みなさんは、アンラーニング(unlearning)という言葉を聞いたことがありますか?

アンラーニング

アンラーニングとは

アンラーニングは以下のように定義されています。

いったん学んだ知識や既存の価値観を批判的思考によって意識的に棄て去り、新たに学び直すこと。
日本語では「学習棄却」「学びほぐし」などと訳されます。

参考:https://jinjibu.jp/keyword/detl/538/

少し前に断捨離というキーワードが流行りましたが、持っているものを一度捨てることで新しいものが入ってくるという効果があると思います。

なお、アンラーニングについてはここ1、2年で関連書籍が増えていますので興味がある方はぜひ読んでみてください。

なお、この記事では個人におけるアンラーニングではなく、組織におけるアンラーニングについて書いています。
個人におけるアンラーニングについてはこちらの記事をご覧ください。

個人のアンラーニングを促進する2つの方法

組織のアンラーニングで捨てるべきはなにか?

トルコのGebze Institute of TechnologyのAkgün et al.(2007)によれば、組織におけるアンラーニング捨てるべきは「(公式的/非公式的な)ルーティン」と「信念」であると説明した。(ルーティンとは手順やプロセスと書かれている場合もあります)

Organizational unlearning as changes in beliefs and routines in organizations
2007
Ali E. Akgün ,John C. Byrne
Gary S. Lynn ,Halit Keskin

https://www.emerald.com/insight/content/doi/10.1108/09534810710831028/full/html

それぞれを少し細かく見てみます。

信念の変更(製品開発メンバーの場合)

・技術的に可能な製品の機能や特徴
・顧客が望む機能や特徴
・製品開発の進行で必要とされる各段階
・製品開発のプロセス
Akgün et al.(2006)

ルーティンの変更(製品開発メンバーの場合)

・情報共有の方法(ミーティングやメールなど)
・プロジェクトの計画
・製品開発に用いられるツール(ソフトウェアなど)
・意思決定の方法
・製品開発の進め方
Akgün et al.(2006)

これらの項目が変化したと言えるほどアンラーニングが進んだと言えます。

また、IT企業などのいわゆる環境変化が大きい場合組織アンラーニングも大規模で行われるべきだと主張しています。

アンラーニングの効果

ここまで読んできてなんとなく過去にとらわれないことの重要性は認識していると思いますが、では、具体的にアンラーニングにはどんな効果があるのかを過去の研究から紹介したいと思います。

それは、アンラーニングが新製品のパフォーマンスや、イノベーションにプラスの影響を与えていることです。

つまり、アンラーニングを行うことで新たな視点を手に入れ、それによって開発した新製品の売上、利益、市場シェアなどが上がる効果が見込めるというのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。アンラーニングとはいったん学んだ知識や既存の価値観を意識的に棄て去り、新たに学び直すであり、特に信念とルーティンを変更することが重要です。

またその効果として製品開発の場合は売上、利益、市場シェアなどパフォーマンスやイノベーションにプラスの影響を与えることがわかっています。

参考文献
先行型市場志向,反応型市場志向,萌芽型市場志向が新製品パフ ォーマンスへ及ぼす影響:製品開発チームの学習プロセスの媒介効果
石田 大典 2018

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmd/21/3/21_27/_article/-char/ja/

組織はどのようにアンラーニングするのか?
──社会福祉法人 X 会にみる,段階的な組織アンラーニング──
安藤 史江,杉原 浩志 2011
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000002-I11202084-00

アンラーニングの関連書籍はこちら。


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