今回は理念浸透について書いてみたいと思います。
理念浸透については過去にもことや、理念の内容を認識しているとイノベーションにつながることを書いてきました。
※詳しくはページ最下部の関連記事を御覧ください。

今回は、経営理念はあるが、いまいち浸透していないと悩まれている方への記事となります。具体的には理念浸透施策として有効な施策は何なのか?をデータを用いてご紹介したいと思います。

なお、この記事は下記の論文を参考にしております。

理念浸透における理念内容と浸透策、浸透度、成果
一企業組織を対象としたマクロレベルの実証研究一
慶應義塾大学大学院 研究生 野林 晴彦 (2015)

https://researchmap.jp/?action=cv_download_main&upload_id=132832

論文では理念浸透施策としてよく実施されている以下の6つの施策についての効果を検証しています。

1.明示
⇒社内外に経営理念を明示すること

2.理念教育研修
⇒社内研修で理念の内容や歴史を教育すること

3.ビジュアルでの表現
⇒マーク・ロゴなどで理念を象徴化すること

4.人・ソフトで象徴
⇒創業者や英雄の象徴化や神話・伝説・儀式での象徴化

5.インナープロモーション
⇒理念ミーティングやフォーラムなどのイベントなどで共有をはかること

6.人事制度
⇒理念を反映した人事考課や業績評価基準の設定

これら6つの施策がデータとしてどのように理念浸透に寄与しているのか、またそれらの施策が業績にどのような影響を与えているのかを表した図が下図です。


画像参考:野林(2015) 図6

この図から以下のことが言えます。

人事制度と理念教育研修が理念を体現したマネジメントに正の影響を与える

理念教育研修と明示が理念を体現した商品・サービス・事業に正の影響を与える

ビジュアルでの表現が過去10年間の業績満足度に正の影響を与える

人・ソフトで象徴は過去10年間の業績満足度に負の影響を与える

つまり、理念を伝える研修と、理念に基づいた評価制度を用いることで、理念ベースのマネジメントが実行されるようになるり、同様に、理念を伝える研修と、社内外に理念を明示することで、理念ベースの製品・サービスが生まれるということになります。

理念浸透施策として有効な4つの施策とは人事制度、理念教育研修、明示、ビジュアルでの表現となります。

残念ながら、この論文では具体的な業績の向上への相関は見られらないものの、業績への満足度が高まっていることがわかります。

ミッション・ビジョン・バリューと理念浸透

ここからは個人的な見解です。
理念は、ミッション・ビジョン・バリューというフレームで区分けされると思います。
各要素への表現方法は様々だと思いますが大体以下のようなものでしょう。

ミッション:存在意義

ビジョン:中長期的な方針・目標

バリュー:価値観・行動指針

その上で、論文中で言われれる人事制度(特に評価)はバリュー(価値観・行動指針)を反映したものでなければならないと考えています。

多くの場合、ミッションは抽象度が高く、共感はできるが、それだけで日々の仕事の判断軸にはなりづらい側面があります。従って、ミッションを実現するために必要な行動指針であるバリューを中心とした人事制度が必要となります。

一方、理念教育研修では、普段の業務では意識しづらいミッションについて経営者(できれば創業者)が語ることが求められると思います。なぜなら、ミッションは創業者や経営者の具体的な体験から生み出されているケースも多いと思うからです。

また、明示については中長期的なビジョンを示すのが適切なのかな、と考えています。中長期的な方針を社内外に広く広めることで、関連する技術やパートナーが集まりやすくなる可能性があるのではないかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は論文をご紹介しながらどのような施策が理念浸透につながっているのか、また、個人的な意見ではありますがそれそれの施策の中で、ミッション・ビジョン・バリューとどのように絡めていくのが良いのかをご紹介しました。

参考になれば幸いです。

参考文献

理念浸透における理念内容と浸透策、浸透度、成果
一企業組織を対象としたマクロレベルの実証研究一
慶應義塾大学大学院 研究生 野林 晴彦 (2015)

https://researchmap.jp/?action=cv_download_main&upload_id=132832


関連記事

人気記事

記事内検索

カテゴリ別

注目されているタグ

TOPに戻る
お問い合わせ