PEMM|プロセス・イネブラー5項目×企業ケイパビリティ4項目×成熟度4段階のインフォグラフィック

【結論】PEMM(プロセスと企業の成熟モデル)は、BPRの提唱者マイケル・ハマー氏が開発した組織の診断フレームワークです。
設計やオーナーなど5項目の「プロセス・イネブラー」と、リーダーシップや企業文化など4項目の「企業ケイパビリティ」の2軸から、自社の成熟度を可視化します。
DXや業務改革の計画策定、M&A後の組織統合において、改革の優先順位を決める共通言語として有効です。

目次

1. マイケル・ハマーとは
2. PEMMとは|プロセス×企業能力の2軸で成熟度を測る
3. プロセス・イネブラー(5項目)
4. 企業ケイパビリティ(4項目)
5. PEMMの使い方|4段階×設問でセルフチェック
6. PEMMの活用メリット
7. まとめ

DX・業務改革・BPRといったキーワードが繰り返し経営アジェンダに上がる2025年現在でも、“業務プロセスをどこまで整えれば良い組織と言えるのか”を判断する物差しが曖昧な企業は少なくありません。

今回ご紹介するのは、マイケル・ハマーが2007年に提唱したPEMM(Process and Enterprise Maturity Model)——プロセスと企業の成熟モデルです。業務プロセスと組織能力を体系的にチェックできる、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の総本山が打ち出した診断フレームワークです。

マイケル・ハマーとは

マイケル・ハマーは、元MIT(マサチューセッツ工科大学)教授でBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の提唱者です。代表作『リエンジニアリング革命』は経営改革論の古典として今も読まれています。

PEMMとは|プロセス×企業能力の2軸で成熟度を測る

【要点】PEMM(プロセスと企業の成熟モデル)とは、企業が長期的に成果を出し続けるために、プロセス・イネブラー(5項目)と企業ケイパビリティ(4項目)という2つの側面の成熟度を測定・向上させるための診断ツールです。プロセス単体の改善にとどまらず、それを支える組織全体の能力も同時に高める必要性を示しています。

PEMMはProcess and Enterprise Maturity Modelの頭文字です。”企業が長期に渡って成果を出し続けるためには、2つの側面の成熟度を高める必要がある”という考え方が中心にあります。

PEMM プロセスと企業の成熟モデル

側面 内容 項目数
プロセス・イネブラー 業務プロセスそのものを機能させる要素 5項目
企業ケイパビリティ それを支える組織全体の能力 4項目

つまり、プロセス単体を改善しても、組織能力が伴わないと長期的に続かないという前提に立った診断ツールです。

プロセス・イネブラー(5項目)

【要点】マイケル・ハマーのPEMMにおけるプロセス・イネブラーは、プロセスの実効性を高めるための5つの要素で構成されています。具体的には、目的や資料を扱う設計、知識や行動を問う運用者、位置づけや権限を持つオーナー、ITや人事制度を含むインフラ、そして定義や用途を定める業績評価基準の5項目が定義されています。

No イネブラー 小項目
設計(Design) 目的/文脈/資料(Purpose/Context/Documentation)
運用者(Performers) 知識/スキル/行動(Knowledge/Skills/Behavior)
オーナー(Owner) 位置づけ/活動/権限(Identity/Activities/Authority)
インフラ(Infrastructure) ITシステム/人事制度(Information Systems/HR Systems)
業績評価基準(Metrics) 定義/用途(Definition/Uses)

企業ケイパビリティ(4項目)

【要点】マイケル・ハマーのPEMMにおける企業ケイパビリティは、組織がビジネスプロセスを効果的に推進・維持するための基盤となる4つの要素です。具体的には、リーダーシップ企業文化専門性、そしてガバナンスで構成されています。これらは、プロセス変革を成功に導き、企業の成熟度を高めるために不可欠な組織全体の能力を定義しています。

No ケイパビリティ 小項目
リーダーシップ 意識/一貫性/行動/スタイル(Awareness/Alignment/Behavior/Style)
企業文化 チームワーク/顧客志向/責任感/変革への態度
専門性 人材/方法論(People/Methodology)
ガバナンス プロセス・モデル/説明責任/統合

PEMMの使い方|4段階×設問でセルフチェック

PEMMでは、上記の小項目それぞれに対して4つの設問が用意されており、その設問に当てはまるかどうかをチェックしていきます。結果として、自社のどの項目の成熟度が低く、どこが高いのかを可視化できます。

評価シートの原本は Hammer & Co. のサイトで公開されています。

PEMMのセルフチェック|4段階×小項目で成熟度を可視化する
出典:Michael Hammer「The Process Audit」Harvard Business Review (2007) で示された評価方法をもとに作成

PEMMの活用メリット

【要点】PEMM(プロセスと企業の成熟モデル)を活用するメリットは、DXやBPR、M&A後の組織統合などにおいて、プロセスと組織能力の成熟度を可視化し、経営幹部の共通言語として議論を整理できる点にあります。マイケル・ハマーの論文ではクロックス社等の詳細なケーススタディも紹介されており、本モデルは複雑な変革期における意思決定や定点観測に極めて有効なフレームワークです。

活用場面 PEMMで得られるもの
DX・業務改革の前段 “改善する/しない”ではなく、どのレイヤーを先に整えるかの順序
BPR後の定点観測 半期/年次での成熟度の推移を数値で追う
M&A後の組織統合 買収先と自社の成熟度の差を可視化
経営幹部の共通言語 “プロセス”と”組織能力”で議論を整理する

より詳細なケーススタディ(クロックス社等の事例)は、マイケル・ハマー本人の論文で読めます。

ハーバード・ビジネス・レビュー「PEMMでビジネスプロセスを改革する」

関連する経営・業務改革のフレームワーク記事もあわせてどうぞ。

複雑な世界を捉えるためのクネビンフレームワーク(Cynefin Framework)

両利きの経営の4つの成功要因(必要条件)

理念浸透研修の効果と設計の4つのコツ|研究データで解説

まとめ

【要点】PEMMは、20年近く経った今もDXやBPR、業務改革の計画策定における共通言語として有効な成熟度診断モデルです。プロセス・イネブラーと企業ケイパビリティの計9項目を用いたセルフチェックを行うことで、改革をどこから手をつけるべきかという議論を円滑に進め、自社の現状を体系的に把握することができます。

PEMMは、プロセス・イネブラー(5項目)と企業ケイパビリティ(4項目)の2軸で、企業の成熟度を体系的に測る診断モデルです。

DX・BPR・業務改革の計画を立てる際、”どこから手をつけるか”を議論するための共通言語として、PEMMは20年近く経った今も有効です。自社で一度、9項目を使ったセルフチェックを試してみてください。


この記事を書いた人

千葉 順
千葉 順
株式会社HEART QUAKE 代表取締役
元法政大学兼任講師(キャリアデザイン論)
→ 詳しいプロフィール

関連記事

人気記事

お知らせ

関連記事

記事内検索

カテゴリ別

注目されているタグ

HEART QUAKE サポート
TOPに戻る
お問い合わせ