1回のストレスチェックが定着しました。一方で「実施はしているが、結果を活かしきれていない」という声も少なくありません。

本記事では、ストレスチェックの根拠法である労働安全衛生法の概要と、実施に用いられる「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」の中身、そして結果を現場の改善につなげるためのポイントまでを整理してお届けします。

ストレスチェック制度とは

2015年12月1日に施行された改正労働安全衛生法によって、常時50名以上の従業員を雇用する事業場は、年1回、労働者への心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施が義務付けられました。いわゆる「ストレスチェック義務化法」です。

実施後は、検査結果報告書を所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。ただし未実施に対する罰則はなく、50名未満の事業場では努力義務となっています。

制度の目的は、労働者自身が自分のストレス状態に気づくこと(セルフケア)と、事業者が職場環境を改善するきっかけを得ることの2点にあります。検査は「心の健康診断」ではなく、あくまで予防のための仕組みである点がポイントです。

詳しくは厚生労働省の資料もご覧ください。

改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について(厚生労働省)

職業性ストレス簡易調査票(57項目)とは

ストレスチェックの実施にあたっては、厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票(57項目版)が広く使われています。これは東京医科大学などの研究グループによって開発された診断テストで、短時間(おおむね5〜10分)で回答でき、職場のストレス要因・本人のストレス反応・周囲のサポートをバランスよく測定できるのが特徴です。

職業性ストレス簡易調査票

調査票のPDFと解説は、東京医科大学のサイトで公開されています。

職業性ストレス簡易調査票(PDF)

出典:東京医科大学 公衆衛生学分野 http://www.tmu-ph.ac/topics/stress_table.php

職業性ストレス簡易調査票の3領域

職業性ストレス簡易調査票は、以下の3つの領域を評価するように設計されています。仕事のストレスを「入力(要因)」「反応」「緩衝(サポート)」の3段階で捉える構成です。

1. 仕事のストレス要因(A項目)

仕事そのものや職場環境に由来する負担を測る領域です。量と質の両面から、身体的負担・裁量・人間関係・働きがいまで幅広くカバーされています。

・仕事の負担(量)(A項目 No.1-3)
・仕事の負担(質)(A項目 No.4-6)
・身体的負担(A項目 No.7)
・コントロール/裁量(A項目 No.8-10)
・技能の活用(A項目 No.11)
・対人関係(A項目 No.12-14)
・職場環境(A項目 No.15)
・適性度(A項目 No.16)
・働きがい(A項目 No.17)

2. ストレス反応(B項目)

ストレスを受けた結果として本人に現れる、気分・身体の変化を測ります。ここが高得点の場合、すでにメンタル不調の予兆が出ている可能性があり、早めのフォローが必要になります。

・活気(B項目 No.1-3)
・イライラ感(B項目 No.4-6)
・疲労感(B項目 No.7-9)
・不安感(B項目 No.10-12)
・抑うつ感(B項目 No.13-18)
・身体愁訴(B項目 No.19-29)

3. 周囲のサポート(修飾要因:C・D項目)

同じストレス要因でも、周囲のサポートがあるかどうかで反応は大きく変わります。いわゆる「ストレス緩衝要因」として、上司・同僚・家族からの支援と、仕事・生活への満足度が含まれています。

・上司からのサポート(C項目 No.1,4,7)
・同僚からのサポート(C項目 No.2,5,8)
・家族や友人からのサポート(C項目 No.3,6,9)
・仕事や生活の満足度(D項目 No.1,2)

実施後のフォローが制度の要

ストレスチェックは「実施して終わり」では意味がありません。制度が想定している本来の流れは次のとおりです。

本人への結果通知とセルフケア

検査結果は、実施者(医師・保健師など)から本人に直接通知されます。会社が勝手に閲覧することはできず、高ストレスと判定された本人が希望した場合に限り医師面接が実施されます。この仕組みによって、本人がまず自分の状態に気づく(セルフケア)ことが担保されています。

集団分析と職場環境改善

10人以上の集団単位で個人が特定されない形に集計した結果を用いて、部署単位の職場環境改善につなげることが推奨されています。努力義務ではありますが、制度の本来の狙いはここにあり、近年は集団分析の実施率も年々高まっています。

ラインケア(管理職による支援)

集団分析で課題が見えても、最終的に部下の変化に気づき、声をかけ、支援するのは現場の管理職です。ストレスチェックを形骸化させないためには、管理職が部下のメンタル不調サインに気づける状態にしておく(ラインケア)ことが欠かせません。

メンタルヘルスゲーム「ストマネ」で体感するラインケア

メンタルヘルスゲーム ストマネ 実施風景

ラインケアは知識として理解していても、実際のマネジメント現場で実行するのは簡単ではありません。弊社HEART QUAKEでは、メンタルヘルスゲーム「ストマネ」を通じて、ラインケアとチームのストレスマネジメントを疑似体験で学べる研修を提供しています。

2026年2月現在、ストマネの導入社数は約60社、受講者満足度は4.92(5点満点)となっております。

ストマネ 満足度

ストマネは、プロジェクトメンバー4名がチームで6週間プロジェクトを完遂するという設定で、仕事・支援・休暇のアクションを選びながら、誰のストレスゲージが限界に近いか・どう支援すれば休職を防げるかを体感するゲームです。産業カウンセラー監修のもと開発されています。

「マネジメント」「ラインケア」「ハラスメント防止」に関する気づきを得ることをテーマに置いていました。特に「ラインケア」については単純な座学でない形を模索しており、どうしたらこれまでの経験と照らして体感度高く気づきを得てもらえるか、といった点でストマネの利用を実施しました。

詳細は下記ページをご覧ください。

メンタルヘルスゲーム「ストマネ」

よくある質問

Q. ストレスチェックは何人から義務ですか?

常時50名以上の従業員を雇用する事業場(会社全体ではなく「事業場」単位)で義務となります。50名未満は努力義務です。

Q. 57項目以外の調査票を使ってもよいですか?

法定の要件(仕事のストレス要因・ストレス反応・周囲のサポートの3領域を含む)を満たせば、他の調査票も利用可能です。ただし、集団分析の標準値と比較しやすい点から、57項目版の採用が最も多くなっています。

Q. 高ストレス者が出たら会社はどう対応すべきですか?

本人から申し出があった場合に、医師による面接指導を実施することが義務です。あわせて、集団分析の結果をもとに職場環境の改善を検討し、管理職のラインケア力を高めることで再発を防ぐサイクルを回すことが重要です。

まとめ

ストレスチェック制度は、施行から10年が経ち、実施そのものは定着フェーズに入りました。ここから先の差は、結果を職場改善とラインケアにどう活かすかで生まれます。調査票の仕組みを正しく理解し、集団分析・ラインケア研修・フォロー面談をセットで運用していくことが、これからのメンタルヘルス対策の要となります。

ラインケア研修の設計をご検討の方へ

管理職向けのラインケア研修を、座学ではなく参加者の気づきが起きる体験型で設計したい研修ご担当者様に、メンタルヘルスゲーム「ストマネ」をご紹介しています。実施時間・人数・内製/講師派遣の可否など、条件に合わせて設計のご相談を承ります。

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