今回はスポーツにおけるチームワークの要素と効果について面白い論文を見つけたのでご紹介したいと思います。それがこちらです。

スポーツ版チームワーク測定尺度の開発
牛来 千穂子, 水落 文夫, 内山 治樹

体育学研究 67巻 (2022)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpehss/67/0/67_22045/_article/-char/ja

この論文ではディッキンソンとマッキンタイアによる下図のチームワークの概念モデルをベースに質問項目を作成し、結果を分析されています。

こちらのチームワークの概念モデルについては過去記事で紹介していますので興味のある方はぜひご覧頂ければと思います。

チームワークが良いチームは何が違うのか?

簡単にそれぞれの項目を説明しておきます。

1チームの志向性:
チームにおける人間関係を良好に保ち,チームの課題に対する
目標を達成するために積極的に取り組む姿勢や態度

2チーム・リーダーシップ:
チームの中でリーダーの役割を担う者が,メンバーの相互作用を促し,
チームの目標達成を促進するように働きかける影響力

3モニタリング:
メンバー相互の行動や課題遂行状況を確認し,
チーム全体の状況を把握する行為

4フィードバック:
モニタリングで把握した内容を他のメンバーに伝え,
問題が生じた際の解決方法について,情報や提案を交換する行動

5支援行動:
モニタリングの結果,体調やパフォーマンスが不良なメンバーや,
役割に過剰な負担が掛かるメンバーに対して手助けをする行動

6相互調整:
チームの課題遂行状況に応じて,互いの行動を調整し合うことであり,
フィードバックや支援行動の結果として生じた各メンバーの
役割や立場の変化が,チームワークに悪影響を及ぼさないよう,
メンバー相互に調整すること

7コミュニケーション:
報告,連絡,相談,話し合いのように,情報を伝達するための行動として,
チームワーク全体を支える基盤

チーム・パフォーマンスに最も影響するのは
試合中のコミュニケーション

論文によれば、チーム・パフォーマンスに最も影響するのは試合中のコミュニケーションであり、2番目に重要なのが相互調整、3番目に重要なのが支援行動、4番目に重要なのがチーム構築のためのコミュニケーションとなっており、コミュニケーションの要素が重要ということがわかりました。(下画像)

まさに先程説明したコミュニケーションがチームワーク全体を支える基盤であることを証明しているようです。

また、この論文ではさらに、1軍の選手と2軍の選手の違いについても分析されています。
結果は下図にある通りとなりました。

論文では以下のように記述されています。

いずれの因子も1軍所属群が2軍所属群に比べて有意に高い値を示した

レベルが高いチームほど優れたチームワークを有していることが推察される

ニワトリ卵ではないですが、良いチームワークだから強いのか、強いチームは良いチームワークを発揮しているのかはわかりませんが、両者については相関関係があることがわかります。

また、最後にディッキンソンとマッキンタイアによる下図のチームワークの概念モデルを元にしたパス図は下記のようになっています。

まとめ

いかがでしょうか。今回はスポーツにおけるチームワークの要素と効果についての論文をご紹介しました。

この記事では触れていない分析などもありますので、ぜひ論文も読んでみてください。

スポーツ版チームワーク測定尺度の開発
牛来 千穂子, 水落 文夫, 内山 治樹

体育学研究 67巻 (2022)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpehss/67/0/67_22045/_article/-char/ja


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