DX・業務改革・BPRといったキーワードが繰り返し経営アジェンダに上がる2025年現在でも、“業務プロセスをどこまで整えれば良い組織と言えるのか”を判断する物差しが曖昧な企業は少なくありません。

今回ご紹介するのは、マイケル・ハマーが2007年に提唱したPEMM(Process and Enterprise Maturity Model)——プロセスと企業の成熟モデルです。業務プロセスと組織能力を体系的にチェックできる、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の総本山が打ち出した診断フレームワークです。

マイケル・ハマーとは

マイケル・ハマーは、元MIT(マサチューセッツ工科大学)教授でBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の提唱者です。代表作『リエンジニアリング革命』は経営改革論の古典として今も読まれています。

PEMMとは|プロセス×企業能力の2軸で成熟度を測る

PEMMはProcess and Enterprise Maturity Modelの頭文字です。”企業が長期に渡って成果を出し続けるためには、2つの側面の成熟度を高める必要がある”という考え方が中心にあります。

PEMM プロセスと企業の成熟モデル

側面 内容 項目数
プロセス・イネブラー 業務プロセスそのものを機能させる要素 5項目
企業ケイパビリティ それを支える組織全体の能力 4項目

つまり、プロセス単体を改善しても、組織能力が伴わないと長期的に続かないという前提に立った診断ツールです。

プロセス・イネブラー(5項目)

No イネブラー 小項目
設計(Design) 目的/文脈/資料(Purpose/Context/Documentation)
運用者(Performers) 知識/スキル/行動(Knowledge/Skills/Behavior)
オーナー(Owner) 位置づけ/活動/権限(Identity/Activities/Authority)
インフラ(Infrastructure) ITシステム/人事制度(Information Systems/HR Systems)
業績評価基準(Metrics) 定義/用途(Definition/Uses)

企業ケイパビリティ(4項目)

No ケイパビリティ 小項目
リーダーシップ 意識/一貫性/行動/スタイル(Awareness/Alignment/Behavior/Style)
企業文化 チームワーク/顧客志向/責任感/変革への態度
専門性 人材/方法論(People/Methodology)
ガバナンス プロセス・モデル/説明責任/統合

PEMMの使い方|4段階×設問でセルフチェック

PEMMでは、上記の小項目それぞれに対して4つの設問が用意されており、その設問に当てはまるかどうかをチェックしていきます。結果として、自社のどの項目の成熟度が低く、どこが高いのかを可視化できます。

PEMM シート
画像参照:Hammer & Co.

PEMM HBR
画像参照:Harvard Business Review

PEMMの活用メリット

活用場面 PEMMで得られるもの
DX・業務改革の前段 “改善する/しない”ではなく、どのレイヤーを先に整えるかの順序
BPR後の定点観測 半期/年次での成熟度の推移を数値で追う
M&A後の組織統合 買収先と自社の成熟度の差を可視化
経営幹部の共通言語 “プロセス”と”組織能力”で議論を整理する

より詳細なケーススタディ(クロックス社等の事例)は、マイケル・ハマー本人の論文で読めます。

ハーバード・ビジネス・レビュー「PEMMでビジネスプロセスを改革する」

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まとめ

PEMMは、プロセス・イネブラー(5項目)と企業ケイパビリティ(4項目)の2軸で、企業の成熟度を体系的に測る診断モデルです。

DX・BPR・業務改革の計画を立てる際、”どこから手をつけるか”を議論するための共通言語として、PEMMは20年近く経った今も有効です。自社で一度、9項目を使ったセルフチェックを試してみてください。


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