現代に求められているのはホウレンソウではなくザッソウ?

チャットツール等の普及により報告や連絡の自動化が進む中、雑談は心理的安全性を高めて相談しやすい関係を築く重要な役割を果たします。
会議冒頭の5分間を雑談に充てるなど、意図的に雑談の場を設計することがチームの成果に繋がります。
目次
1. ホウレンソウのおさらい
2. ザッソウとは:雑談と相談
3. なぜザッソウが求められているのか
4. 中原淳『職場学習論』の3つの支援
5. ザッソウを職場に取り入れる方法
6. まとめ
新入社員研修で必ず教わるコミュニケーションの基本「報連相(ホウレンソウ)」。しかし最近、株式会社ソニックガーデン社長の倉貫義人氏が提唱する「ザッソウ(雑談と相談)」という考え方が注目されています。
「ホウレンソウは時代遅れで、現代の職場に本当に必要なのはザッソウだ」という提言は、リモートワークが定着し心理的安全性が重視される現代のチーム運営に大きな示唆を与えています。本記事ではザッソウの考え方と、企業での活用方法を解説します。

ホウレンソウのおさらい
ホウレンソウとは、日本の職場におけるコミュニケーションの定番フレームであり、報告・連絡・相談の頭文字をつなげた言葉です。過去の出来事や進捗を共有する「報告」、関係者へ情報を伝える「連絡」、判断に迷う事柄の意見を聞き取る「相談」の3つから成り立っています。また、この報連相の反対語としてチンゲンサイという言葉も存在します。
ホウレンソウは報告・連絡・相談の頭文字をつなげた、日本の職場コミュニケーションの定番フレームです。
・報告: 過去の出来事・業務進捗の共有
・連絡: 関係者への情報共有
・相談: 判断に迷う事柄の意見聞取り
余談ですが、報連相の反対語としてチンゲンサイという言葉もあります。

報連相の反意語はチンゲンサイ!?
ザッソウとは:雑談と相談
ザッソウとは雑談と相談の頭文字を取ったものです。

ホウレンソウの3要素のうち、「相談」だけが残り、「報告・連絡」が「雑談」に置き換わったのがザッソウです。
倉貫氏は以下のように主張しています。
・・・省略・・・
そろそろ報告と連絡のためだけの会議は見直すべきではないだろうか。
職場の「ホウレンソウ」は時代遅れ、会社は「ザッソウ」で強くなる
gendai.ismedia 記事
なぜザッソウが求められているのか
1. 報告と連絡は一方通行だから
報告と連絡は一方通行のコミュニケーションです。情報共有として必要なことは多いですが、それが「わざわざ対面の会議でやる必要があるか?」という問いに多くの企業が答えを出せていません。Slack・Teams・ChatWorkなどのチャットツールや、日報・進捗表などのドキュメント共有で代替できる場面が増えています。
2. 相談は双方向で未来志向
相談は双方向のコミュニケーションであり、未来に向けての話し合いです。問題解決・意思決定・方針調整は、対面でのやり取りでこそ価値が生まれます。
3. 雑談が心理的安全性を作る
雑談が職場の心理的安全性の土台になるという見解が、近年の組織論でも支持されています。倉貫氏も以下のように指摘しています。
ホウレンソウで話すのは業務に関することだけだ。むしろ、職場での重要なコミュニケーションとは、あえて言葉にするならば「雑談」だ。
職場の「ホウレンソウ」は時代遅れ、会社は「ザッソウ」で強くなる
gendai.ismedia 記事(2ページ目)
業務外の雑談から、相手の人となり・関心・価値観が共有され、いざ相談が必要な時に話しかけやすい関係が作られます。
中原淳『職場学習論』の3つの支援
ザッソウにおける「雑談」は、東京大学教授(現立教大学)中原淳氏の『職場学習論』で紹介される職場における3つの支援のうち精神支援の文脈に近いと言えます。

職場の3つの支援は以下です。
・業務支援: 業務遂行に必要な情報・スキルの提供
・内省支援: 経験を振り返り学びに変える対話
・精神支援: 心理的な支え・励まし
研修で「3つの支援のうち職場で足りていないものは?」と聞くと、圧倒的に「精神支援」と回答する人が多いのが弊社の研修現場での傾向です。ザッソウは、この精神支援を日常的に埋める手段として機能します。
ザッソウを職場に取り入れる方法
1. 会議の冒頭5分を雑談にする
定例会議の冒頭5分を業務と無関係な雑談タイムに充てます。「最近ハマっていること」「休日の過ごし方」「最近食べた美味しいもの」など、軽い話題で参加者同士の距離を縮めます。
2. 1on1にザッソウの時間を入れる
上司と部下の1on1で、業務の話だけでなく相手の関心・趣味・悩みにも触れる時間を作ります。業務相談がしやすい関係の下地になります。
3. リモートワーク時代のバーチャル雑談
リモートワークで減った雑談を意図的に取り戻すために、オンラインコーヒーブレイクやSlackの#雑談チャンネルなど、業務外のやり取りの場を設計します。
4. ザッソウを評価しない
雑談を「業務効率を下げるもの」と見なすマネジメントは、ザッソウ導入の最大の障壁です。雑談は投資という視点で組織全体の認識をそろえることが重要です。
まとめ
ザッソウは雑談と相談の頭文字を取った、倉貫義人氏が提唱する現代的な職場コミュニケーションの考え方です。報告・連絡は一方通行なので会議ではなくツールで済ませ、対面の時間を「雑談」と「相談」に使うという発想の転換です。
心理的安全性・リモートワーク・エンゲージメント向上がテーマの現代組織において、雑談の設計はマネジメントの重要課題です。自社の会議・1on1・日常コミュニケーションをザッソウ視点で見直してみてはいかがでしょうか。
