チームワークについて語られるとき、サッカーやラグビーのようなチームスポーツが引き合いに出されることが多々あります。誰もが一度は体育の授業や部活動でチームスポーツを体験しているからでしょう。

実際、企業研修のカンファレンスではプロスポーツチームの監督がチームワーク・チームビルディングについて講演するケースもあります。特に野球よりも、自由度や複雑性が高いサッカー・ラグビーが取り上げられやすい傾向にあります。

今回はサッカーを例に、企業組織のチームワークに応用できる3つの視点を解説します。

超一流選手だけでは勝てない

サッカー界には、スペインのレアル・マドリードのように、世界中から超一流選手を獲得する強豪チームが存在します。しかし、どれだけ個の能力が高い選手を揃えても、チームとしての連携が欠けていると勝てない時期があったことは、過去何度も報じられてきました。

サッカーは1チーム11人で広いコートを使って実施される競技です。どれだけ優秀な選手でも、1人でゴールまで辿り着くことは困難です。パスを繋ぎながら相手の守備の穴をつき、ゴールを狙うことになります。

つまり、個の能力 × チーム連携の両方が揃って初めて結果が出る、というのがチームスポーツの大原則です。

サッカーチームと企業組織の違い

サッカーを例に話を進める前に、前提の違いを確認しておきます。

・企業では一流選手だけが集まっているとは限らない
・サッカーと違って、「試合に勝つ」に相当する明確な共通目標があるかどうかは組織による
・企業の人員規模は11名より大幅に多く、複雑さの次元が異なる

この違いを踏まえると、サッカーのすべてを企業に当てはめるのは無理があります。ただし、チームワークを成り立たせる原理は共通しており、そこから学べる点は多くあります。

視点1: 連動性 — 1人の動きに全員が呼応する

近年のサッカーでは「連動性」という概念が注目されています。チームメンバーがお互いの意図を汲み取り、1人の動きに対して周囲が連動して動くことを指します。

誰かがスペースを生む動きをすれば、別の誰かがそのスペースを埋め、またそこに生まれた空間に他の選手が入っていく——この連鎖によって選手間の距離が保たれ、パスの精度と攻撃の幅が生まれるのです。

同じスペインのライバル、バルセロナのパスワークは連動性の高さで有名で、世界中のチームが研究対象にしています。

企業組織における「連動性」とは

企業における連動性を考えるとき、よく課題になるのが部門の壁です。

部門間に生まれる仕事のボール (部門の壁)

営業と製造、管理部門と現場部門など、それぞれの目的・目標が異なるために利害関係が一致せず、部門間の連動が失われるケースです。境界線上に落ちた仕事 (誰の責任でもないタスク) が放置されたり、他部門へのパスが遅れることで機会を逃します。

対策として重要になるのが、次の2つです。

組織の隙間に落ちるボール (仕事) を自ら取りに行く個人の存在
部門横断型で全体最適を担うクロスファンクショナルチームの設置

個人の姿勢と組織の仕組み、両方から連動性を補強する発想です。

視点2: 個の力と強みの相互理解

連動性と並んで、チームスポーツの世界でよく語られるのが「個の力」です。しかし、個の力は「スター選手を揃える」ことではありません。ポイントは次の2つです。

・自分自身の強みを本人が理解していること
・他のメンバーの強みをチームが理解し、活かす動きを作れること

サッカー選手はポジションごとに役割が明確で、配置そのものが各選手の強みを活かすように設計されています。強みを発揮しやすい場所に個を置き、周囲がそれをサポートする動きがセットになって、初めて「個の力」が機能します。

例えば、特定の選手がドリブル突破に秀でている場合、チームメイトはその選手に近寄りすぎず、あえて1対1の状況を作り出すシフトを組むことがあります。「支え合う」と言うとベタベタ助ける想像をしがちですが、相手の強みを活かすために距離を取る選択もまたチームワークです。

社員の強みは把握できているか

ひるがえって企業組織を見たとき、次の問いに自信を持って答えられるでしょうか。

・社員は自分自身の強みを認識しているか
・マネージャーや同僚は、メンバーの強みを理解し、それを活かす業務設計・役割分担ができているか

強みを活かし合うチーム

チームワークとは、1+1 が 2 以上になることです。お互いの強みを理解し、強みが発揮される場面をチームが一緒に作れるかどうか、で成果は大きく変わります。

視点3: ジョハリの窓で強みの相互理解を進める

強みの相互理解を進めるためのフレームワークとして有名なのが「ジョハリの窓」です。

ジョハリの窓 (4象限)

ジョハリの窓では、自分と他者の認識を組み合わせて以下の4象限を考えます。

・開放の窓 (自分も他者も認識している自己)
・盲点の窓 (他者は知っているが自分が気づいていない自己)
・秘密の窓 (自分は知っているが他者に見せていない自己)
・未知の窓 (誰もまだ気づいていない可能性)

特に「盲点の窓」を広げること——他者からのフィードバックで自分が気づいていない強みに気づいてもらう——が、チームの個の力を引き出す上で決定的に重要です。

弊社のチームビルディング研修では、振り返り時に「お互いの強みを褒め合う」ワークを組み込むことで、開放の窓と盲点の窓を自然に広げる設計にしています。

まとめ: 局所最適と全体最適の両立

サッカーチームに学ぶチームワークの要点を整理すると、次のとおりです。

・パスを繋ぐ発想で、選手全員が連動して動く
・一人ひとりが自分と仲間の強みを理解し、活かし合う
・局所的には個別最適、総合的には全体最適を実現する

サッカーチームと企業組織は前提が異なりますが、勝てるチームに共通するのは「連動性」と「個の強みの相互理解」という2本柱です。

【関連記事】 研修向けにゲームを選定中の方は、チームビルディング研修におすすめのゲーム15選もご覧ください(目的・人数・時間別の選び方ガイド付き)。

関連するビジネスゲーム

チームワークや個の強みの活かし合いを体験的に学べる弊社のビジネスゲームを2つご紹介します。

ベストチーム(カード版) — 連動性と交渉を体験する

ベストチーム カード版

チーム間の情報共有や交渉を通じて目標達成を目指すゲームです。部門間の連動性や、相手の強みを活かす意思決定を体験的に学べます。

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部課長ゲーム — 報連相とフォロワーシップを磨く

部課長ゲーム カード版

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